Leader Interview 多岐にわたる地域課題のなかでも、今後ますます進行する超高齢化社会への対応は不可欠です。特に都市部では、高齢者の方々への住まいや医療・介護サービスの不足が課題となっています。NTT都市開発は、高齢者が心地よく暮らせる住まいをご提供したいという思いから、2010年、同業他社に先駆けてシニア事業に参画しました。サービス付き高齢者向け住宅「ウエリスオリーブ」の建設に取り組み、現在では9ヶ所を運営しています。しかし、これだけでは需要に対して供給が間に合いません。そこで、サービス付き高齢者向け住宅と分譲マンションを一体開発した「つなぐTOWN」プロジェクトをスタートさせました。高齢者のフレイル(虚弱)予防には、コミュニティに参加し、地域社会とのつながりを持ち続けることが重要です。「つなぐTOWN」プロジェクトの物件であれば、同じコミュニティで末永く暮らすことができるため、フレイル予防に貢献できると考えています。 いま国は、要介護となっても住み慣れた地域で自分らしく最期まで暮らせるようなサービスを受けられる地域包括ケアシステムの構築を推進しています。その実現に向けて、NTT都市開発がサービス付き高齢者向け住宅を展開することは意義のあること03カーディーラー、ホスピス、介護付き有料老人ホームが入居する「ウエリスケア代田橋」上階から街を一望できる好立地(介護付き有料老人ホーム ダイニング)かかりつけ医や地域病院、相談業務、サービスの住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム地域包括支援センター、ケアマネージャー医療住まい生活支援・介護予防老人クラブ、自治会、ボランティア、NPO等介護●地域包括ケアシステムのイメージ日常生活圏域急性期病院など自宅やサービス付き高齢者住宅等コーディネート地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定訪問介護等の在宅系サービス、介護老人福祉施設等の施設系サービスだと考えていますが、一つの物件への投資を回収するまでには20年以上かかりますので、自社で保有する量には限界があります。そのため、有料老人ホームなどのヘルスケア施設に的を絞って投資を行う不動産投資信託「ヘルスケアリート」が設立されたことで、デベロッパーとして土地や建物を取得して開発を行い、介護事業者にお貸しした後、リートに売却するスキームを構築できるようになったのはNTT都市開発にとって追い風となりました。そのような背景もあり、ミサワホームから地域包括ケアシステム構築への貢献をめざす「ウエリスケア代田橋」プロジェクトにデベロッパーとして参画のご依頼を受けたことは、ありがたいお話でした。 「ウエリスケア代田橋」は、地主企業であるカーディーラーの所有地をNTT都市開発が普通借地で借り受け、土地を高度利用して建物を建設。1・2階にカーディーラーと整備工場、3階にホスピス型有料老人ホーム、4〜8階に介護付き有料老人ホームがそれぞれオペレーター(テナント)として入居した複合用途施設です。ホスピスは海辺や山沿いなど自然豊かな場所にあるイメージがありますが、都市部にホスピスがあれば終末期も慣れ親しんだ自宅の近くで過ごせますし、ご家族も訪問しやすく、入居者のクオリティ・オブ・ライフ向上につながります。このような複合施設は前例がありませんでしたので難しい計画でしたが、ミサワホームも自社で介護付き有料老人ホーム「マザアス南柏」を運営されていますから、介護分野への理解度も高くスムーズに計画を進められるだろうと感じていました。また、地域包括ケアシステム構築を促進する最先端のCRE活用に取り組めるという点から、前向きに検討できました。超高齢化社会のニーズに応え、他社に先駆けてシニア事業に参画地域包括ケアシステム構築を目指しウエリスケア代田橋を建設
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