04ホスピスはケアスタッフが入居者を見守りやすいよう、動線を考慮した設計ホスピスと別に設けた老人ホーム出入口(左奥)洗練されたデザインと快適性を追求した介護付き有料老人ホームエントランスホールエレベーターホール居室●スキーム相関図 “幹線道路沿いの社有地に店舗を移転し、かつ、有効活用したい”という地主企業のご要望に対し、普通借地権を活用しつつ、企業不動産を高度利用する「複合施設建設スキーム」をご提案しました。企画や設計、オペレーターの調整までを行うアレンジャーとして、各社の合意を取りながら進行するのは苦労もありましたが、限られた空間を有効活用し、地域住民のニーズにもお応えできる施設となり満足です。今後もこの経験をいかし、社会貢献度の高い分野でのコンサルティングの幅を広げていきたいと考えています。建物賃貸借契約(オーダーリース)オペレーター(テナント) クライアント企業(建物ホルダー)開発/建物所有スキーム提案マネジメント契約総合企画出店先マッチングスキーム提案普通借地契約建物賃貸借契約(オーダーリース)土地所有企業ミサワホーム株式会社法人営業部 法人企画課一級土木施工管理技士木田 和仁MISAWAʼs Voice 「ウエリスケア代田橋」のような複合用途の建物では、オペレーターそれぞれの要望をかなえる設計が大切になります。たとえば1階のカーディーラーに併設された自動車整備工場が必要とするスペースと、各個室を小割にする上階のホスピスや老人ホームでは間取りの要望がまったく異なるのです。そのうえ、建物を所有するNTT都市開発としては、将来まで考えた設計の汎用性も譲れません。その間をとりもち、調整する役割のミサワホームにはさまざまなご苦労があったかと思いますが、今までの経験をいかした、各社の要望に応える提案を行ってくれたので安心できました。完成後、有料老人ホームの入居状況はいずれも好調です。カーディーラーからは建物の視認性が向上し、遠方からのお客さまが増えたと喜びの声をいただいています。これは幹線道路沿いという立地の良さに、外観デザインやサイン計画が調和できたのではないかと感じています。さらに、建物が緩衝材となり、周辺の住居への騒音を低減できることも地域貢献の点で役立てていると思います。「ウエリスケア代田橋」はまだオープンしたばかりですが、今後は複合施設ならではのメリットをいかしたオペレーター同士の交流による事業シナジーの創出や、地域のコミュニティ強化も行っていきたいと考えています。 日本では従来から土地は所有するものという価値観が根強く、CRE活用が注目を集めたのはここ最近の話です。購入することがステータスであり、活用するという発想があまりなかったのですね。そのため、日本では企業や国、自治体が保有していて、適切な活用がなされていない不動産が数多くあります。都市の課題解決型複合ビルとして誕生した「ウエリスケア代田橋」のように、CRE活用は街の魅力や価値の向上をめざすとともに、地域・社会の課題解決を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成などにも寄与することができます。CRE活用には、オフィスビルや介護事業だけでなく、戸建住宅や子育て支援施設まで多岐にわたる方法があります。企業としての収益性はもちろん重要ですが、自社だけが良いだろうという取り組みですと企業価値は高まっていかないと思いますので、読者の皆さまには、CRE活用を地域・社会課題解決に貢献する一つのソリューションとして捉え、自社に最適な方法で取り組んでいただけたらと思います。「複合施設建設スキーム」を採用し、地域・企業・利用者のニーズに応える事業をアレンジしました。地域貢献と事業シナジーが期待できる持続可能な複合施設を実現土地のポテンシャルを最大活用し社会課題解決につながる提案を
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