マイホーム購入の知恵袋

分譲住宅をさがすときに知っておきたいこと
「収納も居住空間も叶える」がポイント
家族が一緒に成長できる「建築条件付き分譲」とは?

子育て世代が住まい探しを考えるとき、家族が楽しく集えるリビングや、収納たっぷりの住まいを望まれる方も多いでしょう。
収納を増やしながら生活空間を広げるまるで魔法のような間取りがあるとしたら、子どもの成長に合わせた間取りがつくれたら、それはまさに理想的な住まいづくりです。家族みんなの希望を叶える選択肢として建築条件付きについて紹介したいと思います。

マイホームの購入にもいくつか種類がある

マイホームを購入する方法にはいくつかの方法があります。たとえば、建売住宅や注文住宅(土地を購入して建物を建築する)を思いつくかもしれません。そのほかに、建売住宅と注文住宅の中間的な存在として建築条件付き分譲があります。

建売住宅は、建物を建ててから土地と一緒に売られる住宅です。完成後売り出されるものも、完成前に売り出されるものもありますが、土地と建物が一体化して売られるため売買契約は1回です。間取りやデザインなどを自由に選ぶことが出来ないことが多いと思われます。

注文住宅は、上下水道、電気、ガスなどのインフラが整った分譲地を購入してから建物を建てます。建物購入後、建築業者を自由に選んで、間取りやデザインも自分にあった建物を建てられます。ただし、建売住宅に比べると建築費用は高額になったり、完成や入居までの時間も長くなりがちのようです。 建築条件付き分譲は、土地を購入してから一定期間内に指定の建築業者に施工を依頼するもので、間取りやデザインなどこだわりたい部分についてもいろいろ検討することも可能です。

建築条件付き分譲とは

建築条件付き分譲は、土地の売買契約を結んでから一定期間内に建築請負契約を結びます。建売住宅などと比べるとプランが自由なため思い描いていた住まいづくりが実現できます。
建物の参考プランが用意されていることが多く、設計や費用の目安がつきやすいのも特徴です。そのため、資金計画が立てやすく、完成までの段取りもスムーズに進めることができます。
建築条件付き分譲は、あらかじめ建築業者が決まっていますので建物建築の利益と土地の仲介手数料を一体化して割安な値段設定がされている場合が多いようです。整備された土地に自由に設計して建てられるため、満足度の高い住まいを手に入れるチャンスが広がります。

一般的なマイホーム購入のタイプと種類

タイプ 建売住宅 注文住宅(土地分譲) 建築条件付き分譲
販売形態 土地と建物を一体化して販売 土地を購入後建築業者を選んで施工 土地を購入後、建物は指定業者が建築
間取りや仕様 変更できない 自由 建築業者ができる範囲で自由
入居までの期間 短い 長い 請負契約までの期間があり、また、参考プランの用意がある分短い

あきらめることがない住まいづくりを

建築条件付き分譲は、設計の自由度があるため建売住宅では実現できない希望の住まいづくりができます。たとえば、家族が集うリビングの天井を高く取りたい、採光を取り入れることで居心地のいい空間をつくりあげたい、など自分たちの住まいへのこだわりを反映でき、その敷地にあった参考プランをもとに納得のいく打合せができるというメリットがあります。
また、小屋裏や床下を利用して広い収納スペースを作る場合、天井高など一定の要件を満たすと建築基準法上の容積率(※)に含まれません。建築条件付き分譲は、設計が自由にできることで規格にはまった間取りではなく、容積率に入らない広い収納スペースを確保するプランも可能です。

リビングなど家族や来客が集うスペースをすっきりと心地よい空間にすることができるでしょう。モノがあふれる家から解放されて、広く快適に住み続けられる住まいを建てることができます。 狭い敷地でも大きな収納スペースも夢ではありません。注文建築でしか実現できないと思いこんでいたことが建築条件付き分譲でも実現ができます。

あらかじめ知っておきたいルール

建築条件付き分譲の魅力を紹介しましたが、制約についても知っておきましょう。

1. 建築業者が決まっている

建売住宅や中古住宅と比べると希望の住まいを建てることができますが、建築を依頼する業者があらかじめ決まっている宅地です。たとえば、その土地売主業者やその子会社などになります。指定された複数社の中から選択することもありますが、土地を購入される方が自由に決められるということは限られているようです。完成している建物を見学し、自分の希望に合うかどうかを確認しておきましょう。


2. 工事着手するまでに期間がある

土地購入から建築請負契約までの期間が決まっています。また、工事着手するまでにも詳細な打ち合わせや行政手続きなどの時間が必要となります。自分の希望をかなえつつ、上手にスケジュールを組むようにしましょう。


3. 設計の自由度

一般的に自由設計のケースにおいては、そのメーカーの採用する構造・工法を利用したプランになります。建築業者が行っていない工法などは採用ができませんので、土地の契約をする時点で完成している建物を見学し、自分の希望に合うかどうかを確認しておきましょう。

特に子育て世代にマッチ

建築条件付き分譲ですが、実は子育て世代にマッチしています。その理由はというと、まず、環境の良い土地を割安に購入できる可能性があるということ、そして何よりも設計の自由度が高いことから、お子様の成長に伴い家族のライフスタイルの変化を考えながら設計ができる点です。

たとえば、家族を「見える化」することです。お子様が小学生くらいまではひとり個室にこもるのではなく、お母様がキッチンで食事をつくりながら目の届くリビングやダイニングで宿題をやる、学校での出来事などを話す、など、コミュニケーションが取りやすい空間づくりです。

お子様が中学生、高校生と成長してくると、リビングは家族が楽しく集う役割だけではなく、家族それぞれの居場所となるスペースを設けることで、思春期でも親子のコミュニケーションも自然と取りやすくなります。
その頃はお子様も自分ひとりの時間を持つための個室も必要になってきます。空間を壁面で仕切れる住まいづくりも建築条件付き分譲なら実現できそうです。

いかがでしょうか。今まで建売住宅や注文住宅からの購入しか選択肢が無かったのでしたら、「建築条件付き分譲」という新しい選択肢が加わりましたね。いよいよ夢のマイホームの取得に向かう道しるべが見えてきました。ぜひ子育て世代にマッチした理想の住まいづくりを実現してください。

※容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合です。たとえば、100m²の土地に1階40m²、2階40m²の建物を建てると80m²/100m²で容積率は80%となります。地域により建築可能な容積率の上限が決まっています。

この記事の担当
専門家/クレジット
有田美津子 住まいのお金専門FP(URL http://www.fparita.com/
幸せな家庭を築きつつ、子育てしながら不動産販売、損保会社、銀行の住宅ローン相談窓口を経て独立。実務・人生経験から「住まいのお金専門ファイナンシャル・プランナー」として、年間200件以上の住宅購入予算診断やライフプラン相談を行う。日本政策金融公庫やFP協会等主催セミナーで住宅ローンや教育費、高齢期の住まい等についての講演多数。共著監修「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)ほか雑誌、WEBにて執筆や取材記事多数。