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平成16年11月24
次世代耐震構造「MGEO(エムジオ)」発売  

○制震パネルの採用により建物の変形量を半減
○高減衰ゴムを一戸建て住宅に初めて採用
○阪神大震災クラス13回の実大振動実験により性能を実証

 ミサワホーム株式会社(代表取締役社長:佐藤春夫)と住友ゴムグループのSRIハイブリッド株式会社(代表取締役社長:田中宏明)は、制震構造について共同研究を行ってきましたが、このたび高減衰ゴムを利用した「制震パネル」を開発、次世代耐震構造「MGEO」(エムジオ)として12月10日より販売を開始します。(平成17年4月より納品開始)

 ミサワホームでは、住む人の安全を守り、安心な住まいを実現するために、技術的な研究を重ね商品を開発してきました。変形しにくい木質接着パネルによる「モノコック構造」は、大きな荷重がかかっても建物が一体となり力を分散して受け止め、地震力をスムーズに逃がすことが可能で、阪神大震災やこのたびの新潟県中越地震においても全壊・半壊はゼロでした。
 しかし、最近は各地での大地震、余震の多発により、住まいに対する考え方を根本的に考え直す時期を迎えています。大規模な地震による倒壊を防ぐだけでなく、中規模な地震、連続する余震等の「揺れ」をも軽減することで、内装の傷みや建物の損傷の少ない「究極の安心・安全」の実現が望まれています。

 今回開発した制震パネルに使用されている「高減衰ゴム」は、SRIハイブリッドが開発したもので、戸建て住宅には初めて使用されています。高減衰ゴムは、ゴムに加わった「変形」を「熱エネルギー」に変換し振動を吸収します。橋梁用制振材として北海道から沖縄まで数多くの使用実績があり、交通振動のような小さな振動、地震のような大きな振動、あるいはビルの風揺れのようなゆっくりした振動など、さまざまな振動を吸収できる材料として大きな注目を浴びており、高層ビルの制震構造材としても実用化が進められています。
この制震パネルを利用した「MGEO」は、地震、風等による揺れをおよそ半分に軽減し、繰り返しの振動に対しても安定した性能を確認しました。実大振動実験(於大林組技術研究所)では、818gal(阪神大震災レベル)×7回、1330gal(想定東海地震レベル)×3回、1636gal(阪神大震災2倍レベル)×3回の合計13回の揺れを4日間で行いましたが、構造体のみでなく建物内部の損傷もほとんど見られませんでした。

 「MGEO」は、全てのお客様に次世代の安心をお届けできるよう、敷地形状、地盤等の制約を受けずに設置が可能です。発売記念価格として1棟あたり税込50万円(建築面積100以下・平成16年度中)からで、年間販売3,000棟を目指します。

http://www.misawa.co.jp/kodate/tokutyou/pop-up/mgeo/index.html


*MGEO:Misawa Governance system for Earthquake Oscillation control

■制震パネル
幅91cm、高さ273cm、重量約170kg。建築面積100以下の2階建て住宅では、1階壁部分2箇所に設置します。地震の振動が、変位拡大機構(複合テコ原理を用いたミサワオリジナル機構)によりダンパー変位を増幅し、「減衰装置」に組み込まれた「高減衰ゴム」が地震の振動エネルギーを熱エネルギーに変換することで、住宅の揺れを小さくかつ素早く抑えます。

<写真1> 制震パネル(全体) <写真2> 減衰装置 <イラスト1> 制震パネルの増幅機能説明

■高減衰ゴム
「高減衰ゴム」は、SRIハイブリッド独自のゴム技術により開発された天然ゴムをベースとした特殊配合品で、大きさ7×7cm、厚み2cmのゴム2枚が3枚の鋼板にはさまれる形で各減衰装置にセットされています。
「高減衰ゴム」の主な特長は次のとおりです。

(1) 幅広い「減衰特性」

温度依存性が小さく、幅広い自然環境下で安定した 「高減衰性能」を発揮
使用温度-20〜+60℃での性能差±15%程度 (一般的な減衰ゴムは±50%程度)
「橋梁用制振材」として北海道から沖縄までの全国で使用実績

