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Special Interview

自然災害の発生時にもあわてない!
適切な避難をするための準備を

#在宅ワーク#防災・減災住宅

いつ発生するかわからない自然災害。対策に必要な心構えや準備には何が必要なのか。
防災アドバイザーとしてさまざまなメディアで活躍する防災士の岡本裕紀子さんにお話しをうかがった。

変化した避難のあり方

―― 新型コロナウイルスの感染拡大が、災害時の避難のあり方にも変化を及ぼしたと聞きます。どのように変化したのでしょうか。。

岡本 これまでは「災害後には避難所へ」という考え方が主流でした。しかし、避難所は「密」な状況になる可能性があります。また、断水などで衛生環境を保つことが難しくなりがちなため、感染リスクが高まる恐れがあります。そこで「分散避難」が求められるようになりました。避難場所として多様な選択肢を持っておこうという考え方です。

―― 選択肢にはどのようなものがあるのでしょうか。

岡本 一般的な優先順位は<1>在宅避難<2>親戚・知人宅<3>ホテル泊<4>車中泊・テント泊<5>避難所です。平常時の生活環境に近く、ストレスの少ない生活ができる避難場所ほど優先順位が高くなります。

―― 大勢の人が集まる避難所はストレスがたまりやすいですね。

岡本 プライバシーの確保が難しいですからね。とりわけ小さなお子さんや高齢者がいる家庭では負担が大きいと思います。とはいえ、決して避難所が不要というわけではありません。被災直後の状況によっては、迷わず避難所へ行くのが最善の選択となる場合もあるでしょう。避難所で身の安全を確保した後、早期に在宅避難などに切り替えれば、感染リスクやストレスも最小限に留められます。

―― 災害に備えるための大切なポイントを教えていただけますか。

岡本 なかでも備蓄はとても大切です。おすすめは3段階に分けた備蓄です。一つ目の段階は、「防災ポーチ」による備蓄です。在宅避難を想定していても、外出先で被災する場合もありますから、常に携帯できる手のひらサイズのポーチに、命を守るために必要な防災用品を入れておきます。

―― まずは身を守るための最低限のものを備えることですね。

岡本 2段階目の備蓄は「非常用持ち出し袋」です。いざというとき、すぐに避難行動を起こすことができるよう、日ごろからリュックのような袋に防災用品を収納しておきます。感染予防対策として使い捨てマスクや体温計、アルコール消毒液などの衛生用品は必ず準備しておきましょう。女性は生理用品、高齢者は常用薬やメガネ、乳幼児はおむつというように、年齢や性別、生活スタイルなども考慮して必要なものを選定します。

―― 災害発生直後にすぐに買うことが難しい日用品が中心ですね。

岡本 3段階目は家庭での食料備蓄です。常温で長期保存できるレトルト食品や缶詰などを多めに買って、賞味期限が近いものを日頃から消費し、その分を買い足して一定の備蓄量を維持するローリングストック方式がおすすめです。

―― 災害発生直後が防災ポーチ、1~2日目が非常用持ち出し袋、3日目以降がローリングストック方式という段階に分けた備えですね。

岡本 防災用品や食料などは、平常時に使い方を体験したり、食べておくといいでしょう。実際に災害が起きたときに使い方に戸惑っていると、安全な避難の妨げになりますし、非常食が口に合わなければストレスの原因になります。

災害時は共助も大切

―― 事前の体験は日ごろの防災意識を高めることにも役立ちますね。

岡本 近隣との「共助」の意識も重要です。阪神・淡路大震災の際には地震後に救出された方の77%が近隣住人に助けられたという調査結果があります。2016年の新潟県糸魚川市の火災では、規模が大きかったにも関わらず亡くなった方がゼロでした。ふだんから近隣とのつながりが強い地域だったことが減災に役だったといわれています。共助は災害時の力となり、誰かが近くにいることは心の支えになります。新型コロナウイルスの影響でご近所同士の交流が難しいですが、それでも心のつながりは「密」であって欲しいですね。

―― 本日はありがとうございました。

防災アドバイザー 防災士
岡本裕紀子
慶應義塾大学法学部、同大学大学院法学研究科卒業。大学院では関東大震災について研究し、修士論文を執筆。2012年に有限会社岡本石油内に防災部門「防災クリエイティブマネージメント」を開設。「身近な切り口で今すぐ取り組める防災対策」を信条に、国土交通省などの行政機関や、企業、自治体などで、防災研修や講演を実施。メディア登場多数。