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原作者、アストリッド・リンドグレーンの生まれ故郷であるスウェーデンの小さな町、ヴィンメルビーを舞台にした、幼いロッタちゃんとあたたかな家族の物語。プチ家出にはじまり、クリスマスやイースター…ロッタちゃんの冒険に溢れた毎日を描く。インテリアもファッションもとびきりの可愛さ。姉妹作に『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』も。
監督:ヨハンナ・ハルド
出演:グレテ・ハヴィネショルド、ベアトリース・イェールオースほか
『ロッタちゃん はじめてのおつかい
Lotta Flyttar Hemifrån』
発売元:アスミック
販売元:角川書店
価格:1,890円(税込)
ロッタちゃんは、なかなか手ゴワイ女の子だ。両親の言うことになかなか「イエス」と言わない。とっても生意気。そして、たまらなく可愛い。誰の言うことにも、そしてどんなピンチにも、決して言いなりにならず、自分で考えてあっと驚く答えを出す。小さな体いっぱいにみなぎらせた、揺るぎない意志。家族のちょっとした窮地にさえ、「何か楽しいことが起こるかもしれないわ」と行動を起こせるタフなハート。落ち込んだ家族も元気にしてしまう、とびきりのアイディア。幼くして大人と対等に渡り合うロッタちゃんは、1本スジの通った女の子なのだ。
そんなロッタちゃんの世界は、インテリアもたまらなく可愛い。彼女のお家の黄色い外壁、そして白を基調とした子ども部屋に映える、家具や毛布のブルーやグリーン。原色ともパステルトーンとも違う、洗練された色彩。スウェーデンのインテリアや雑貨によく見られる、この独特なキレイ色を配するだけで、部屋に北欧の雰囲気が醸し出される。所々に白を効かせるのも、ポイント。ほかにも、キッチンのテーブルクロスの重ね掛けや、階段の壁の緩やかなブルーの統一感など、参考にしたいインテリアの小技が所々に散りばめられている。その可愛さに気負いがなく、生活になじんでいて、ごく自然なのがいい。
ロッタちゃんの生みの親は、スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーン。学校に行かない、自由気ままな女の子が主人公の『長くつ下のピッピ』などで知られる彼女だが、ロッタちゃんという小さなヒロインもまた、誰の言いなりにもならない、本当の意味で自立した人間像を感じさせる。子どもを描きながらも、そこに浮かび上がるのは、大人にも通じる人間の自由。生意気ロッタちゃんの可愛さは、なんとも奥深い。
文◎多賀谷浩子(映画ライター)