幅広い振動に対応し、高い減衰性を発揮(歪み依存性・速度依存性が小さい)
周波数0.1〜20ヘルツ(周期0.05〜10秒)の幅広い振動で 性能安定
性能差±15%程度(一般的な減衰ゴムは±50%程度)
(2) 優れた「耐久性」




繰り返し疲労特性に優れ、ゴムに力を伝える鋼板との接着も 強固(加硫接着)
±25%歪みで1千万回の繰り返し疲労実験を行ない、促進劣化試験で60年相当の耐用年数を確認済





寒暖の差が激しく、常に風雨にさられて激しい振動を受ける橋梁用制振材として、10年以上の使用実績があり、北海道から沖縄まで多くの橋梁で使用されている
ゴムの劣化がほとんどなく、基本的には取り替えなどのメンテナンス不要

■制震と免震
 建物を地震から守るために様々な技術が研究・開発されています。地震エネルギーを建物本体の耐震要素で受け止める「耐震」、地震エネルギーを支承材等の部材で建物に直接伝えない「免震」、受け止めたエネルギーをダンパーによって急速に減衰させる「制震」。より安全・安心な家づくり実現するためには、それぞれの特徴を理解して地震対策を設置する必要があります。

 最近注目されている「免震技術」は建物の基礎の上に設けた免震部材により、大地震のエネルギーを直接建物に伝えず吸収する方式です。免震部材は材料自体の性能について認可を受けていることにより、一般建築物に容易に取り入れることが可能でミサワホームでも既に施工実績があります。
 しかし、免震技術を使うためには地盤、隣地境界、作動条件等の様々な制約があり、ミサワホームの目指す「全てのお客様が使用可能な技術開発」という考えには合致せず、他の方法も検討する必要性が出てきました。

 今回採用の「制震技術」は、「制震パネル」を入れることで、大きな揺れから小さな揺れまで対応が可能です。また従来使用している木質パネルと同じ大きさ、納まり方法なので、敷地形状や地盤の制約を受けずに設置することができます。

■実大振動実験
 1997年11月、ミサワホームは東京大学と共同で「実大振動実験」を実施しました。この実験では、家具を配置し、人の重量も考慮して重りを置くなど、実際の生活条件を再現して行いました。三階建の「実大振動実験」は、世界でも初めての試みで、阪神大震災の際に神戸海洋気象台で観測された最大地盤面加速度818galを基本に、最大1,000gal(三階部分の応答加速度は2,500galに相当)の地震をも再現し耐震性を確認しました。

 2004年7月には明治大学と共同で「制震構造住宅の実大振動実験」を行いました。この実験では実際の建物(EDUCE)に制震パネルを4枚組み込み家具等も配置、818gal(阪神大震災レベル)×7回、1330gal(想定東海地震レベル)×3回、1636gal(阪神大震災2倍レベル)×3回、その他に最大2000gal(共振状態)の地盤面加速度を含め合計39回の揺れを4日間で入力しました。
 結果として構造体の損傷は無く、内部ドアの変形や全ての開口部入れられた窓ガラス等にも被害がありませんでした。

 また、阪神大震災クラス(818gal)の揺れではクロスの切れ等も見られず、1200galの加速度をかけた時点で、「MGEO」と従来の耐震構造を比較すると、変位量でおよそ1/2以下、振動の収束時間は2/3に短縮されていることが確認されました。



ミサワホーム株式会社
代表取締役社長 佐藤春夫

以 上

SRIハイブリッド株式会社
代表取締役社長 田中宏明

* この件に関するお問い合わせ
ミサワホームホールディングス株式会社
広報・IRグループ 田代 剛一郎
村山 透
TEL:03-3349-8088
住友ゴム工業株式会社
経営企画部 広報担当 五十嵐 満

TEL:03-5546-0113

※掲載内容は、記者発表時のものであり、現在と異なる場合があります。
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