飛島建設株式会社(東京都港区港南、代表取締役社長乘京正弘)、住友林業株式会社(東京都千代田区大手町、代表取締役社長市川晃)、ミサワホーム株式会社(東京都新宿区西新宿、代表取締役社長執行役員磯貝匡志)(以降「3社」)は、木材を活用した地盤補強工法として一般財団法人日本建築センター(以降「BCJ」)初の評定を2018年1月26日付で取得、このたび評定に係る各種手続きを完了しBCJに最終図書が受理されました。建築分野の技術認証機関であるBCJの評定取得をもとに、丸太を使った軟弱地盤対策工法を確立していきます。
軟弱地盤上に建物を建築する際には、安心して永く住み続ける上で建物が不同沈下しないよう地盤を補強することが重要になります。木杭は1950年代頃まで多く使われてきましたが、戦前・戦後の森林資源の枯渇、鉱物等地下資源の利用拡大などによりほとんど使われなくなりました。一方で、木杭の鉛直支持力※は、同形状のコンクリート杭や鋼管杭に比べて一般的に大きいことが知られています。そのため 3社は新しい軟弱地盤対策工法として木材を活用する「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック(LP-SoC)工法」の共同開発を進めています。
今回BCJの評定を取得したのは、地中における丸太単体の鉛直支持力の設計手法、施工方法、現場品質管理方法に関するもので、戸建て住宅等への使用を想定した「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック(LP-SoC)工法」開発への第1ステップとなります。飛島建設が本研究開発計画の立案、進捗等の総括管理を担当し、3社で研究開発の実施、実用化の検討を行い、住友林業とミサワホームがこれまでの経験を活かし、BCJ評定取得の対応を担当しました。
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今後3社は丸太頭部の処理方法や継ぎ丸太への対応、住宅地等における平面的な地盤補強の設計方法および品質管理方法を課題として研究開発を進め、次ステップの評定を取得し2019年度の実用化を目指します。また木材を活用した本工法は新たな木材需要創出にも繋がります。現在、戦後に植栽されたスギ、ヒノキなどが伐期を迎えており、国産材の利用拡大、自給率の向上への取り組みが加速しています。地盤補強対策に木材を積極的に活用することで、持続可能な森林経営にも貢献します。さらに、光合成により二酸化炭素を吸収し、炭素として固定した木材を半永久的に活用することで、環境にも配慮します。 ■丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック(LP-SoC)工法軟弱な粘性土地盤のほか、砂地盤との互層地盤なども含む軟弱地盤に建築する戸建て住宅等への使用を想定し、スウェーデン式サウンディング試験*結果を用いた丸太単体での許容鉛直支持力の算定式を構築しました。小規模建築物の地盤補強に用いられる一般的な許容鉛直支持力の算定式に評定で認められた係数をかけることにより、丸太を用いた場合の鉛直支持力は従来よりも大きく見ることができる様になります。使用するのは、皮を剥ぎ両端面を平坦に切断した生の丸太で、樹種はスギ、カラマツ、ヒノキなどです。LP-SoC工法は丸太頭部が常に地下水位以深にあるため地盤補強材は半永久的に使用することが可能です。丸太は、木材活用地盤対策研究会(参照:以下ご参考欄)指定先企業が品質を含めた管理を行います。
※スウェーデン式サウンディング試験: |