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interview

空や雲と仲良くなって
豪雨に備えましょう

気象予報士・防災士
津田 紗矢佳さん

近年、大雨が増えている。
積乱雲が列を成し、
線状降水帯ができることが原因。
津田さんは「空や雲、天気予報への興味が
防災につながる」と話してくれた。
早速、詳しく聞いてみよう

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  • 2020年は豪雨災害が多発しました
    近年、毎年のように大雨特別警報が発表され、甚大な災害が各地で起こっています。みなさんの記憶に残っていると思いますが、2020年も大雨により、球磨川や筑後川、飛騨川、江の川、最上川といった大河川が氾濫したほか、土砂災害や低地の浸水などの被害が発生しました。

    線状降水帯という現象
    豪雨の原因は積乱雲です。その雲ひとつだけであれば30分から1時間程度で終わってしまいます。しかし、ひとつではなく、次々と同じ場所に積乱雲がやってきて大量の雨が降り続く‥‥。ひとつだと過ぎ去るのを待てばいいんですけれど、集団になっているので怖いですね。このいくつもの積乱雲が列を成している状態を「線状降水帯」と言います。

    だんだんと大雨が増え続けています
    気象庁の約40年間の統計では1時間に80mm以上の極端な雨の回数が、長期的に見ると増え続けています。予報用語では、1時間に80mm以上は猛烈な雨と定義されていて、イメージとしては「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる」。道路が一気に冠水してしまうような雨です。そういう危険なレベルの雨が、2020年は35回ほど発生しています。災害が発生するような大雨を豪雨と言いますが、豪雨増加の一因に地球温暖化が考えられます。地球温暖化が進めば、この状態はさらに悪くなる恐れがあるでしょう。
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  • キーワードは「大気の状態が不安定」
    現在の天気予報の技術では、積乱雲の発生時間や位置を「このあたり」と予測することはできても、ピンポイントで正確に予測することが難しいんですね。天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉が出ていたら、局地的な大雨に注意しましょう。さらに災害をもたらす危険な雨、豪雨が発生しそうなときは気象庁が会見をするので、そういうときは「本当に危ないんだな」と意識してもらえればと思います。

    大気の状態が不安定の意味
    空気は暖かいと軽くなり上に行き、冷たいと重くなって下に降りてきます。冷たい空気が上空にいて、特に夏などで太陽光により地面が暖められて気温が高くなると、地面付近の暖かい空気が上に行きたくて、上空の冷たい空気は下に行きたい‥‥。そういう状況を「大気の状態が不安定」と言います。この上下が入れ替わるときに、もくもくとした積乱雲が生まれやすくなりますね。

    空のサインを見逃さないように
    「大気の状態が不安定」という言葉を聞いたら、空を注意深く見る、雨雲レーダーで雲の動きをチェックすることを習慣化していただけるといいですね。大きな積乱雲が近づいてくるときはサインがありまして、真っ黒な雲が近づいてくる、冷たい風が吹いてくる、雷によるゴロゴロした音や光が見えてきます。落雷の恐れもあるので、こうしたサインをキャッチしたら、すぐに建物のなかに入ってください。
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  • 空や雲と仲良くしてほしい
    防災・減災のためにも、空や雲と仲良くしてほしいですね。空や雲を見て、未来の天気を予測することを観天望気と言います。たとえば、上空に薄い雲が広がっていると太陽のまわりに光の輪ができることがあります。この光の輪をハロと言い、天気が下り坂のサインです。低気圧や前線が近づいてくると、空の高い所から空気が湿ってきて薄い雲ができるのですが、その雲の中の氷の粒で太陽光が屈折し、光の輪ができるんです。

    親子で空を見上げましょう
    私は、時間があると空を見上げて雲の写真を撮っています。自分の好きな雲を見つけるとうれしくなります。お子様と一緒に「今日の雲はどんな形に見える?」とか、「もくもくした雲が増えると、このあと天気はどうなるかな?」‥‥そういう遊びもいいですね。雲には大きく分けて10種類あります。雲の名前を覚えておくと、雲を見る楽しさが増します。
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    津田さんの撮影した写真/左上から時計回りに、
    ◎茨城県に発生した積乱雲。この雲の下では激しい雷雨でした。
    ◎ハロ(眼を傷める恐れがあるので、太陽を直接見ないようご注意ください)
    ◎幻日(げんじつ)に彩られた巻層雲(けんそううん)。
    ◎巻雲(けんうん)は、見ているだけで優しい気持ちになれます。

  • 宇宙から雲を見ることができます
    お家のなかでも、雲を見ることができます。気象衛星ひまわり8号の映像をほぼリアルタイムで見ることができるサイトがあります。夏や秋は台風の渦を巻く雲が見えたり、冬になると日本海に筋状の雪雲が見えたりと季節によって見ることができる雲が変わってきます。気象衛星から発達した雲が見えると「備えをしなければ」と思います。
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    気象衛星ひまわり8号の映像提供:情報通信研究機構(NICT)

  • 備えのためのおうちキャンプ
    防災・減災のためには、備えが大切です。防災グッズを購入している方は多いと思うんですけれど、実際に使ってみてほしいですね。お勧めは、おうちキャンプです。「災害が起こって、電気が使えなくなりました」という想定で、防災グッズを使って、過ごしてみてほしいんですね。とても気づきが多くて、有効なシミュレーションになります。

    梅雨が始まる前に
    夏に必要になってくるものと、冬に必要なものは違いますから‥‥防災グッズは季節ごとに見直しましょう。私は豪雨や台風を考えて、梅雨が始まる前に防災グッズを点検しています。
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    備蓄スペースとして活用できる大収納空間「蔵のある家」 ※蔵は居室として利用できません

  • 災害を自分のこととして捉えてください
    私は、2014年の広島県で起きた土砂災害に合われた方にお話を聞きました。広島はそもそも瀬戸内気候で雨の少ない地域です。そういった地域性もあり、危険な情報が出ていても、「これまで大丈夫だったから」と逃げなくて、亡くなってしまう方がいらっしゃることを知って‥‥とてもショックを受けました。

    ぜひ、ご家族で防災の話を
    今後、豪雨は増えるとも言われています。その変わっていく気候に、私たちも考え方を合わせていく必要があります。「これまで大丈夫だったけど、ひょっとしたら自分の町で起こるかもしれない」。そう考えてください。ぜひ、災害が起こったら「どうしていくのか」について、ご家族で話し合っていただけたらと思います。

    撮影:ミサワホーム「CENTURY Primore3」鶴見展示場
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profile

小野寺 愛さん写真
津田 紗矢佳さん
1987年生まれ、山口県出身、縁ある地は岩手県、秋田県、東京都。上智大学・文学部英文学科を卒業後、法律事務所の秘書として働く。広島で土砂災害に合われた方にお話を聞いたことがきっかけで、気象キャスターとして「災害で亡くなる方や怪我をする方を少なくしたい」と思い、気象予報士と防災士の資格を取得。2017年から3年間、秋田テレビの気象キャスターを務める。現在はテレビ朝日で気象デスクを務め、災害時には解説を行う。雲研究者の荒木健太郎氏と共著で本を執筆中。

関連サイト
Twitter 津田 紗矢佳