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奇跡

©2011「奇跡」製作委員会

奇跡

あらすじ

『誰も知らない』の是枝裕和監督が、開通したばかりの九州新幹線をモチーフに描いた作品。両親が離婚して離れ離れに暮らすことになった小学生の兄弟。もう一度家族揃って暮らしたい兄・航一と、新しい生活に慣れ始めている弟・龍之介。九州新幹線の一番列車がすれ違う時、奇跡が起こる。そんな噂を聞いた航一は、ふたたび家族が一緒に暮らせることを願って、仲間と共にその場所をめざす。

『奇跡』
監督:是枝裕和
出演:前田航基、前田旺志郎、大塚寧々、オダギリジョー、樹木希林、橋爪功ほか

『奇跡』
DVD(通常版) 3,390円(税込)
発売・販売元:バンダイビジュアル

DVD

店の奥に広がる家

子どもの頃、よく母のおつかいについていった。商店街のお店は、家屋の一部が店舗になっていることが多く、色とりどりの商品が並ぶ店の奥には、そこだけ四角く店内とは違う色の明かりに照らされた小さな部屋が見えた。年季の入った畳や炬燵…少しだけ顔を覗かせる生活の気配に、なぜかとても魅了された。

映画『奇跡』の中にも、そんな家が出てくる。小学六年生の主人公・航一が、離婚したお母さんと共に越してきた祖父母の家だ。そこは、かつておじいちゃんが和菓子屋を営んでいた、入口付近に店舗の名残りのある家で、店だった空間から居住スペースに入ると、小さな台所の流しの前にダイニングテーブルが所狭しと置かれていて、航一とお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんが、そこにぎゅっと詰まって食事をする。ダイニングキッチンなんて素敵な呼び名は似合わない、昔ながらの空間に立ち上る生活と団欒の匂いに、懐かしさがこみあげてくる。

この映画には、そんな日常の一断片…日々の中で心に留められた記憶が、清々しい映像でクリップされ、私たちの記憶を揺り起こす。どうにかしたくても、どうにもならないこと。それを受け止め、自分なりに対処することを学んでいく子どもたちの日々の中で、生きていることの美しさ、ふとした瞬間に出会う、忘れたくない日常のいとおしさが溢れ出し、胸の深いところにそっと響く。

印象的な場面がある。おじいさんが、久しぶりに店の調理場に立って「かるかん饅頭」をこしらえる場面。誇りと敬意に満ちた職人の神聖な姿勢を、航一が生き生きとした瞳で見つめる。多くの映画が一瞬で通り過ぎそうな場面を、この映画は所作までじっくりと見せる。日々の中の何気ない一瞬が、どこを切ってもいとおしい。

文◎多賀谷浩子(映画ライター)

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