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アメリカの人々に愛され続ける料理研究家、ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)が料理研究家になるまでの道のりと、そんなジュリアのレシピをもとに、自らのブログを立ち上げ、人生の道をみつけたジュリー(エイミー・アダムス)。実在した二人の女性の人生をコミカルに温かく見つめた作品。『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』のノーラ・エフロン監督作。
監督:ノーラ・エフロン
出演:メリル・ストリープ、エイミー・アダムスほか
『ジュリー&ジュリア』
発売・販売元:
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
¥1,480(税込)
キッチンは、気のおけない友人のような場所だと思う。どうも調子が出ない時、いつものキッチンに立って料理をはじめたら、なぜか落ち着いて元気になれたこと、誰にでもあるのではないだろうか。 そんなキッチンが人生の大切な場となった女性が、ここにも二人いる。ジュリーとジュリアだ。
ジュリアは、1949 年に夫の転勤でパリに渡り、フランス料理を学んだ、アメリカで知らない人はいない料理研究家。一方、ジュリーは、2002 年に夫とNY・クイーンズに越してきた30歳目前の女性。夢に挫折したまま、もやもやとした日々を送っていた彼女は、敬愛するジュリアのレシピに載っている全524 のメニューを365 日で作るブログを立ち上げ、人気を呼ぶ。
実際に会ったことはないけれど、料理を通して繋がっている二人。様々な困難を持ち前の明るさで乗り切り、今なおアメリカの人々に愛されるレシピ本を書いたジュリアと、彼女のレシピをもとに、画期的な計画に挑戦しながら、人生を切り拓いていったジュリー。映画は、約50年の時を隔てた実在の二人の人生を、絶妙にシンクロさせながら描いていく。
料理にまつわる話だけに、この映画には様々なキッチンが登場する。ジュリーのアパートの手狭ながら必要なものが手の届く範囲に並べられた、窓の大きなキッチンも使いこまれた良さがあるし、外交官の夫とともに各地を転々としたジュリアのキッチンのバリエーションも、カーテンがポイントになったり、壁を木製にしたりタイルにしたり、小さな変化が楽しい。中でも、ラストで登場する温かな色合わせのキッチンは素敵だ。
料理をしながら、ほっと自分に返る大切な場所。その人らしいキッチンは、見ているこちらもやさしい気持ちにさせてくれる。
文◎多賀谷浩子(映画ライター)