空き家・相続

相続した実家を売るには?流れ・税金・相続人が複数のときの注意点をやさしく解説

相続した実家(誰も住まなくなった戸建て)と売却を検討する家族のイメージ

画像はイメージです

ご両親が住んでいた実家を相続したものの、「遠方で通えない」「兄弟でどう分ければいいかわからない」「税金が心配で動けない」——そんな不安から、つい売却を後回しにしてしまう方は少なくありません。
相続した実家の売却は、遺産分割の話し合い・相続登記・税金の特例など、普通の売却にはない手続きが重なります。本記事では、初めて相続した不動産を売る方に向けて、全体の流れ・かかる税金と使える特例・相続人が複数のときの分け方を、専門用語をかみ砕きながら中立的に整理します。

1. 相続した実家を売るまでの全体の流れ(8ステップ)

相続した実家の売却は、一般的な不動産売却に「相続ならではの手続き」が加わります。まずは全体像をつかんでおきましょう。下記が標準的な流れです。

  1. 遺言書の有無を確認する遺言書があれば原則その内容が優先されます。自筆の遺言書は家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。
  2. 相続人と相続財産を確定する誰が相続人になるか(戸籍で確認)、どんな財産があるかを整理します。
  3. 遺産分割協議を行う遺言書がない場合は、相続人全員で「誰が・何を・どう分けるか」を話し合い、遺産分割協議書にまとめます。
  4. 相続登記を行う実家の名義を亡くなった方から相続人へ変更します。売却の前提となる手続きです。
  5. 査定を依頼して相場を把握する複数の不動産会社に査定を依頼し、いくらで売れそうかの見込みを確認します。
  6. 不動産会社と媒介契約を結ぶ(買取の場合は買取依頼)売却方法・依頼先を決め、契約を結びます。
  7. 売買契約・引き渡しを行う買主が決まれば売買契約を結び、決済・引き渡しを行います。
  8. 確定申告・納税を行う売却で利益が出た場合は、翌年に確定申告を行います。特例を使う場合も申告が必要です。
相続した実家を売るまでの流れ(遺言書確認→相続人確定→遺産分割協議→相続登記→査定→媒介契約→売買・引き渡し→確定申告)を示した図
相続した実家の売却は「相続の手続き」と「売却の手続き」が連なります

全体像がわかると、「いま自分がどの段階にいるのか」が見えてきます。とくに前半の遺産分割協議相続登記は、相続ならではのつまずきやすいポイントです。次の章から順に見ていきましょう。なお、不動産売却そのものの基本的な流れは、家を売るには?初めての不動産売却 完全ガイドでも詳しく解説しています。

2. 最初の関門「遺産分割協議」と相続人が複数のときの分け方

相続人が一人であれば話はシンプルですが、兄弟姉妹など相続人が複数いる場合は、まず「実家をどう分けるか」を全員で話し合う必要があります。これが遺産分割協議です。話し合いがまとまらないと、その後の登記も売却も進められません。

不動産のように物理的に分けにくい財産の分け方には、主に次の3つの方法があります。

分け方の内容向いているケース
換価分割実家を売却して現金にしてから、その代金を相続人で分ける方法。誰も住む予定がなく、公平に分けたいとき。相続した不動産の売却では多く用いられます。
現物分割不動産はそのまま、財産ごとに「誰が何を取得するか」を決めて分ける方法。不動産以外にも預貯金などがあり、財産ごとに振り分けやすいとき。
代償分割一人が実家を取得し、その人が他の相続人へ代償金(現金)を支払って公平にする方法。誰かが実家に住み続けたい・残したいとき。取得する人に支払い余力があるとき。

このうち、「売って現金にしてから分ける方法」が換価分割です。1つの不動産は物理的に分けにくいため、現金に換えることで公平に分けやすくなり、相続した実家の売却では多く選ばれています。

