ミサワオーナーズマガジン2022春夏号(戸建版)
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M-04特集自分でできるSDGs SDGsの観点からごみ問題を取り上げるとき、食品廃棄は世界的に関心の高いテーマです。捨てなくて済む社会構造を実現するための第一歩として、個人としてもふだん何気なく手にする商品の背景に目を向けて、想像力を働かせてほしいと思います。 たとえばサンドイッチを1個食べずに捨ててしまったとすると、それは自分自身の出費が無駄になるだけではありません。食材の生産から調理加工、そして輸送・流通の各段階で各々相応な二酸化炭素が排出されます。また日本の食料の大半は輸入ですので、生産国の生態系に負荷をかけるうえ、輸出用農産物の増産のため熱帯林伐採が進む国もあります。農産物の国際市場では無駄な消費のために需給が逼迫し、それによる価格上昇で食料確保に悪影響が及ぶ人々もいます。 都市を中心とした人間の営みが続く以上、ごみをゼロにすることは困難で、社会構造から生活者の意識まですべてを改善しなければ、減らすことすら難しいのが現状です。だからこそ「3R」を推進する必要があります。3Rとは「リデュース=ごみの発生を減らす」、●商品の背景にも想像力を京都大学工学部衛生工学科卒業後、同大学大学院文学研究科にて地理学を学ぶ。その後、ケンブリッジ大学に留学。地球科学部地理学科大学院にて学び、M.Phil、Ph.D. の学位を取得。国や学部学科を移動しつつも、大学時代から現在に至るまで一貫してごみの研究を続け、現在の専門は都市廃棄物管理。EUのごみをテーマにしたフォーラムや、国連環境計画(UNEP)のワーキンググループのメンバーでもある。帝京大学文学部社会学科 教授渡辺浩平最近、「SDGs」という言葉を耳にしませんか。これは2015年9月に国連で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際社会共通の目標です。17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。目標を達成するためには、私たち一人ひとりがSDGsのテーマを自分のこととして考え、行動に移すことが大切になります。なかでも、私たちの暮らしと密接に関わる深刻な課題が「ごみ問題」です。社会からごみを減らすためには、どんな視点でモノと関わり、どんな暮らし方を意識すればよいのでしょうか。廃棄物の研究を続ける大学教授の渡辺浩平さんにお話を伺いました。●暮らし方のカギは「3R」

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