ミサワオーナーズマガジン 2019 Spring&Summer
7/38

親子酒野ざらし幽霊将棋お菊の皿青菜M-07落語の世界の人物はいい加減なヤツばかり。たいていマイペースで我慢なんてしやしません。幽霊のお菊でさえこの有り様ですから。でも、現代社会ではこうした「いい加減」が許されないからストレスが溜まるんですよね。己の身勝手さを躊ちゅうちょ躇せずにさらけ出す落語の登場人物に見習って、ちったあ、いい加減に生きた方が心の健康によくありませんか。ドクターらく朝の健康術 町内の隠居から今でもお菊の幽霊が出るという話を聞いた連中が、番町の皿屋敷まで出かけます。見ると実にいい女。ただし皿を数える声を9枚まで聞くと狂い死にし、8枚でも熱病に見舞われると言われているので、お菊が6枚まで数えたところで一目散に逃げ帰ります。やがて噂を呼んでお菊は人気者になり、興行主が現れて小屋掛けのショーにする始末。その晩もお菊が現れ、6枚まで数えたときに客たちは帰ろうとしますが、混雑で狭い木戸から出られません。お菊はとうとう18枚まで数え上げ、そこで舞台は終わりになりました。お客が「皿が9枚しかなくて手討ちにあったくせに、なぜ18枚まで数えたんだ」と尋ねると、お菊は「こう毎晩じゃあかなわないよ、明日はお休み。明日の分まで数えたのさ」。「お菊の皿」噺 長屋の八五郎、昨夜隣の浪人宅から女の声が聞こえたのを訝いぶかしみ、あれは誰かと尋ねます。すると、野ざらしの髑どくろ髏を見つけ、酒を振りかけて手向けをしたら、美しい娘の幽霊がお礼に来たとのこと。八五郎は向島へ趣き、見つけた骨に酒をかけ、「酒肴を揃えて待ってるよ、ねえさん」と言い聞かせます。これを盗み聞いた太※鼓持ち、色事をしていたと勘違いし、ゆすってやろうと八五郎宅へ。「こんちわ〜。けっこうなお住まいで。畳はボロボロ、障子に桟さんなし、天井がないから居ながら月見ができますな」。驚いた八五郞は「お前は誰だ?」「太鼓でゲス」「太鼓? しまった、昨日の骨は馬の骨だったか」。当時、太鼓は馬の皮を張っていたことがオチになっています。「野ざらし」噺江戸の貧乏長屋は隙間風だらけの安やす ぶ しん普請。戸を開けると風が通り抜けて、夏はけっこう涼しかったと思いますよ。ただし、薄い壁越しに隣宅と会話もできたってんですから冬は寒かったでしょうな。さて現代の住まいの問題は住宅内の急激な温度変化。高齢者はヒートショックで心筋梗塞などを引き起こしかねませんから、断熱性能は大事にしたいモンです。ドクターらく朝の健康術親子酒お菊の皿青菜野ざらし※宴席やお座敷を盛り上げる職業

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る