換価分割を選ぶときのポイント

売却して分ける場合でも、登記や売買契約の進め方は遺産分割協議の内容によって異なります。「誰の名義で登記して売るか」「代金の分け方」などを事前に相続人全員で決めて書面に残しておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。進め方に迷う場合は、司法書士や不動産会社にご相談ください。

3. 売る前に必須の「相続登記」――2024年4月から義務化

実家を売却するには、その前に名義を亡くなった方から相続人へ変更する手続きが必要です。これを相続登記といいます。亡くなった方の名義のままでは売却できないため、売却の前提となる重要な手続きです。

この相続登記は、2024年4月1日から義務化されました。具体的には、不動産の取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があるとされています。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる場合があります

過去の相続も対象になります

この義務化は、施行日より前に発生した相続(過去の相続分)も対象とされています。「何年も前に親が亡くなったが、実家の名義をそのままにしている」という場合も、登記が必要になることがあります。手続きの要否や期限の考え方は個別の事情で異なるため、登記については司法書士にご相談ください。

相続登記には、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類が必要で、収集や作成に時間がかかることもあります。売却を考えているなら、早めに着手しておくと全体がスムーズに進みやすくなります。

4. 相続した実家の売却にかかる税金と「使える特例」

相続した実家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して税金がかかります。一方で、相続した不動産には使える可能性のある特例もあります。ここでは基本の考え方と代表的な特例を整理します。なお、税金の全体像は不動産売却にかかる税金を完全ガイドで詳しく解説しています。

4-1. 譲渡所得(売却益)の基本の考え方

税金の対象となる売却益(譲渡所得)は、次の式で計算します。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
  • 取得費:実家を「買ったときの値段や費用」。購入時の代金や諸費用などが含まれます。
  • 譲渡費用:売却するためにかかった費用(仲介手数料・印紙税など)。

古い実家では、購入時の契約書が見つからず取得費がわからないケースが少なくありません。その場合は売却価格の5%を概算取得費として計算できますが、実際より少なくなることが多く、税負担が重くなる傾向があります。

税率は所有期間で変わり、5年超なら長期譲渡(税率の合計が約20%=所得税15%+住民税5%、別途復興特別所得税が所得税額の2.1%)、5年以下なら短期譲渡(合計約39%)です。ここで重要なのは、相続の場合、所有期間は被相続人(亡くなった方)が取得した日を引き継いで判定できる点です。親が長く所有していた実家なら、長期譲渡として扱われるケースが多くなります。

4-2. 空き家の3000万円特別控除

一定の要件を満たす場合、相続した実家(被相続人の居住用財産=空き家)を売ったときの譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。この特例には適用期限があり、内容も改正されることがあるため、利用を検討する際は最新の要件と期限を必ず確認してください。主な要件は次のとおりです。

  • 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建物(マンションなど)でないこと
  • 相続開始の直前に、被相続人が一人で住んでいたこと
  • 相続から譲渡まで、継続して空き家であったこと
  • 譲渡価額が1億円以下であること
  • 耐震基準を満たす改修をするか、取り壊して売ること

なお、相続人が3人以上の場合は、控除額が一人あたり2,000万円になる点にも留意が必要です。

特例の適用判断は必ず専門家へ

空き家の3000万円特別控除は適用要件が複雑で、一つでも満たさないと使えません。適用できるかどうかは個別の事情で大きく変わるため、必ず税理士または所轄の税務署に確認してください。

4-3. 取得費加算の特例

実家を相続した際に相続税を納めた人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内(おおむね相続開始から3年10か月以内が目安)に売却した場合、納めた相続税の一定額を取得費に加算できる特例です。取得費が増える分、譲渡所得を抑えられる可能性があります。

ただし、この取得費加算の特例と、前述の空き家の3000万円特別控除は併用できません。どちらを使う方が有利かは、売却価格・相続税額・要件の充足状況などによって変わる個別判断になります。いずれを選ぶべきかは、税理士にご相談のうえ判断することをおすすめします。

