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interview

片付けたくなるキッチン、
料理が楽しくなるキッチン

さときっちん主催
柚木さとみさん

毎日使うキッチンだからこそ、機能的に動けて、
片付けたくなる工夫をしたいもの。
少しでも使いづらいと思ったら、すぐ改善する。
そうすれば、自然と料理は楽しくなり、暮らしが豊かになっていく。
今回は料理家、カフェプランナーとして活躍する
柚木さとみさんに、理想のキッチンとキッチン収納について聞いた。

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  • スタジオ「さときっちん」では、どのような活動をされているのですか?
    このキッチンスタジオは2012年に友人たちの協力を得て、築55年の民家をセルフリノベーションしました。大家さんからも好きにしていいよと言っていただき、料理教室をオープンすることを考えていたので、「とにかくキッチンを大きくしたい。みんなが使いやすいキッチンにしたい」と自分で図面を引きました。今では毎月14回くらい料理教室を開いて、毎月4〜5品のレシピを教えています。
    私の料理は野菜たっぷりの創作料理を軸としていますが、和食、洋食、中華、エスニックとテーマはさまざま。ハンバーグなどの定番メニューも扱いますし、夏にはゴーヤやなす、大葉などを使ったサンドイッチなども作ります。リピーターの方が多いので、同じレシピは使わないようにしています。家に帰って繰り返しつくってもらえるように、特別な食材は選ばず、難しくはないけれど、おしゃれに見えるお料理を意識して、生徒のみなさんと一緒に楽しんでいます。
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  • 柚木さんの理想のキッチンは、どのようなものでしょうか?
    このスタジオではカフェのプロデュース経験を活かして、空間が料理の色をジャマしないように、色合いは白やブラウンなどベーシックにしています。シンプルな空間はカラフルな料理が映えて、料理が楽しくなります。この雰囲気が落ち着けると気に入ってくれる生徒さんも多いですね。
    それに、お気に入りのキッチンに、使いやすくて好きなモノを揃えていると居心地がよいですね。そのためには、キッチンツールなどは長く使えるものを選びます。長く使えるものには、愛着も生まれます。無駄にしたくないので、簡単にものは買わない。いよいよ必要だとなった時に、使い勝手や収納場所を考えて、その後のイメージを持って買います。また、購入するモノは、機能的なデザインのシンプルなモノが好きです。
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  • どういったキッチン収納が、使いやすいでしょうか?
    まず動線を考えるとよいと思います。引き出しを開けて取り出し、また元に戻すという小さな動作でも、繰り返し使うものならストレスになります。それなら扉のない棚などに収まっていたほうが使いやすいですし、棚は奥行きが浅いものが使いやすい。深いと奥のものがどうしても取り出しづらくなって、使わなくなってしまいます。調味料ラックは、DIYしました。1×4(ワンバイフォー)材を使っていて、奥行きは89mmです。
    動線とともに考えたいのが、キッチンツールや食材など、モノの住所がわかりやすいことです。調味料なら、火を使う場所から手の届く位置にあれば、料理している最中でも動きがまばらにならない。そして用途の同じものは一カ所にまとめておく。そうやって使い方や動き方をイメージして、ルールをシンプルにすればいいと思います。箸やスプーンなどよく使うモノは出しておいて、ステンレスや木、シリコン、プラスチックなど素材ごとに分けておくと、見え方もすっきりします。
    料理教室では生徒のみなさんと一緒に片付けますが、みなさんすぐ慣れていきます。これは直感的に定位置を把握できるから。使用頻度やキッチンでの動き方から試行錯誤して配置を決めているからだと思います。生徒さんに限らず、収納の悩みを抱えている方は多いですね。「これはここ」と、収納する場所を一度決めた後は変えないという方が多いですが、「あれっ」と少しでもストレスを感じたら、ベストな場所を試すとよいと思います。毎日使うキッチンだから違いもすぐにわかりますし、料理することが楽しくなります。
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    棚のピッチが細かく仕切ってあると、お皿やパットなどをスタッキング(重ね置き)し過ぎるといったことがなく、取り出しやすい。
    取り出す時に手が入るだけの余白をもたせた食器棚もDIYによるもの。

  • 30代の子育て家族へメッセージをお願いします。
    食べることは、楽しいことです。人生を豊かにしてくれます。子どものころから料理や食べることに関心をもたせられたら素敵だなと思います。子どもたちにとって、料理は魔法を見るようなもの。たとえば卵がオムレツへと姿を変えていくプロセスを見れば、子どもたちは料理に興味を持ちます。だから、キッチンは子どもたちから見えやすかったり、手伝いやすいとよいですね。子どもたちが料理に興味を持ったら、お手伝いをしてもらい、その気持ちを育むといいでしょう。お手伝いを始める前の段階でも、手巻き寿司やクッキーの型抜きなら、一緒に料理を楽しむ心が生まれます。
    また、子どものころに「まんま、かじる」を習慣にすることをお勧めします。野菜をひと口かじって素材本来の味を知る。料理した後に味わう。幼いころから、味を学ぶのです。また、味わいながら素材に興味を持つ。「ごまって、どんな植物?どうやって、どこで育つ?」そうやって、子どもの興味が広がり、世界が広がっていくでしょう。
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profile

柚木さとみさん
柚木さとみさん
大学卒業後、吉祥寺のカフェで4店舗の統括店長を務める。退職後にカフェプランナー、フードコーディネーターとして食と食空間に関わる仕事に携わる一方、大手料理教室の講師を努め、現在は料理家、カフェプランナーとして活動。2012年に「スタジオさときっちん」をオープン。"おもてなしにも対応できる野菜たっぷりのおうちごはん"をコンセプトにした「さときっちん料理教室」を主宰。企業向けレシピ開発や、雑誌・Webサイトへのレシピ提供も手掛ける。
WEBサイト
http://satokitchen.com

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暮らしのトンテン
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手芸感覚で手軽に始められるDIY。賃貸でもできる、簡単手作りお部屋の改造法を紹介。カフェプランナー柚木さとみが提案するおしゃれな空間作り。2012年9月発行(エンターブレイン)



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