トップ - 暮らしのプロたち - 平井かずみさん

interview

花を一輪、
暮らしの中に

フラワースタイリスト
平井かずみさん

居心地のいい、大人な雰囲気のカフェを
ご主人と一緒に、自由が丘で営む
フラワースタイリスト・平井かずみさん。
ご自宅で花をしつらえながらの
インタビューのテーマは、“花と暮らす”。
部屋に花を飾ることに留まらない、
花とのつきあい方、暮らしとの向き合い方とは。

  • 写真2

  • 四季を楽しめる幸せ
    日本には四季があり、季節ごとの味わいがあります。「アジサイが咲いたから、かわいい傘を1本買おう」そんな風に、感性を豊かに刺激してくれます。春なら鮮やかなパステル調のキャンディカラーの花たちが気持ちを楽しくしてくれますし、夏なら強い日差しに負けない原色に近い強い色。秋には茶が混ざって、草花が落ち着きはじめます。落葉や立ち枯れてしまった草木は寂しいものですが、それも自然のサイクルのひとつ。新しい季節への準備だと考えると、愛おしく思えます。

    「しつらえる」という感覚を大切に
    花と接するうえでは、「しつらえる」という感覚を大切にしています。語源は平安時代の「室礼」という言葉に由来すると言われていて、季節の行事や儀式に合わせて家具や調度品と一緒に草花を配して、部屋全体の趣を整えるという慣わしです。
    花を活けることは、きれいをつくること。洗面所やキッチンのシンク回りなど、ちょっと無機質な空間に一輪の花を置くだけで、その空間が生き生きしたものに変わります。
  • 写真3

  • 花を一輪、挿してみる
    花を活けることは、難しいことではないのです。肩肘を張らずに、その時に一番きれいに咲いている花を飾ればいい。花はありのままで、かわいい。コップや平皿に少しの水を張って、一輪挿しから始めてみるといいと思います。きれいに見せたいなら、背の高い花や枝は、器の高さと花の出ている高さを同じくらいにすると、美しいバランスになります。

    花も人も、心地いい場所は同じ
    飾るのは、自分が心地いいと感じる場所に置くのがいいですね。エアコンの風が直接当たる場所や、陽射しが強い窓際は、花たちも辛いもの。花は特別でもなんでもなくて、自分と置き換えて考えればわかりやすいでしょう。花器に足す水も、人が水を飲むのと同じで、多すぎては花たちも吸収できません。水を入れすぎると逆に茎が腐りやすく、長持ちしなくなります。適量なら、長く花の一番いい表情を楽しむことができます。

    暮らしの道具を器に花を愛でる
    香水の空き瓶も、私にとってはすてきな花器のひとつです。使っていたモノのほうが、すんなりと暮らしの空間に馴染んでくれます。ガラスの花器は光を通すのできれいに見せられますし、水が濁ったり、少なくなったら分かるので使いやすいですね。ガラスだけでなく、湯飲みや平皿、すり鉢など、なんでも花器になります。「花も飾れる、小物入れにもなる」。そんなふうに想像を豊かにして器とつきあえば、モノを増やさなくてすむので、おすすめです。
  • 写真4

  • 写真5
  • “ついで”の花掃除
    実をいうと掃除は苦手なのですが、花を飾るようになって、掃除が習慣になりました。“ついで”の花掃除と呼んでいます。花をしつらえる窓辺やチェストの上は、ホコリがたまりやすい場所。でも、花を飾るときに「ちょっと拭こう」という気づきが生まれて、きれいが広がっていきます。花のことを考えて「掃除をしなきゃ」と負担を感じることなく、自然に「きれいにしよう」という姿勢が生まれてくるのです。

    花が、私に教えてくれたこと
    土づくりをきちんとすれば、肥料が少なくても、たいていは丈夫な根が張るし、元気に育つもの。花と深く向き合っていくことで、たくさんの気づきがありました。旬の花を愛でるように、旬の食材を楽しむ。朝ちゃんと起きて、夜しっかり眠る。自然本来のあり方を大切にするようになりました。
  • 写真6

  • 子どものころから花と親しむ
    子どもたちは、すてきな花を見つける名人です。大人と違って視線が低いので、ふとしたことにも気がつくのでしょうね。一緒に花と付き合うことで、子ども達も季節を覚えていく。日頃から自然に触れていれば、さまざまな変化や違いに敏感になります。花を生活にとり入れるというのは特別なことではなく、日常のふとしたことに気づくようになることなのです。

    花を選べる大人に
    花を贈るときには、「その人はどんな性格をしていて、どんなファッション…」というふうに、相手のことを深く思いやります。贈られた方は、『その花に込められた想い』を考えるでしょう。花選びは、相手を知ることからは始まります。“人づきあい”という言葉と同じように、“花づきあい”という言葉があっていいと思います。子どもの頃から花に親しみ、すてきな花を選べる大人になるとステキだと思います。
  • 写真7

profile

平井かずみさん
平井 かずみさん
フラワースタイリスト、café イカニカ(東京・自由が丘)を拠点にして、「花の会」「リース教室」を主催。草花をもっと身近に感じられるような「日常花」の提案をしている。執筆活動や雑誌などでのフラワースタイリングをはじめ、ラジオ番組にも出演中。

WEBサイト
ikanika.com

information

『フラワー スタイリング ブック』
『フラワー スタイリング ブック』
写真と解説付きで、いちばん魅力的な咲き姿を引き出す45のアレンジをわかりやすくステップに分けて紹介。花のいけ方、つきあい方、器選びまで、さまざまなエッセンスがたっぷり詰まった一冊。2015年3月出版(河出書房新社)



住まい実例