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interview

リビングの代わりに
「アライビング」

ミサワホーム チーフデザイナー
仁木 政揮さん

これまでの「リビング」の代わりに、
親子の体験共有空間「アライビング(ALIVE+ING)」を
住まいの中心に設けた住まいづくり。
ミサワホームが、少し先の未来を考えた構想です。
今回は、建築士・仁木政揮さんに、
その詳細についてインタビューしました。

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  • 自分のやりたいことができる時代に
    最近ではあらゆるモノにAIやIoTが普及してきて、家電も多機能で家事などもずいぶん楽になりました。また、サテライトオフィスの導入による通勤時間の短縮など、働き方が変わってきています。これからは、やらなければいけないことが減り、“やりたいこと”に使える時間が増えていくでしょう。

    新しい時代の親の背中
    昔は、親の働く背中を見て、子どもは育っていました。近代になり、親の背中が見えなくなりました。さらにスマートフォンなど情報端末の進化により、ひとりで完結できることが増え、家族の時間が減ってきています。私たちは、好きなことで家族がつながってほしいと考えています。たとえば、親がカメラやバイクいじりに没頭したり、料理を楽しんだり、自分の好きなことに打ち込んでいる姿を子どもが見て、ときには親子で一緒に体験することで、家族が育まれていくという考えです。
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  • 親子の体験空間「アライビング」
    私たちは、従来のリビングの代わりに、親子の体験空間「アライビング」を提唱しています。そこは、日常を過ごす(LIVE)場所ではなく、生き生きと活動する(ALIVE)場所。一人ひとりが自分の時間を過ごすことができ、それぞれが好きなことを楽しめる自由なスペースです。

    なんでもできる大きなボックス
    「アライビング」に決まったカタチはありません。私のイメージでは、広くて天井が高い居心地のいい大きなボックス。ユーティリティが高くて、家族それぞれが好きなモノを持ち込んでは、思い思いに過ごしていく。そこで、お互いを感じながら、好きな音楽や本などの趣味で自然とつながっていくのです。

    心地のいい場所で過ごす
    「アライビング」は住まいのなかで、いちばん心地のいい場所がいいですね。そこに、家族が自然と集まってくる。そして、いろんな居場所があって、それぞれがくつろげる場所で過ごしていくのです。ちなみに、子どもや猫は居心地のいい場所を見つける名人。陽当りのいい場所、風の気持ちいい場所、自分にとって、その日のいちばん心地いい場所で過ごしていくものです。
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  • ソファの配置は自由自在に
    今回、撮影しているこのリビングのソファは、いろんな方向を向いています。これまでの常識だと、ソファは向き合って座るもの。この配置は、家族がそれぞれ好きなことをしながら、つながることを想定しています。子どもはテーブルで勉強したり、ソファに座ったり、外を見ながら考えごとをしたり、背中越しで父の読書を感じたり。自由に過ごしながらも、子どもは親の気配を感じて、育っていくでしょう。

    世の中の流れも同じ
    最近の空港のロビーなどでは、自由自在な使い方ができるように、ソファは一定方向に並べるのではなく、ランダムにレイアウトされています。大学の図書館ではディスカッションできる交流スペースを設けています。静かに座っているだけではなく、グループワークできるように変わってきています。これからは世の中も「アライビング」になっていくのかもしれません。
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  • 昔の居間が新しい「アライビング」に
    「アライビング」は、昔の居間のような空間に近いとも言えます。居間では家族の団らんや子どもの勉強はもちろん、朝昼晩は食堂でもあり、来客があればおもてなしの場でもありました。家ごとに大きさやしつらいも、役割も違いました。今では家族がくつろぐ場所として、リビングが居間に取って代わりましたが、時代が変わることで、今度はリビングのあり方が「アライビング」のような形へと変わっていくのではないでしょうか。

    住まいが家族をつくる
    日本は、気配の文化です。日本の家屋は、空間を“区切る”のではなく、“区分け”してきました。ドアで閉じるのではなく、障子や襖で仕切ることで、声や影といった気配から相手の存在を感じとり、察することと思いやることを身につけてきました。「アライビング」は大きなボックス。オープンな空間で、自然に家族への理解や共感、気づかいの心などを学ぶことでしょう。

    モノよりコト。子どもたちに体験を
    人が求める豊かさは、モノからコトへと移っています。価値観が多様化し、今の子どもたちにとっては、それぞれに生きる意味を見出すことが難しくなっています。「アライビング」で、親子が趣味や体験を共有して、豊かな生き方を示すことは、子どもたちが自分にとっての生きがいを見つける学びの場になります。そうやって満たされていくことで、自分の人生に強く幸せを感じられるようになると思います。


    撮影:ミサワホーム 「CENTURY Primore」 新・川崎展示場
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仁木 政揮さん
仁木 政揮さん
ミサワホーム(株)商品開発部チーフデザイナー、一級建築士。「INTEGRITY(インテグリティ)」「GENIUS 蔵のある家(防災・減災デザイン)」をはじめ、同社の新商品コンセプト構築、企画開発、モデル棟の建設などに携わる。

関連サイト
未来をデザイン MISAWA 50th



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