INNOVATE NEXT [ゼロ・エネルギー住宅 開発秘話]

03 INNOVATE NEXT ゼロ・エネの、その先へ。

全棟ゼロ・エネルギーへ。
業界初の技術で、理想に挑む。

合言葉は、
「我慢しない省エネ」。

ゼロ・エネルギー住宅とは、エネルギーを自給自足する「自立した住まい」のこと。たんにエネルギーを生み出すだけでなく、省エネを実現しないことには成功はおぼつかない。その省エネ化に関して、ミサワホームの開発チームでは、チーム全員がある決意をして
いた。それは「住まう人に決して省エネのために我慢をさせない。」ということだった。従来の発想では、開口部を減らすといった引き算の観点で省エネ化を進めるというのが常識であった。たとえば、私たちが慣れ親しんできた日本の伝統的な住ま
いは、風通しはよいが外気温に影響されやすい。一方、窓が小さく高断熱の空間は、エネルギー効率には優れるものの、生活するには開放感が少ない。
このような二律背反の課題を解決するため、まず開発チームは設計プランニングによる省エネを模索。太陽の日射量は建物の南面が
一番大きいように思われるが、じつは東西面が特に影響を受ける。そこで東西に長いプランにすることでその影響を小さくすることが
できるというわけだ。もちろん開口部の部材についても検討が重ねられた。気密性・断熱性を向上させながら、安らぎやくつろぎを取り入れたい。そこで着目されたのが「M-Wood」。ミサワホームオリジナルの新しい木素材だ。リサイクル素材で断熱性にも優れるほか、木のもつあたたかみがある。
「我慢しない省エネ」という合言葉は、部材の選択までにも活かされていたのである。

立ちふさがった
「商品化」のハードル。

そもそもミサワホームのゼロ・エネルギー住宅への歩みは長い。1971年、ミサワホーム総合研究所における「省エネルギー研究チーム」の発足を皮切りに、時代の要請に先駆けて省エネルギー住宅の
研究開発に力を注いできた。まずは、住宅そのものの断熱・気密性能を高めてエネルギー損失を抑えること。次に、エネルギーを無駄なく使う高効率機器の研究・開発。そして、エネルギーを生み出す「創エネルギー」の研究開発である。一年を通して温度が安定している井戸水に着目したり、車の冷暖房方式を住宅に応用する方法を模索したり、はたまた太陽を
追尾して180度回転する「回転する家」を発表するなど、斬新な発想に基づく研究を数年にわたり試行錯誤した末、研究所の責任者は1991年にとある結論にたどり着いた。「住宅の省エネは、行き着くところまで行った。次は創エネ、太陽光発電だ。」しかし、当時の太陽光発電は人工衛星や電卓に使われているものがほとんど。住宅用の太陽光発電などあるはずもな
かった。それでも、困難であるほど闘志を燃やす開発メンバーたち。ついに彼らがたどり着いたのは、屋根を太陽光発電のパネルと一体化するというアイデアだった。このコロンブスの卵の発想が生まれたことで、開発プロジェクトが勢いづく。しかし順調に進む開発プロジェクトの前に、新たな壁が立ちはだかった。
それは「商品化」という壁であった。全国に展開する住宅メーカーだからこそ、商品化には全国対応の建物にする必要があった。ところが当時、エネルギー消費量の多い北海道においては、エネルギー住宅の建築事例が皆無だったのだ。いよいよプロジェクトは正念場を迎えた。

ついに手にした
ゼロ・エネ
「世界初」の称号。

選ばれたのは、厳寒の地である旭川。この地に試行棟を建設し、北海道でもゼロ・エネルギーが可能なことを立証しようとしたのである。その仕様決定を任された担当者は苦悩していた。従来の仕様を踏襲しただけではエネルギー収支
がゼロにはならなかったからだ。「やはり一番のポイントは、断熱性能をあげることにつきるだろう。」そこで、壁パネルの二重化や窓ガラスの改善、空気を循環させる壁のスリットの開発など新しい試みを積み重ねた末、ついに
旭川でも「ゼロ・エネルギー住宅」の性能が実証された。
やがてこの試行棟に導入された仕様を基本として、世界初の「ゼロ・エネルギー住宅」である「HYBRID-Z」が完成、1998年より発売を開始する。実質的な開発着手から20年もの歳月が経とうとしていた。しかし、彼は一抹の懸念を抱いていた。「社内の実証データだけでは不十分だ。」そこで、旧建設省所管の(財)建築環境・省エネルギー気候に委員会
を立ち上げてもらい、ゼロ・エネルギー住宅の評定基準をつくってもらうよう働きかけたのである。その結果、ゼロ・エネルギー評定制度の第1号を受けることとなり、公的な制度による名実ともに「ゼロ・エネ」を実現できた。さらに、1999年度の日経地球研究大賞を業界で初めて受賞し、海外からも賞賛の声が寄せられることとなったのだった。

「CO2マイナス住宅」への、
世紀を超えた挑戦。

そして、これからはゼロ・エネルギー住宅のその先へ。「環境に対する負荷を減らす」というこれまでの住まいづくりの視点から、「環境に対する負荷をなくし、さらに貢献する」という視点へシフト。建設時から生活段階、そして最終的な廃棄に至るまで、住宅のライフサイクル全体のCO2収支をマイナスにする住まいづくりを目指し、高井戸プロジェクトが立ち上げられた。これまで培ってきた
ゼロ・エネ技術をベースに、環境技術のさらなる向上を追求。太陽光発電と集熱によって生活エネルギーをまかなうと同時に、高い省エネルギー技術によって効率よく使い、年間の消費エネルギー量を超える創エネルギー量を実現する。この毎年の差し引き分を積み上げることによって、建設時に排出したCO2までも生活段階で回収することが可能となるのだ。こうして2010年、ついにライフサイクル
CO2マイナス住宅「ECO Flagship Model」を発表。そして翌2011年には、環境技術を標準装備した量産タイプのライフサイクルCO2マイナス住宅「GENIUS LCCO2マイナスモデル」の販売開始へと漕ぎ
つけたのである。これからも、大樹のように長い時間をかけて地球環境に貢献できる住まいづくりへ。ミサワホームの世紀を超えた挑戦は、まだまだ続く。
※「LCCM®」「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」は、財団法人 建築環境・省エネルギー機構が保有する商標です。
ミサワホームは、使用許諾に基づき使用しています。

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