トップ - 暮らしのプロたち - 富永 周平さん

interview

木のおもちゃが、
子どもと親をつなぐ

木のおもちゃデザイナー
富永 周平さん

箸やお椀、それに家具や住まいなど、
日本の暮らしのソウルは、“木”が中心になっている。
その木の文化に親しむ「木のおもちゃ」は、とても大切。
木のおもちゃデザイナー、富永周平さんに、その魅力や遊び方を伺った。
英国MONOCLEの雑誌でとりあげられるなど、海外でも評価される同氏の作品には、
子どもと親のきずなを強くする力がある。

  • 写真2

  • 子どもを観察して、木のおもちゃをデザイン
    独立してから家具デザインに加えて、木のおもちゃのデザインを始めました。最初の一年間は、徹底的に子どもの日常や遊び方を観察して、工房にこもって試作を繰り返しました。現在、発表している作品のほとんどの原型はそのときに生まれました。

    南会津で製作しています
    私がデザインして、森に囲まれた南会津で製作しています。この地域の伝統的な木工芸の技術を活かして、熟練の職人たちが一つひとつを丁寧に仕上げているため、日本トップクラスのクオリティです。
  • 写真3

  • 子どもの大好きなフレーズから生まれました
    最初に作った「mapa casa(マーパカーサ)」も、子どもの大好きなフレーズから生まれました。当時2歳の息子の口ぐせが、「3人いっしょいっしょ」。食事のときなど、箸やコップが並ぶのを見ては、「3人いっしょ」と言っていました。そこから発想を得て、親子がワンセットになる積み木をデザインしました。人型の積み木の中に丸・三角・四角が組み込まれたデザインで構成されているので、いろいろな積み上げ方を楽しむことができます。

    おもちゃで、世界のあり方をメッセージ
    「mapa casa」は3体でひとつの家族になっていて、大きな箱には6つの家族が入っています。それぞれ色合いの違う家族が、ひとつの箱に仲良くおさまっている。いろいろな人で世界は成り立っている、というメッセージを込めています。子どもたちに、世界のあり方を直感的に学んでほしいと考えて作りました。

    素材は、トチの木にしました
    「mapa casa」が、いろいろなカタチで積み上げられるのには理由があります。トチの木の比重です。トチの木だと、積みやすいのです。それにトチの木は、木肌が白くて美しく、転がしても傷がつきにくい。さまざまな木で試作してみましたが、トチの木が一番しっくりときました。一つひとつに玉が入れてあるので、カタカタと音がします。南会津の木工技術で、きれいな音を出すことに成功しました。積み木で遊びながら、音も楽しめるのです。
  • 写真4

    mapa casa(マーパカーサ)

  • 写真5

  • 木のおもちゃで、親子のきずなを強くする
    子どもは見たり触ったり、色んなものから刺激を受けて成長します。だからこそ、おもちゃをデザインするときには、創造力をかき立てられるかを意識しています。また、子どもが手にした姿をイメージできること、きれいな空間におさまること。そして、おもちゃを通じて親子のコミュニケーションが生まれることです。

    お風呂で、親子で遊ぶ動物セット
    「noe(ノエ)」のモチーフは、聖書に登場するノアの方舟。12種類の動物が木箱におさまっています。「noe」のヒバ材特有の香りは、アロマ効果が期待できます。そして、ヒバ材は水に強いので、お風呂で親子が遊ぶことができます。湯船にプカプカ浮かせられますし、たとえば子どもに動物クイズを出したりして遊べます。「どうして象の鼻は長いと思う?」。そんな話から次の日曜日は動物園に行く計画を立てるなど、親子がコミュニケーションを重ねるきっかけになってほしいと思っています。

    まねっこして、子どもは育ちます
    このハンドルのおもちゃは、「go together」シリーズの「GUIDO(グイート)」。車でお出かけするときに、パパやママの真似をして運転ごっこをしていると、ハンドルを回すたび真ん中の玉がコロコロと音がして楽しい。子どもは、まねっこ遊びを通じて育ちます。だったら、まねっこを通して、親との一体感を高めてほしいと思い、デザインしました。
  • 写真6

  • 木の文化に親しむファーストトイ
    日本は木の国。日本人は、木に囲まれて暮らしてきました。おもちゃは、子どもが木の道具に触れる最初のモノ。おもちゃに始まり、勉強机や住まいへと木という素材に関わり続けます。だから、ファーストトイは木のおもちゃであってほしい、木の心地よさに触れて、自然はいいなと思ってほしいですね。

    100年以上、受け継いでほしい
    私がデザインするおもちゃは、100年を超えても使い続けてほしいと思い、作っています。色彩やフォルム、触り心地は時代を超えられるようにデザインしています。子どもの成長を刻んだ柱の傷のように、おもちゃに残る傷は、家族の歴史。たとえば、おじいさんやお父さんも子どもだったと、おもちゃを通じて知ることができます。そう考えて「mapa casa」の箱には、三代の名前が書けるようにしています。
  • 写真7

profile

富永 周平さん
富永 周平さん
イタリア・ローマに生まれる。木製玩具メーカーmapaの代表やマストロ・ジェペットのデザイナーとして、おもちゃをはじめ幅広いデザイン活動を行う。グッドデザイン賞を受賞。英国MONOCLEの雑誌でとりあげられ、MONOCLE社とコラボレーション商品を制作して、ロンドン、ニューヨークなどで販売。また、「cubicolo(クビコロ)」は、2016年度に使用される中学校教科書(中学1年生版・3年生版)に掲載されている。

関連サイト
mastrogeppetto



住まい実例