2020年はルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生誕250年という大きな節目を迎えます。
世界中でベートーヴェンに関する記念行事が行われることでしょう。私たちも挑戦してベートーヴェンの筆跡を集めました。
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは1770年12月16日にライン河畔ボン市に生まれました。ボンの街中の広場に銅像が建っています。
近づいて見ると、右手に鉛筆を持ち、左手に小さなノートを持っています。散歩の途中、胸に浮かんだあらゆる楽想を書き留めた
ベートーヴェンの「ポケット・スケッチ帳」です。在宅時に使う「デスク・スケッチ帳」と2種類ありました。
作曲の全過程をピアノに訴える一時期の師ハイドンとは異なり、創作の基本をピアノや楽器から引き離そうと考えていました。
「スケッチ帳」は天来の響きを逃さず瞬時に捉えて保存できます。また材料と自分を引き離すことで、客観的に見つめられ、
最初のモチーフから徐々に変形し、一から他を生じ、組織的に、まるで植物のように成長していく。ベートーヴェンの最も得意とした
「構成力」が発揮されました。また作品の成立過程に関し、着手時期と完成時期を特定する手がかりを教えてくれます。
例えば《交響曲第三番 英雄》作曲のあと《交響曲第五番 運命》に取り掛かり、それが《ピアノ協奏曲》と《交響曲第四番》の作曲のため
一旦中断されて、1807年に再び再開したことなどがこのスケッチ帳により読み取れます。今回《運命》の有名な冒頭の楽譜が見つかり、
宮沢賢治が大好きだったという《交響曲第六番 田園》の自筆譜も網羅しました。人類に共通する「苦悩を突き抜け、歓喜に到れ!」という
壮大なテーマで作曲された《交響曲第九番》も表紙を飾ります。
秘密の抽斗に隠されていた「不滅の恋人への手紙」も収録。ベートーヴェンの恋愛について語りましょう。
その他、極度の難聴のため用いた筆談帳、楽譜入り書簡など、人物が蘇るような筆跡がそろいました。
耳の聞こえなくなった作曲家の音楽が、なぜ人を惹きつけるのか、なぜ強いのか、なぜ美しいのか、ご一緒に探りましょう。
表紙 | 《交響曲第九番 ニ短調Op.125》第4楽章の自筆譜 Maestoso 荘厳に! |
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1月 | 《交響曲第五番 ハ短調Op.67 運命》第1楽章の冒頭・主題の2小節 |
2月 | ルドルフ大公から支給された約束の年金に対する直筆領収書 |
3月 | 《交響曲第六番 へ長調Op.68 Sinfonia Pastorella 田園》 |
4月 | 200年前、ベートーヴェンが使ったカレンダー |
5月 | 筆談帳 |
6月 | 不滅の恋人と思われるアントーニア・ブレンターノの娘マクシミリアーネのために書いた運指の楽譜 |
7月 | 「私の天使! 私のすべて!」秘密の抽斗から見つかった「不滅の恋人」宛て手紙 |
8月 | 《荘厳ミサ曲 Missa Solemnis》自筆譜 冒頭のKyrie |
9月 | 出版社の社員トビアス・ハスリンガー宛ての楽譜入り手紙 1821年9月10日付 |
10月 | 「ハイリゲンシュタットの遺書」1802年10月6日付 |
11月 | 《月光》自筆譜と幼馴染みの医師フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー宛て手紙 1801年11月16日付 |
12月 | Muss es sein? Es muss sein! Es muss sein!「そうに違いない? そうに違いない! そうに違いない!」 《弦楽四重奏曲 へ長調Op.135》第4楽章冒頭 |