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interview

自宅でテレワーク。
そしてその先へ

ミサワホーム総合研究所
富田晃夫さん

テレワーカーが増えるなかで、
住まいの在り方はどうあるべきなのか。
在宅ワーク空間「ミニラボ」の開発者であり、
テレワークに関する研究をしている
ミサワホーム総合研究所の富田さんに、
その考えを聞いた。

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  • 日本人の暮らしの価値観を大きく変えるチャンス
    ここ数年、働き方改革がトレンドワードになっています。その変化のスピードは、とても速い。私を取り巻く状況も大きく変わり、帰宅する時間は早まりました。小学生の子どもと遊ぶ時間が増えて、毎日の生活が変わりました。これまでの働き方を反省しましたね。現在、進行している働き方の変化は、日本人の暮らしの価値観がより豊かに変わる大きなチャンスだと思います。

    ママが働きやすい「ミニラボ」
    私たちは、2012年に将来のワークスタイルの理想像を描き、次世代の住宅のスタンダードモデルのひとつとして、2.5畳の在宅ワーク空間「ミニラボ」を発表しました。当時、女性の就労人口はM字曲線と言って問題視されていましたが、ママが働きやすい空間をつくることで、仕事も、暮らしも、家族の時間も充実させられる。そういった思いが込められています。
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  • これまでの住まいの常識ではストレスフル
    働く場所が自宅であっても、仕事の上ではオフィシャルな姿勢が求められます。在宅テレワークをフル導入している企業を調査したところ、パソコンとインターネット環境さえあれば仕事ができると思っている人たちが多いなか、実は、住まいという環境そのものが仕事仕様になっていないことで、テレワーカーの方々には大きなストレスになっていたのです。

    オフィシャルな場に生活が見えてしまうという悩み
    テレワーカーの方々にヒアリングをしてわかったのは、WEB会議の際に生活感を出さないことに苦労をしているということでした。多くの方が、WEB会議の時には後ろにロールカーテンを下ろしたり、WEBカメラに近寄って画角を狭めることで背景が映り込まないようにしていました。会議中に子どもが横切ったり、洗濯物が見えたり、無防備に暮らしの断片が見えないように工夫をしていたのです。
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    2.5畳の在宅ワーク空間「ミニラボ」

  • ミニラボは2.5畳の個室
    「ミニラボ」は、リビングに隣接する個室という設計を推奨しています。家族のそばにいながらドアを閉めることで、ふだんの生活を遮断して、ON・OFFを切り替えられます。また、WEBカメラから見た時に背景は本棚収納になっているので、いちいち見た目を気遣う必要もありません。外から鍵をかけられるので、セキュリティの面でも安心です。知らないうちに、子どもが仕事の資料を散らかしたりすることもありません。

    多彩なアイデアが詰まっています
    最近はフローリングの床が大半ですが、ミニラボの床はタイルカーペット。キャスター付きの椅子を使っても、傷がついたり、転がる音が気になったりしません。最近の住宅は残響音が気になりますが、タイルカーペットは適度に残響音を吸収し、WEB会議などでも聞き取りやすい音場にしてくれます。また、デスク脇のドアホンは座ったまま確認ができるので、子どもの帰宅や宅配便に対応できます。ミニラボの開発にあたっては、ママやプレママを中心にした社内チームをつくってアイデアを出しあい、さらにテレワーカーとして活動されている方々の意見を採り入れました。
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  • 私の自宅にも「ミニラボ」
    私の自宅に、新築時に3畳ほどの趣味のスタジオを設けました。自分でも「ミニラボ」的な世界を体験したいと思い、その部屋でテレワークの実証実験をしています。やってみて分かったのは、マイ「ミニラボ」に入ることで仕事のスイッチが入るということ。スムーズに集中モードに切り替えられます。それに目や耳から入る情報がほどよく限られているので、深く集中できます。

    働く3つのモード
    しかし、集中ばかりでは疲れてしまいます。仕事では“集中モード”だけでなく、“創造モード”や“ながらモード”と、3つの異なるモードを組み合わせて初めて効率があがります。集中して作業を進めたいときは、マイミニラボに。新しいことを考えるときは映像を見たり、話しあったりして知的な刺激を受けるのがいいですね。メールチェックなどはリビングで“ながらワーク”に。適度な生活音があることで、効率が上がります。この3つを切り替えながら、ワークするのがいいですね。
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  • クリエイティビティを育む
    AIなどが当たり前になる時代がやってきます。これからは、与えられた環境で効率的に仕事を進める能力だけでなく、独自の視野やノウハウ、人脈をベースに、新たな視点を加えたクリエイティビティを発揮する能力が求められてきます。そのためにワークスタイルも変わっていきますし、在宅テレワークすることも増えていくでしょう。そのため、先ほどお話しした3つの働くモードを可能にする住まいが必要になってきますね。

    働き方が変わり、人生が豊かに変わる
    働き方改革が進む中で、ますます自宅でのテレワークも増えていきます。テレワークは時間を有効に使えますし、家族と過ごせる時間も増えます。特に子どもが成長していくなかで、一緒に過ごす時間はとても大切で、家族それぞれの人生を豊かなものへと変えていくでしょう。そうして日々の暮らしに充実感を感じられることは、日本の社会がよりよく変わっていく原動力になっていくと思います。
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profile

富田晃夫さん
富田晃夫さん
(株)ミサワホーム総合研究所 フューチャーセンター 市場企画室室長、かぐやプロジェクト、ホームOS推進プロジェクトに所属。首都大学東京および立命館大学客員研究員。総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」や、テレワークを活用した働き方改革の国民運動プロジェクト「テレワーク・デイ」を通じて、自治体のまちづくりに貢献している。

関連サイト
在宅ワーク応援住宅



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