M-06ながりを信じて、そこから住まいやまちを見直すべきでしょう。富田 かつては代々その地域に住んでいる人たちがいて長年の付き合いからお互いの信頼を培ってきましたが、今は人々の移動が激しくて、昔のように信頼がつくりにくい時代です。信頼をどんな仕組みでつくっていくのか、それが求められていると思いますね。ミサワホームも住宅だけでなく、まちのなかで人と人がどうしたら出会いやすくなるのか、あるいは共存しやすくなるのかといった視点で、まちづくりに取り組んでいます。門内 景観についても、経済の急成長の影で失った都市の美しさの重要性を、改めて感じています。建築やまちには暮らしの機能だけでなく、心の地平をつくってくれる、そんな働きがあるんです。富田 そうですね。いつまでも残る心の風景をつくることも、ハウスメーカーの役割ではないかと考えています。門内 今も未来も、大事なことは、暮らしをいかにデザインするかということ。そこでどんな暮らしがしたいのか、僕たち自身が考えることです。望む暮らしを担保するには、たとえばコミュニティなら「まちづくり憲章」のようなものを独自につくるという方法があります。僕は京都のまちづくりも手伝っていますが、京都はコミュニティの力が強くて、コンビニの看板の色も変えさせるほど。その強さの源泉は、実は人と人とのつながりにあります。暮らしをデザインするということはフィジカルな空間だけでなく、人と人とのつながりなどを意図的につくっていくことが必要なんです。富田さんもまちづくりに関わっているから、おわかりでしょう。富田 私は、北海道夕張郡の長沼町で、自治体と民間企業が新しい役割を模索して協創していくモデルづくりに取り組んでいます。長沼町に限らず、自分のまちの魅力をあまり知らない場合が多く、その魅力を自治体や住民の方々と対話しながら引き出し、どう資源化していくのかが目下の課題です。岡山県の備前市とも「まちづくり包括連携に関する協定」を締結したばかり。日本の各地域の文化 インフラ不要の住まいをつくる実証実験を、沖縄科学技術大学院大学(OIST)とミサワホーム総合研究所が共同で進行中。沖縄県恩納村の実験棟では、太陽光と風力で発電した電力を蓄電し、家庭内で使用する給電システムを検証。水を壁に流して壁自体を冷やし、室内を放射冷房する技術の検証や、建物内の空気中の湿気から水をつくる実験もスタートしています。カスケードソーラーデシカントSWAPステーション(OIST研究)中温冷水ヒートポンプ地産地消型水システム非結露型壁放射冷房クールヒンプン冬の太陽高度(40°)夏の太陽高度(87°)小型風力発電(OIST研究)蒸暑地型カスケードソーラー《研究要素技術》●蒸暑地型カスケードソーラーシステム●「カスケードソーラー」集熱を活用した夏期除湿空調●非結露型壁放射冷房●地産エネルギーを活用したDC駆動システム(SWAPステーション)●地産地消型水システム(2017~)MIRAI COLUMN - 1
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