トップ - THINK LIFE / ライフスタイルを考える - 薬草の力で夏の疲れを癒す

interview

薬草の力で
夏の疲れを癒す

tabel(タベル)
新田 理恵さん

その土地の力で育つ
日本古来の薬草は
野生の生命力がみなぎっている。
伝統茶ブランド「tabel(タベル)」の
新田さんに、薬草文化や
夏の疲れを癒す薬草について伺った

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  • 八代のハスの葉茶との出会い
    私が薬草の世界に入っていくきっかけは、熊本県八代のハスの葉茶との出会いでした。もともと胃腸が弱くて健胃作用があるハスの葉茶を飲んでいたのですが、初めて八代のハスの葉茶を飲んだとき「今まで飲んできたハスの葉茶は、なんだったんだろう」とそのおいしさに驚きました。

    身体に沁みていく、ほぐれていく
    自分に合う薬草を飲むと、身体に沁みていくような、身体がほぐれていくような感覚があります。「身体が、直観的においしさや必要性を感じているのだ」と思います。tabelで、薬草茶のブラインドテイスティングを行っていて、テイスティング後にそれぞれのお茶の効能をお話すると「おいしい」と感じるお茶と必要とする効能が一致する方がほとんどです。
  • その土地に生えている薬草の力
    八代のハスの葉は、その土地に古くから続いてきた在来種から生まれたもの。他の地域でハスの葉を育てても、八代ほどのまろやかさ、やさしい甘みはなかなか出せません。植物たちには、それぞれ土地の適性があって、その土地で生き抜いてきたものには生命力がみなぎっているんです。

    日本全国を巡っています
    2004年から、国産薬草茶を中心に薬草茶ブランドtabelをスタートさせて、日本全国を巡っています。「宮崎県霧島の春摘みヨモギ茶」や「奈良県高取の大和当帰茶」、「秋田県のクロモジ茶」など、多くの薬草茶に出会いました。長年、精査されてきたものは説得力がすごいんです。必要とされないと残らないので「本当に必要な文化が残っている」と思います。
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  • 夏の疲れを癒す
    目的によっていろいろあって、疲れた胃腸を良くするのであればハスの葉茶やヨモギ茶がいいですし、はぶ茶であれば熱を冷ましてくれます。グァバ茶は、ビタミンCが多いですし、美肌系の効果があるので焼けた肌をリセットしてくれますね。グァバ茶は蕃爽麗茶とも言われていて、糖質の吸収を抑えてくれるダイエットティーとしても人気です。

    グァバ茶のお風呂で肌がすべすべに
    グァバ茶の出がらしを捨てるのにしのびないので、冷凍庫でストックしていて、煮だしてお風呂に入れています。お風呂上りに、お肌がすべすべになってびっくりしました。tabelで使っているグァバの葉は、奄美諸島の徳之島で、とても丁寧につくられているので、ちゃんと使い切るようにしています。

    薬草のお風呂でクールダウン
    薬草茶には、身体を温めるお茶と冷やすお茶があって、入浴剤として使うと同じ効果なんです。体を温めるお茶だったら湯上りに身体がポカポカしますし、逆も然りです。夏は身体の熱を取ってくれるハッカなどを入浴剤にすると、クールダウンできていいですよ。
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  • お子さまと一緒に薬草を摘みに
    薬草に興味が出たら、植物図鑑を持って、ご近所に薬草を摘みに行くことをお勧めします。実際に体感したことは、記憶に残りやすいものです。それに「身土不二(しんどふじ)」という言葉があるように「暮らしている土地に生えている植物が、身体に合う」と言われています。

    ご近所にも、薬草はありますよ
    見つけやすい薬草は、ドクダミやヨモギ、カキドオシですね。これらは明らかに毒草と見分けられるので安心です。ヨモギは血液の巡りを良くするなど、女性にとってうれしい薬効がたくさん。お灸のもぐさにしたり、お風呂用に煮出したり、ヨモギで枕をつくる地域もあります。ドクダミはデトックス効果、カキドオシは利尿効果や血糖降下効果が期待できます。

    虫刺されにも薬草を
    ヘビイチゴや白朝顔は焼酎に漬け込めば、虫に刺されたときの塗り薬になります。特に、ヘビイチゴは、かゆみやあせもにも効いて万能です。私も春に仕込んでおいて、冷蔵庫に冷やしています。蚊に刺されたら「しゅ―」としています。気持ちいいですよ。
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    左から時計回りで、ヨモギ、ドクダミ、カキドオシ、グァバ

  • 庭に木を一本植えてみる
    福井県では、多くの家庭で柿の木が植えられていました。柿は食べられますし、酢もつくれます。ヘタや種は生薬になりますし、葉はお茶にできます。高知では、柚子の木を植えている家が多くて、山形県ではウコギ垣と言って、ウコギを垣根にしています。お家のまわりを歩いてみて、育ちやすい種類を見つけて、植えてみると楽しいと思います。

    日本にある薬草は350種類以上
    私たちが各地で見つけた薬草は、痛みを抑えるもの、風邪に効くもの、記憶力が上るものと、それぞれ個性的な力を秘めています。そんな薬草が、日本には350種類以上あります。その植物たちの力には驚かされるばかりです。自然はすごくおもしろい。ぜひ、先人から伝承してきた薬草文化を、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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新田 理恵さん写真
新田 理恵さん
TABEL株式会社・代表取締役、食卓研究家。国際中医薬膳調理師の資格を取得後、全国各地の薬草を研究。薬草文化のリサーチや薬草茶の調合や監修に取り組むほか、全国各地でワークショップを実施。2014年、日本の薬草やローカルの魅力を伝えるコミュニティ{tabel}を始動。同年、ロハスデザイン大賞、ソトコト賞を受賞 2016年にTABEL株式会社を設立し、薬草のある健やかな暮らしを提案。2017年、環境省グッドライフアワード審査員賞を受賞。2018年初春、薬草大学NORMを始動させている。

関連サイト
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薬草のちから: 野山に眠る、自然の癒し
薬草が私の身体を変えていく。四季折々さまざまに変化する気候に合わせて、海辺から山里までその場所ごとに根付いた薬草。ドクダミ、ハブソウ、ヨモギ、葛‥‥。古来、医食同源として最も身近で暮らしと健康を支えた植物たちの「ちから」をレシピと合わせて紹介。昔ながらの在来種のみを使った日本の伝統茶を伝える食卓研究家が現代に継承される薬草文化について提案する。2018年5月(晶文社)