INNOVATE NEXT [微気候デザイン 開発秘話]

06 INNOVATE NEXT 快適の、その先へ。

自然に抗わない。取り入れてこそ、
住まいは進化する。

見えない
「微気候」の
正体をつかめ。

「微気候デザイン」とは、伝統的な住生活の知恵と現在の先進テクノロジーとを融合させ、蒸し暑い夏も寒い冬も快適に過ごせる住まい・まちづくりのために開発された設計手法のことである。夏の暑い日、昔ながらの日本建築に入っていくと、エアコンもないのになぜか涼しく心地よい。この日本の伝統的な住環境のよさを無意識のうちに体感していた開発担当者は考えていた。
この定量化されていない住み心地を、現代の住まいづくりに取り入れたいーー。そこで、建築環境工学の第一人者である東京工業大学大学院の梅干野教授にコンタクトを取り、共同研究に踏み出した。住まい周辺に形成されるごく狭い範囲の気候=「微気候」を測定し可視化しようと考えたのである。1990年代当時、この目に見えない「微気候」を捉えようとする者はほとんどいなかった。当時の住宅
業界では「全館空調」が全盛であり、彼らの理想とする「全館開放」という考え方は真逆を行くものであった。そんな中でも彼らは気温・湿度・風向・風速・表面温度・放射温度・全球熱画像など多岐に渡る調査を実施。3年分におよぶ調査データを分析するうち、「微気候」が住環境に大きな影響を及ぼすことを裏付ける結果が出てきた。見えない「微気候」の正体が明らかになってきたのである。

1本のケヤキの大木が物語ること。

その頃、一つのまちづくりプロジェクトが立ち上がっていた。通称「宮崎台」プロジェクト。現在
の土地オーナーが心血を注いで植樹し、50種もの樹木が豊かに茂るこの地に、ミサワホームが新たに
まちをつくる。その条件はこの木々を残すこと。中心人物であったまちづくり設計担当者にとって、それは「緑を生かすランドスケープデザインに思う存分取り組むことができる」またとないチャンスであった。しかし彼の前に立ちはだかったのは、1本のケヤキの大木だった。このケヤキがあると建物がどうしてもうまく納まらない。何度もプランニングをし直した結果、ケヤキを取り囲むコの字型プランが採用され、緑を大胆に取り入れたランドスケープ
デザインが完成した。風の流れまで計算したそのまちは、木々を渡る風が家の中を吹き抜ける心地の良いまちとして生まれ変わった。現代の住まいづくりではなおざりにされてきた周辺の微気候は、住まい内部環境の心地よさと密接につながっていたのである。このまちこそが「微気候」調査の舞台に選ばれ、のちのミサワホームの「微気候デザイン」の生みの親となった。

都市にこそ、
微気候デザインを。

ヨーロッパには、太陽光や熱、雨、地熱、風などの自然エネルギーを利用して室内の温度や湿度をコントロールする「パッシブデザイン」という建築デザイン手法がある。入社以来、このパッシブ
デザインの研究に従事してきた担当者は、微気候デザインの開発をサポートした一人である。「微気候」は地域によって大きく異なるため、「全国の気候データが揃えば、量産化後の設計・施工マニュ
アルの作成に役立つはず」との思いから、全国各地1,200の観測地点、600万の気候データを解析し、地域の気候特性を活かした住まいづくりを進めたのである。そうして「微気候デザイン」住宅のプロトタイプというべき試行棟ができあがっていった。
この試行棟の設計担当者は考えた。「微気候デザイン住宅の心地よさを、すべての人に提供したい。それには、郊外だけでは足りない。都市にこそ、この微気候デザインを広めるべきだ。」都市の住宅は、敷地の狭さゆえに植栽や採光・通風が確保しづらく、プラ
イバシーや防犯上の点からも開口サイズに制約がある。その条件をクリアして、いかに都市で「微気候デザイン」を実現するか。「そうだ、水平方向から採風するという考えを捨てて、屋根の風を利用しよう。」そして開発されたルーバーデザインの性能が評価され、
2006年のグッドデザイン賞も受賞。都市型の微気候デザイン完成の瞬間であった。誰にとっても心地よい住まいとはーー。そんな問いかけがある限り、住まいの進化は止まることがないだろう。

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