5. 空き家を「とりあえず放置」が招くリスク

「いつか考えよう」と相続した実家を空き家のまま放置してしまうケースは多いものです。しかし、放置にはいくつかのコストとリスクが伴います。

  • 維持費がかかり続ける:固定資産税、火災保険、庭木や室内の管理費用など、住んでいなくても費用は発生します。
  • 建物が傷み、価値が下がりやすい:人が住まない家は劣化が早く、倒壊や雨漏りのリスクも高まる傾向があります。
  • 固定資産税の負担が増える場合がある:後述のとおり、状況によっては税の軽減が受けられなくなることがあります。

とくに見落とされがちなのが、固定資産税の負担です。住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税が軽減されていますが、管理が行き届かず「特定空家」や「管理不全空家」に指定されて自治体から勧告を受けると、この住宅用地の軽減から除外され、土地の固定資産税の負担が大きく増える場合があります(実際の負担額は土地の状況や自治体によって異なります)。

こうした費用やリスクを考えると、活用予定のない実家は、早めに売却して現金化することが合理的な選択肢になるケースが少なくありません。

6. 相続した実家、売るなら「仲介」か「買取」か

売却方法には、大きく「仲介」と「買取」の2つがあります。仲介は一般の買主を探して市場価格に近い価格を目指す方法、買取は不動産会社が直接買い取る方法です。相続のケースでは、それぞれが向く場面があります。

仲介買取
売却スピード買主が見つかるまで期間を要する場合がある比較的早く現金化できる傾向
価格の傾向市場価格に近い価格が期待できる場合がある仲介より低くなる傾向
向いている場面時間をかけても高く売りたいとき遺産分割で早く分けたい・売却時期の見通しを立てたいとき

相続した実家では、「兄弟で早く現金にして公平に分けたい(換価分割)」「遠方で内覧対応が難しい」「いつ売れるか読めない状態を避けたい」といった事情から、スピードや売却時期の見通しを重視して買取が向く場面も多くあります。一方で、立地が良く時間に余裕があるなら仲介で高値を目指す選択もあります。

買取をより詳しく知りたい方は、不動産買取が安い理由とは?不動産買取の大手とは?もあわせてご覧ください。どちらが適しているかは物件と相続の状況によって変わるため、両方の見込みを比較したうえで判断するのが安心です。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 相続した実家は、相続登記をしないと売却できませんか?

はい。亡くなった方の名義のままでは売却できないため、売却の前に相続登記(名義を相続人へ変更する手続き)を済ませる必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請が必要とされています。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる場合があります。登記の手続きは司法書士にご相談ください。

Q2. 取得費(買ったときの値段)がわからない実家を売ると、税金は高くなりますか?

取得費がわからない場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算することが認められています。ただし実際の取得費より少なくなることが多く、その分だけ譲渡所得が大きくなり、税負担が重くなる傾向があります。古い売買契約書や購入時の領収書が残っていないか、まず探してみることをおすすめします。具体的な税額の判断は税理士または税務署にご確認ください。

Q3. 相続人が複数いる場合、実家を売って現金で分けることはできますか?

できます。実家を売却して、その代金を相続人で分ける方法を換価分割といい、相続した不動産の売却では多く用いられています。1つの不動産を物理的に分けにくいケースでも、現金にしてから分けられるため公平に分けやすい方法とされています。売却の進め方や持分の扱いは、遺産分割協議の内容によって異なるため、相続人全員で事前に話し合っておくことが大切です。

Q4. 空き家の3000万円特別控除は、誰でも使えますか?

いいえ。一定の要件を満たした場合に限り使える特例です。主な要件として「1981年5月31日以前に建築された家屋であること」「区分所有建物でないこと」「相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと」「相続から譲渡まで継続して空き家であること」「譲渡価額が1億円以下であること」「耐震基準を満たす改修をするか取り壊して売ること」などがあります。適用要件は複雑なため、必ず税理士または税務署に確認してください。

Q5. 相続した実家は、いつまでに売るのが有利ですか?

