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interview

正解のない時代に
パパの子育て

育児・教育ジャーナリスト
おおたとしまささん

子どもが無邪気に抱きついてくるのなんて、幼い頃だけ。
「今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と脱サラ。
イクメンの先駆けとして、パパの子育てを実践しながら、
育児・教育ジャーナリストとして活躍する、おおたとしまささん。
インタビューテーマは、“パパの子育て”
子どもの豊かな人生のために、親ができることを聞いた。

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  • 先行きが不透明な時代だからこそ
    グローバル化やITの進化、不況などで先行きが不透明な時代。子育てしているパパやママは、子どもの未来に不安を感じてしまいがちです。そして、幼い頃から学習塾に英会話やピアノ教室、水泳、サッカーと習い事ばかりを増やしたりしています。「正解のない時代」に、いろいろなことを詰め込みすぎても、解決にはならないと思うのです。

    子どもが自ら持つ力を引き出す
    教育とは手取り足取り教え込むものではなく、刺激や環境を与えて、子どもが自分で取り組む気持ちと能力を引き出すもの。名門校と呼ばれる学校に共通しているのが、生徒にヒントだけを与えて、自分の力で問題に取り組むように仕向ける教育姿勢です。子どもたちが、これからの時代をしあわせに生きていくためには、子ども自身が持っている“生きる力”が開くようにすることが大切です。

    子どもには、自己開発能力が備わっています
    子どもには元々、自己を開発していく力があると言われています。たとえば、手指の感覚を研ぎ澄ます時期には砂場遊びをしたり、空間把握力を伸ばす時期にはジャングルジムに登ったりするもの。だから親は先回りしてあれこれと与えるのではなく、子どもをよく観察して、何かを求められた時に、できるだけ応えてあげるのがよいのです。
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  • パパはマルチプレーヤーに
    昔は、大家族で暮らしていたり、ご近所との結びつきが強くて、日常の登場人物が多かったですね。多様な人間模様や価値観のなかで、さまざまな体験を通して社会を学んでいました。「正解はひとつじゃない」「人はそれぞれ違っていいのだ」なんてことを実感していたのです。

    ママとは違うパパの役割
    近頃は、パパもママも忙しくなっています。しかもママには、昔ながらのママの役割があります。そこで、パパにはママと違う視点で、マルチプレーヤー的にいくつもの役割が求められているのです。たとえば、将棋を指しながら昔を語るおじいちゃん役や、虫取りや木登り、どろんこになったりする近所のやんちゃ坊主役など。パパの役割が増えるほど、子どもの育つ環境に刺激と多様性が生まれるのです。
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  • パパと、近所にアドベンチャー
    僕は子どもを、近所の銭湯や焼鳥屋に連れ出していました。子ども同士で遊んでいるのとは違う、大人のいる世界を見せることは刺激になります。年齢も職業も異なる大人たちと接することは、まさに異文化コミュニケーション。その交流を通して、世の中が立体的に見えてきます。 “人生いろいろ”を体感し、絶対的正解などないことを知るのです。そして、他人にどう言われようと揺るがない、自分の価値観をつくることができるのだと思います。

    遊びを手作りしよう
    子どもは、丸めた新聞紙があるだけでも「こうしたい」「こうやって遊ぼう」と、クリエイティビティを発揮します。チラシを丸めて投げ入れる“ごみ箱バスケット”や、僕の描いた絵を当てる“お絵かきクイズ”と、いろいろと楽しんでいました。手作りのおもちゃも作りました。竹を輪切りや半円に切るだけで完成する積木。我が家では「ちくわ」と呼んでいます。子どもたちは、「ちくわ」を作る際に出た切りくずを、黄粉に見立てて泥団子にまぶしたりして、遊びが広がっていましたね。

    仕事場は、理科実験室
    僕の仕事場のドアには、長女が書いた理科実験室の紙が貼られています。仕事場には、15歳のカメやイモリの水槽や理科の実験道具、顕微鏡を置いています。たとえば、じゃがいもにヨウ素液をつけて反応を見たり、身近なモノで実験をしています。学校で用意された材料でなくても、同じ結果が生まれるのは、子どもたちにとって世界の秘密を知るようなワクワクする出来事です。
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  • 家じゅうで、知的好奇心を刺激する
    家じゅうに、子どもの好奇心を刺激するアイテムがあります。リビングに地球儀があれば、テレビ番組で見た国がどこにあるのか、すぐに探せます。数字のオモチャやパズルなどがあれば、遊び感覚で数字に親しめます。僕が本を好きなこともあり、リビングや階段の踊り場、トイレの中など、あちこちに本を置いています。タイトルを知っているだけでも、その本を身近に感じるものです。そのうち教科書に出てきたりして、ふとしたきっかけで自ら手に取ってくれればいいなと思います。

    本を通じて、僕の価値観を伝えたい
    本棚の一角に、自分の好きな本ばかりを並べたコーナーがあります。そのなかには、子どもが大きくなったら読んで欲しいと思う本があります。子どもたちに直接言葉で伝えられることって、意外に少ないんじゃないかと思います。僕が伝えきれなかったことを、僕よりも雄弁な本が、子どもたちに語ってくれる。“武士道“は、長男が生まれた時に、いつか読んで欲しいと思い購入したものです。
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    写真 右:おおたさんが子どもたちに読んで欲しいという本。「君たちはどう生きるか」「かもめのジョナサン」「武士道」「アルジャーノンに花束を」「悪魔の辞典」「青い鳥」「アルケミスト」「森の生活」「楽園」「ネイティブ・マインド」「老人と海」など

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おおたとしまささん
おおたとしまささん
育児・教育ジャーナリスト。株式会社リクルートを脱サラして、育児や教育をテーマに執筆・講演活動を行う。新聞・雑誌への寄稿や、『パパのトリセツ』『忙しいビジネスマンのための3分間育児』『名門校とは何か?人生を変える学舎の条件』など著書も多数。心理カウンセラーの資格を持ち、サイト「パパの悩み相談横丁」では、子育てに悩む親たちから相談を受け付けている。

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『パパのトリセツ』
『パパのトリセツ』
子育てをラクにするカギは、「パパ」にあります。パパを「全自動育児ロボット」に育て上げれば、子育てにもゆとりが生まれる。ママの子育てをラクにするヒントがつまった一冊。2012年8月出版(ディスカヴァー・トゥエンティワン)



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