ミサワオーナーズマガジン2021春夏号
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 のどかに広がる緑の台地に、スープボウルを伏せたような小高い丘。頂上にかけてパズルのピースのように組み合わさる石造りの塔と建物が、お伽話の絵本を想わせる、クロアチアの小さな村「モトヴン」。ローマ時代より2000年にわたり人々が暮らしを重ね、ロマネスク、ゴシック、ルネサンスなどさまざまな建築様式が幾重にも織り込まれ、古いにしえの丘を包み込んでいます。 アドリア海対岸のヴェネツィアへは手が届きそうな近さですが、20世紀末まで東欧の社会主義圏にあって、素朴な暮らしと中世イタリアの雰囲気が息づく美しい村が今に残されました。石灰岩の丘に足元の石材を積み上げた造形は、大地と建物がひとつになった彫刻のようです。 磨き込まれた石畳は折れ曲がり、上り、下りとすぐに迷ってしまいますが大丈夫。斜面に沿った渦巻き状の小径は、やがて元の場所へと戻してくれます。手放しで迷いながら、偶然の情景に出会う驚きと喜びは、モトヴンならではの特別な体験でしょう。クロアチア・モトヴン08Vol. ミサワホーム総合研究所一級建築士、土地区画整理士、インテリアコーディネイター世界各地の伝統的建築とその集落を訪れ、多くのインスピレーションを受ける。現在は住宅地の計画や景観デザインのコンサルティングを通して、将来にわたり豊かで快適な暮らしと魅力あるまちなみ景観の創造に取り組む。大谷宗之ヨーロッパ01:4,325,500500km    ◦モトヴンモトヴンイタリアクロアチアヴェネツィア   ◦M-02

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