トップ - 暮らしのプロたち - 土橋陽子さん

interview

子どもと一緒に
インテリアを楽しみましょう

家具デザイナー
土橋陽子さん

イデ―で活躍したのちに、2児の母として
家具デザイナーやファシリテーターとして活躍する土橋陽子さん。 自らデザインした「let’s light」をベースに
フェルトを「曲げて」「差し込んで」「折って」、ライトシェードを作るという
親子向けのワークショップを主催している。
インテリアを通した親子のコミュニケーションについて聞いた。

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  • どうして、ワークショップ「let’s light」を始めたのですか?
    私も世の中のお母さんと同じように、子育てに迷いと悩みを抱えていました。ある時、子どもと一緒にモノづくりのワークショップに参加したのですが、長男はつくり始める前に、他の子どもたちの様子をじっと見ていて、とてもマイペース。できあがるまでに、すごく時間がかかりました。それでも、講師の方はじっと待ってくれて、できあがりを共に喜んでくれました。長男の笑顔を見た時に、私は子どもたちにそういう喜びを感じてほしい。そのプロセスや喜ぶ姿をみて、パパやママにも子育ての楽しさを感じてほしい。そう感じていました。私なりにブログなど無理なくできることから始め、数多くの出会いに支えられて、ワークショップ「let’s light」を始めました。子どもたちが小さなプクプクした手で、ランプシェードをつくっています。そして完成して、光を灯した瞬間に、親子がとても素晴らしい笑顔になります。
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    ワークショップの様子©Koji Fukuzaki

  • 「let’s light」で、子どもはどんな変化をしますか?
    ワークショップは、FabCafeやイデ―のショップで開催することが多いですね。FabCafeは、3Dプリンターやレーザーカッターなどの最新マシーンを置いています。そこに、親子で参加。フェルトに絵を描いたり、塗りつぶしたり、イラストを置いてみたり、自由に思い思いのデザインをしてもらいます。
    それからレーザーカッターで切り込みを入れて、穴を開けて糸を通したり、別の紙を貼ったりして、デコレーション。その後、組み立てて、光を灯します。光を灯すと、私も想像できない美しさが生まれます。子どもたちも、見守る親たちもびっくり。子どもたちは満足そうに喜んだり、その変わりざまに驚いたり。私たちも、見守る親たちも、心から「すばらしい」と思える作品が完成します。そして、その気持ちは子どもたちに、素直に届きます。
    子どもが育っていくうえで、自己肯定感はとても大切。自己肯定感が自信を生み、生きる力を育むのです。私たちは子どもたちを観察して、「できないことをサポート」する方法を大切にしています。ワークショップを通して、パパやママには子育てのヒントがあるといいなと思っています。
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  • 自己肯定感を育むためのコミュニケーションとは?
    ワークショップを続けてきて、達成感の積み重ねが自己肯定感につながることを実感しました。どれほど考えられたモノでも、与えるだけでは不十分です。子どもの発達には、適切なモノを用意して、それについて語りかけることが重要です。「fun pun clock(ふんぷんくろっく)®」は、親子のコミュニケーションを増やしたいという思いで開発しました。パパやママが意識して、子どもの行動と時間を結びつけてあげることで、子どもは「どれくらいの時間で、自分はどんなことができるのか」を身体で覚えるようになります。「前はズボンを履くのに3分かかったのが、1分でできるようになったね」と、親が声掛けすることで、子どもは達成感を抱き、自信につながります。
    この「fun pun clock(ふんぷんくろっく)®」の開発には、日本モンテッソーリ教育綜合研究所の主任研究員・櫻井美砂先生に協力していただきました。「大人は知識を教え込むのではなく、子どもが自分で気付く環境を整えてあげれば、子どもは主体的に行動するようになります。世界について知ろうとする自己教育力(自分を育てる力)を発達させてゆくものです」という櫻井先生のお考えによるものです。
  • 30代の子育て家族へメッセージをお願いします。
    子どもの施設に行くたびに、インテリアの無頓着さに「世間から隔離された」感覚をもちました。子どもたちはお友達がいればそれで楽しいけれど…「子どもが育つ日常環境が、もっとステキでもいいんじゃない」と感じていました。特に、自分たちの住まいは、自分たちでステキにすればよいのです。我が家も子どもたちと、ビビットな辛子色に壁を塗り替えました。ペンキ塗りは養生8割、塗装1割、片付け1割。子どもたちは、丁寧に養生していました。できあがったら満足そうで、友だちを呼んで自慢していました。自宅のランプシェードは、子どもたちの「let’s light」作品。自分でつくったものがインテリアとして使われて、うれしそうです。
    最近では、DIYにちょうどよい使いきりの材料や、高性能のマシーンを使わせてくれるカフェやショップが増えています。子どもはモノをつくることが好き、美しいモノが好きです。美しいものだからこそ大事にします。素材や使い勝手にこだわって、家族でステキな住まいにしていく。楽しい思い出を増やしていく。そうやって、子どもと一緒にインテリアを楽しむのがいいと思います。
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    撮影場所:FabCafe

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土橋陽子さん
土橋陽子さん
家具デザイナー・ファシリテーター。株式会社イデーで定番家具の開発や、ブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。授乳時に赤ちゃんを起こさない提灯型LED照明「milk time light」、「let’s light」をデザイン。同社を退社後、モンテッソーリ教育の視点を生かし、「手を動かしながら、インテリアを作り上げる」ことを心がけ、ワークショッププログラム開発に取り組む。「let’s light」のカスタマイズ照明ワークショップ主宰。
WEBサイト
http://yokodobashi.com/



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