■「和」への志向 |
日本の住宅様式は、伝統的な和風建築から洋風の建築へと戦後大きく変貌を遂げており、昨今では新築住宅の多くは洋風の空間を主眼として作られています。しかし、生活様式が多様化していく中、実際の暮らしにおいて洋風の空間が「くつろぐ空間」としてうまく機能しているかと言えば疑問が残ります。
ミサワホーム総合研究所が行っている「生活のありよう調査2003」によれば、“洋風のリビングでも冬はコタツでくつろぐ”割合は30.5%、“ソファーにもたれて床に座ることが多い”割合は34.4%という結果が得られています。 |
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同様に日本古来の伝統行事である雛人形、五月人形、正月の鏡餅等を飾る割合は55.9%となっており、和の生活習慣が根強く残っていることも伺えます。特に50代、60代の「住宅は和風のほうが好き」という割合は、それぞれ50.9%、57.1%(JNNデータバンク2002)と非常に高く、和風住宅のマーケットが大きく存在していると考えられます。 |
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■「和」のデザインと日本人の美意識 |
和風建築には建築様式や加工方法などにより数多くの伝統的なデザイン、美しさがあります。ミサワホームは、デザインコンセプトである「シンプル・イズ・ベスト」と、古くからある日本人の美意識から「堅・楚・懐・整」(けん・そ・かい・せい)の4つのキーワードを結び付け、工業化住宅ならではの手法で「SUKIYA」をデザインしています。
伝統の深い軒を踏襲した下屋設計は、屋根と一体にデザインされた雨樋によって水平ラインが美しく強調され、安定感のある佇まいを実現しています。また自然色の外壁材は塗り壁調で、経年変化を感じさせる落ち着きを演出します。 |
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SUKIYAは華美な和風ではなく、使いやすい心地よい空間として21世紀の和風を提案します。
堅=しっかりとしたつくり、水平垂直を意識した安定感のある意匠
楚=シンプル、清楚、モダンで飽きがこない
懐=懐が深い、奥行きがある陰影、軒の出、奥まった窓
整=隅々まで行き届いたデザイン、整理された窓の高さ、屋根、棟瓦 |
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■「和」のもてなし |
庶民の家にも「客間」があるように、和風住宅はいたるところに「もてなし」の空間を作ってきました。SUKIYAにはもてなしの空間が数多く盛り込まれています。
玄関、前庭、後庭、勝手口と、迎える人たちとの距離感に応じた入り口が設けられています。これによって現代では希薄になりつつある近隣とのコミュニケーションを、間取りの面から見直すことができ、安心して暮らせる一つの手法です。
玄関フロアは畳敷きになっており、正座をしてお客様を迎え入れることができ、横に大きく広がる水平玄関収納は、飾り棚の役割も果たすことで大切なお客様をもてなします。 |
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土間に下りるキッチンスペースは、食卓の座面と目線が同じ高さになるように設計してあり、調理の雰囲気を本格的なものにし、料理を作るところを見せることから楽しんで頂ける空間を構成しています。
また、自分へのもてなしとして、落ち着いて好きなことに没頭でき、自分だけの時間を楽しむ場所「書院スペース」を広間の脇に設置しています。 |
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■和みの空間 |
和食が世界的に認められているのは、体に良いということが一番の理由です。日本的であるということは、その奥に体や心の健康を培ってきた知恵があります。住まいにおいても「和」はそのまま「和み」につながり、心地よい時間を過ごせる和みの空間は、身体の健康、心の健康につながっていると言えるでしょう。
SUKIYAのL字に配置された8畳の連続和室は、仕切り方によって「広間、座敷、客間」と変幻自在の構成で様々なシーンに対応、南北に窓を設けることで通風、採光など自然をふんだんに取り込める心地よい空間を作り出しています。 |
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「囲う、集う、食す」ことを目的とした食卓スペースは、言わば現代の茶の間です。高い天井と掘り座スタイルによってのびのびとした穏やかな時間を過ごすことができます。
また、浴室は洗面との一体設計によって閉塞感の無い空間を作り出し、庭を眺められる窓を配置することにより、くつろぎの時間を演出することが可能です。
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■和みの空間 |
・キッチンの収納力を補う「スルーパントリー」
・自分だけのくつろぎができる外から見えないバルコニー
・水廻りを広く使える独立洗濯室
・耐候性の高いM-Woodを使用した外部部品
・小屋裏を利用した大収納空間 |
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■お客様の希望より敷地固有の環境設計を(微気候設計) |
ミサワホームでは、南北に長い日本の気候風土に合わせた仕様をそろえています。全国を北海道北部型、北海道東部型、東北・北海道西南部型、東北東部型、北陸型、太平洋沿岸型、中央山地型、関東内陸型、山陰型、中部・近畿内陸型、九州型、瀬戸内型、南西諸島型、九州南部型の14のブロックに分け、地域特性を考慮した詳細設計としています。 |
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さらにお客様の申し出があれば、一つ一つの敷地に対して日照時間や風向き、高低差による影響などの詳細データを作成し、最も有効な軒の出や開口部の高さ、植栽の位置等までご提案し、自然の力を最大限利用した最適な居住環境を設計します。 |