


檜は古代から、宮殿や神社仏閣の建築材として重用されてきました。720年に成立した『日本書紀』には、スサノオノミコトが「檜は以て瑞宮(みつのみや)を為(つく)る材(き)にすべし」と説いたという話があります。強靱で耐久性があり、独特の光沢と芳香がある檜は、すでに8世紀には最高の建築材だったのです。今日でも、伊勢神宮の20年毎の社殿の建て替え(遷宮)にはすべて、木曽から運ばれた檜が使われています。

千年かけて育った檜は、伐採後200年ほどの間に、曲げ、圧縮などの強度がさらに3割程度増加します。その後、強度は徐々に低下していきますが、千年経っても新材と同程度の強さを保っているといいます(※)。檜は伐採されてからも、育った年月よりもさらに長く強度を保ち続けることができるのです。一般的な木材に比べると、その強靱性はケタ違い。丈夫な家をつくりたいという夢をかなえるのに、檜ほど適した木はありません。
※『法隆寺を支えた木』西岡常一、小原二郎著(NHKブックス)による。

安全・安心な住まいづくりのために、2000年、「住まいの品質確保法」(※)が施行されました。この法律により創設された制度が、「住宅性能表示制度」です。国が指定する第三者機関が、耐震性や耐火性など、住宅の重要な性能を客観的に評価し、等級や数値などで明示。さまざまな住宅の性能を、"共通のモノサシ"で比較できるようになりました。その中のひとつで、住まいの耐久性の優秀さを示す項目が、「劣化対策等級」です。

「劣化対策等級」の等級1は、構造躯体等に使用する材料に「建築基準法に定める対策が講じられている」とされ、等級2は「2世代(50~60年)もつ」、最高の等級3は「3世代(75~90年)もつ」程度の対策が講じられている、となっています。強靱な檜は、等級3の「構造躯体が3世代もつ」という要件に応える木です。浴室や脱衣室の防水など、その他の劣化対策も含めて8項目の基準を満たすことで、等級3の取得が可能です。
※「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の略称。
