ミサワホーム株式会社(代表取締役社長三澤千代治)は、独自の最新技術、100%リサイクル素材の「Mウッド2」においてリサイクル処理を10回重ねた結果、初めて完成した状態とほぼ同様の強度と外観が得られることがわかりました。これは急務とされる環境問題に対し10倍の効率を持つ、優れた素材であることを意味するものです。
世界の現在の環境状況は、資源消費量を少なくとも半分まで緊急に削減することが求められています。と同時に豊かさに関しては2倍に増やすように要求されています。このためには持続可能な水準として環境効率を向上させることが必要であり、その指標に“ファクター10(テン)”が挙げられます。“ファクター4”に端を発し、2050年までに資源生産性を10倍にすることを目指しています。
ミサワホームのMウッド2は、このファクター10の求める資源生産性を、10回のリサイクルによっていち早く実現しました。世界的レベルでもここまで実験しているところはありません。
Mウッド2は木材を主材料として、その他合板、断熱材、石膏ボード、防水 シート、電線被覆材など建築現場や工場から排出される部材をパウダー化し、そこに廃プラスチック(各種プラスチックシート、農業用フィルム、自動車バンパーなど)をリサイクルした樹脂とを配合した後に成形しているため、材料資源の消費がほとんどありません。これを再度パウダー状に粉砕するリサイクル処理を10回行ったところ、1回目に成形したときと変わらない強度と外観を保つことを実証しました。
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再生の際、素材の分離、洗浄、塗料の剥離といった手間もなく、リサイクル後も形を自由に加工できます。
現在エクステリアとしての活用が主で、風雨や紫外線にさらされることが多く多少の劣化は起こりますが、生物劣化しないので表面の美観塗装、もしくは保守管理を5〜10年に一度施す程度のメンテナンスで済みます。10回のリサイクル処理を行った結果、処理後の素材にはごくわずかな劣化部分が混合されるだけでした。
さらにMウッド2は、生分解しないプラスチックに、体積の75%の生物劣化しうる木粉を加えても構造は生分解しない状態を保っています。これも10回のリサイクルを重ねた後の状態との比較では、構造が変化せず、耐久性の維持が証明されました。
ミサワホームでは、Mウッド2は10年に1回の保守管理を10回行い、その後100年毎に粉砕再生を10回行うことで、1000年以上の使用が可能であると考えています。
■リサイクルの実験方法
Mウッド2の促進劣化テストは、ミサワホーム総合研究所内の促進耐候性試験用のメタリングウエザーメーターを使用しました。この試験機におけるスーパーUV試験は、一般のサンシャインウェザオメーターの、約10倍の耐候促進能力をもっています。粉砕して押し出し成形後、表面仕上げを施したMウッド2にメタリングウエザーを1000時間、即ち一般試験で10,000時間かけると、屋外に30年間放置して直射日光や風雨にさらされた状態とほぼ同じ効果(促進効果)があります。この“粉砕→成形→塗装・メタリングウエザー”という作業を10回繰り返し、300年経過したものと同じ状態のMウッド2を測定した結果、初めて完成したMウッド2の強さ・外観・耐久性などに変化がみられないことが判りました。
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■ファクター4とファクター10
環境破壊への急務策には、相当な規模の資源生産性、あるいは環境効率の向上が求められます。東京大学生産技術研究所の山本良一教授によると、現在世界人口の20%を占めるOECD諸国が全世界の資源エネルギーの80%を使用しており、貧しい20%の諸国はわずか1%の使用です。この80倍の格差を是正するには、ただちに20%までエネルギー使用を下げる必要があり、4倍の資源生産性の向上をファクター4といいます。
資源生産性は、製品性能を物質集約度で割ったものと定義され、製品の性能を2倍にして物質集約度を2分の1にすることでファクター4が達成できます。
これに対して2050年までの長期目標として、ファクター10が提唱されています。環境影響を、“人口”と“人口分のGDP”と“GDP分の環境影響”を掛けたものとした場合、環境影響を1とした1990年と比較すると、2050年に“人口”は2倍、“人口分のGDP”も5倍に増えます。2050年の環境影響を1990年レベルに抑えるためには、“GDP分の環境影響”が10分の1でなければなりません。これがファクター10です。すなわち資源生産性を10倍に高める必要があるのです。
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以 上 |