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平成19年12月3日
賃貸住宅に「床制振ダンパー」を用いた高遮音床を採用
○ 重量床衝撃音遮断性能を1ランク向上
○ アパート商品から運用を開始、来春から全商品に採用可能
○ トヨタ自動車との開発技術シナジー効果でコストダウン
ミサワホーム株式会社(代表取締役社長 水谷和生)は、お客様に快適にお住まいいただけるよう制震装置「MGEO(エムジオ)」や、微気候デザインなどの新技術を提案してきましたが、このたび上下階の遮音性能向上のために、トヨタ自動車株式会社(以下:トヨタ)製の「床制振ダンパー」を採用、日常生活音を低減し、快適に暮らす新たな技術をご提案します。
住宅に求められる性能には耐震性、耐火性、耐久性、断熱性など多くの項目が挙げられ、工業化住宅においては、それぞれ高い性能を標準仕様としており、お客様からも高い評価を頂いております。 |
生活時間帯のズレが大きい現代において、快適に暮らすためには遮音性能の向上は欠かせず、ミサワホーム総合研究所では遮音性能向上のため、数多くの実験を行い研究を重ねています。今回採用したトヨタ製の床制振ダンパーは、直接的には床振動を低減するものですが、床衝撃音対策としても充分な効果がある事が確認されました。 床衝撃音は、床振動がそのまま放射音となり下室に伝わったり、床の振動が下室の天井や壁へ伝達して振動することにより発生します。この床制振ダンパーを設置することにより、重量床衝撃音遮断性能が1ランク(=5dB)程度向上、これは音の強さ(単位:W/m²)が約1/3になることを意味し、業界トップレベルの遮音性能LH-60を実現します。
床制振ダンパーは平成20年1月にアパート商品からオプションとして運用を開始、4月以降には戸建住宅にも採用が可能となります。 |
■ミサワホームの遮音性能
ミサワホームの標準的な賃貸住宅の重量床衝撃遮断性能はLH-65(*)となっています。
下階への固体伝搬音を低減するには、床の剛性(かたさ)を高めたうえ、遮音性の高い床材を使うことが有効です。ミサワホームの床パネルは業界でもトップレベルの剛性床になっており、賃貸住宅では床仕上げ材直下に合板や高強度石膏ボード、遮音マットを敷き込み、また床パネル下部には防振補強合板、石膏ボード、吸音材、石膏ボードを敷きこむことにより徹底した遮音対策を実施しています。
*L値とは床衝撃音の遮音等級で重量床衝撃音は「LH」、軽量床衝撃音は「LL」で表す。
![]() ミサワホーム賃貸住宅遮音床(標準仕様) |
![]() 床制振ダンパー |
■床制振ダンパー
車の振動を抑える技術を応用した高性能ゴムを使用しています。直方体の重り(7.5kg)をゴム材で支持し、床の共振に合わせたダンパーを使用することにより重りを共振させ、反力を発生させるとともに振動エネルギーをゴム部分で吸収します。この床製振ダンパーを床パネルの根太材に、工場生産段階で取り付けることで施工性にも配慮をしました。
■トヨタとのシナジー効果
一昨年度からトヨタ自動車住宅事業部門との技術交流において、技術開発のシナジー効果を検討してきましたが、このたびトヨタホームで採用されている「ダイナミックダンパー」(音の快適性を考慮した床の振動制御技術)のゴムや重りを、当社の床パネル用に最適調整することで、当社の木質系住宅への採用が可能となりました。
これにより「床制振ダンパー」は、従来の新規部品開発に比べ開発期間が大幅に短縮され、販売価格のコストダウンが可能になりました。今後もトヨタとの技術的なシナジー効果の検討を進めてまいります。
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以 上 |
*この件に関するお問い合わせ先
ミサワホーム株式会社
広報部 中村 孝 村山 透
TEL:03-3349-8088(直通)
E-mail:Toru_Murayama@home.misawa.co.jp
*参考:遮音性能
住宅の各部位が空気音を遮断する能力を空気音遮断性能と呼びD値(空気音の遮音量を表す数値)で表します。固体音の中でも床衝撃音を遮断する能力を床衝撃音遮断性能と呼びL値(上階の衝撃音が下階で聞える大きさを示す数値)で表します。JIS(日本工業規格)にて等級が定められています。
またL値にはスリッパの歩行音等で発生する軽量床衝撃音(LL値)と、子供の飛び跳ね等の重量床衝撃音(LH値)があり、今回の床制振ダンパーは、特に低減が難しいと言われている重量床衝撃音に効果を発揮します。
![]() *D値は等級の数値が大きいほど遮音性能が優れている |
![]() *L値は等級の数値が少ないほど遮音性能が優れている |