ミサワオーナーズマガジン 2019 Spring&Summer
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ミサワホーム総合研究所一級建築士、土地区画整理士、インテリアコーディネーター世界各地の伝統的建築とその集落を訪れ、多くのインスピレーションを受ける。現在は住宅地の計画や景観デザインのコンサルティングを通して、将来にわたり豊かで快適な暮らしと魅力あるまちなみ景観の創造に取り組む。大谷宗之 赤い瓦屋根に白漆喰と黒い板壁。細い通りに寄り添うように並ぶ倉吉の伝統的なまちなみは、この三つの素材の絶妙なバランスによってかたちづくられています。また、市の中央を流れる小鴨川より引き込まれた水路と、そこに架かる小さな石橋が相まって古都の風情を醸し出しています。 鳥取県の中部に位置する倉吉は、一年を通して雪や雨の多い山陰地方特有の厳しい気候に耐えるため、建物の多くは石州瓦と呼ばれる寒さや雪に強い屋根瓦と、杉板の表面を焼いて耐久性を高めた「焼杉」を外壁に用いて造られています。 江戸時代、陣屋町と呼ばれ行政や商工業の集積地として栄えた倉吉の歴史地区には、今も多くの商店が軒を連ね、しっとりとした往時の賑わいを感じることができます。 山陰の自然のなかで営まれてきた人々の暮らしや文化を礎として、その土地で手に入る材料によって造られた家や蔵は、まさに実用の美。先達の智慧と技術を今に見ることができます。鳥取県倉吉市岡山県広島県島根県兵庫県M-02鳥取・倉吉06Vol.

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