M-10 全長23㎝の超小型固体燃料ロケット「ペンシル」が水平試射された1955年、日本人の宇宙への挑戦が幕を開けました。その中心となったのが、日本の宇宙開発の父、糸川英夫博士。以来、日本初の人工衛星「おおすみ」を開発するなど、次々とロケットを創り出してきました。そして2003年、JAXA※が発足。日本のロケット開発の志は時代を超えて、今に受け継がれているのです。 JAXAは、宇宙科学、宇宙環境、航空技術など、宇宙航空分野の基礎研究から開発・利用までを一挙に担い、ロケットが関わるプロジェクトでは「地上と宇宙を結ぶ輸送システムの開発・運用」が試みられています。その拠点のひとつが、種子島宇宙センターです。ここは、コバルトブルーの海と亜熱帯の森林に囲まれ、「世界一美しいロケット発射場」といわれているのをご存じでしょうか。 静止衛星の場合、ロケットの打ち上げに最適といわれているのが赤道上。赤道上空高度約3万6000㎞にある「静止軌道」は地球の自転周期と同じで、通信・放送衛星や気象衛星の多くがこの軌道を回っています。赤道に近いほうが打ち上げに有利となるため、種子島の東南端に宇宙センターが設けられたのです。他国に比べ、規模は小さくとも、ロケット打ち上げに必要なすべての設備が整い、しいくつになっても学ぶことは楽しいもの。「大人大学」では、大人の学びのための特別授業を開講します。第1講のテーマはロケット。今、世界各国がこぞって力を注いでいるのが宇宙へのチャレンジです。日本でもJAXAを中心にロケット技術開発が着々と進められています。ロケット開発の志が、宇宙への道を拓くオ ト ナ ダ イ ガ クニッポン・ロケット学〈第1講〉大人大学第2射点(写真右奥)へ移動するH-ⅡBロケット、左奥はH-ⅡAロケットの発射場※国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構世界一美しいロケット発射場ⓒJAXA新連載
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