ミサワオーナーズマガジン 2019 Spring&Summer
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親子酒お菊の皿青菜野ざらし幽霊将棋お菊の皿青菜M-06 ある商家の父子はともに大酒飲み。大旦那は息子の酒癖の悪さを心配し、「一緒に禁酒しよう」と提案します。息子も承知しましたが、二週間ほど経つと、退屈で他に楽しみのない大旦那は酒が恋しくて仕方がありません。息子が出かけたある晩、女房に頼み込み、遂に酒に手を出してしまいます。ベロベロに酔ったところに息子がご帰還。大旦那は慌てて場を取り繕い、懸命に威厳をつくって息子を迎えますが、息子も同様にしたたかに酔って上機嫌。なんでも出入り先の旦那に強引に酒の相手をさせられたとか。大旦那は怒り、女房に向かって「婆さん、こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代(資産)は渡せませんよ」と愚痴ると、息子も「あたしだって、こんなぐるぐる回る家は要りません」。「親子酒」噺 出入りの家で植木屋がご隠居から酒をご馳ち そう走になり、肴さかなに鯉の洗いまで相しょうばん伴して大喜び。「時におまえさん、菜をおあがりかい?」、「へい、大好きで」。ところが次の間から奥方が「鞍馬より牛若丸が出でまして、その名を九く郎ろうほうがん 判官」と言い、ご隠居は「義よしつね経にしておけ」と妙な返事。菜は食べてしまってない「菜は食らう=九郎」から、「それならよしとけ=義経」というわけです。隠し言葉の風流に感心した植木屋は、友人相手にご隠居の言葉をさっそく真似るものの、まったく噛み合わない。肝心の青菜を勧めても「大嫌えだよ」と言われる始末。挙げ句、女房が「その名を九郎判官義経」と先まで言ってしまい、困った亭主は「うーん、弁慶にしておけ」。オチの「弁慶」は「立ち往生」の意味を持っています。「青菜」噺「酒は百薬の長」は上戸の自己弁護。ほどほどに呑めばコミュニケーションも深まっていいモンですが、呑み過ぎは禁物。お酒はガンのリスクを高めます。特に呑んべえの女性はご用心。発ガンとアルコールの相関関係が男性より高く、乳ガンのリスクを招く可能性も指摘されています。お酒に浸っちゃあいけません。ぜひ落語に酔いしれてくださいよ。ドクターらく朝の健康術ドクターらく朝の健康術安値の鰯は江戸庶民の日常的なおかず。落語では貧乏人の食い物と侮られがちですが、実は栄養満点なのです。鰯の脂肪分に含まれている高度不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)には「血液をサラサラにする」、「中性脂肪値を下げる」などの効果があり、カルシウムも豊富ですから骨こつ粗そ鬆しょう症の予防にうってつけ。ありがたく食べたいモンですな。誌上寄席で  さあ笑おう

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