税の特例には期限があるため、早めに動くほど選択肢が広がります。取得費加算の特例は相続税の申告期限の翌日から3年以内(おおむね相続開始から3年10か月以内が目安)の売却が条件です。空き家の3000万円特別控除にも適用期限があります。また、空き家を放置すると維持費がかかり建物の価値も下がりやすいため、活用予定がなければ早めに売却を検討することをおすすめします。最適なタイミングは個別の事情で異なるため、税理士や不動産会社にご相談ください。

8. 相続の実家売却で「相談先」を選ぶときの3つの視点

相続した実家の売却は、売却の知識だけでなく、相続・税務・遠方対応など複数の論点が絡みます。だからこそ、相談先選びが結果を大きく左右します。以下の3つの視点をチェックしてみてください。

  • 視点① 相続・空き家の事情をふまえて売却方法を提案できるか

    築年数だけで機械的に判断する査定では、長く大切にされてきた実家の価値が本来より低く見積もられることがあります。建物の状態をきちんと評価したうえで、仲介・買取のどちらが合うかまで提案できるかが大切です。

    👉 一例として、ミサワホームを含む大手ハウスメーカー10社が設立した「一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会」の評価基準に基づく査定は、建物本来の価値を評価する手法です。※この評価基準は、協議会に加盟する大手ハウスメーカー10社が手がけた建物を対象としています。

  • 視点② 売却・相続・税務をまとめて相談できる相談先か

    相続の実家売却では、遺産分割・相続登記・空き家の特例・取得費加算など、売却以外の論点が次々に出てきます。窓口がバラバラだと負担が大きいため、必要に応じて専門家への橋渡しまでしてくれる相談先だと安心です。

    👉 MISAWA RELAY(ミサワリレイ)ミサワホームの不動産仲介・買取再販事業 の「家活(いえかつ)コンシェルジュ」は、査定の手配から、必要に応じて司法書士・税理士との連携など、お客さま一人ひとりに合った手順をご提案します。

  • 視点③ 遠方・空き家のケースに対応できるか

    相続した実家は、相続人が遠方に住んでいて現地に通いにくいケースが多いものです。離れた場所の空き家でも、現地確認や手続きをサポートしてもらえる体制があるかどうかは重要なポイントです。

    👉 MISAWA RELAY は、全国に広がる拠点ネットワーク(沖縄・離島など一部を除く)で、空き家・相続・遠隔地の不動産にも対応します。早期の現金化を希望される場合は、仲介手数料が不要な買取再販ブランド「Homever(ホームエバー)」もご用意しています。

9. まとめ:迷ったら、まずは無料査定から

相続した実家の売却は、遺産分割協議 → 相続登記 → 査定・売却 → 確定申告という流れで進みます。相続人が複数いるなら「売って現金で分ける換価分割」が選ばれやすく、相続登記は2024年4月から義務化されている点に注意が必要です。税金面では、空き家の3000万円特別控除や取得費加算の特例など使える可能性のある制度がありますが、要件は複雑で、適用判断は必ず税理士・税務署にご確認ください。

「何から手をつければいいかわからない」という方こそ、まずは実家がいくらで売れそうかを知ることが最初の一歩です。MISAWA RELAY の家活コンシェルジュが、査定結果をもとに売却方法の整理から、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家への橋渡しまで、一緒に進めていきます。遠方の実家・取得費が不明なケースも、お気軽にご相談ください。

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監修:MISAWA RELAY 編集部 / 宅地建物取引士

MISAWA RELAY(ミサワリレイ)は、ミサワホーム株式会社の不動産仲介・買取再販事業です。住宅メーカーとして長年にわたり住宅を支えてきた知見を活かし、不動産売却・相続を初めて検討される方にもわかりやすく正確な情報をお届けしています。

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※本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、特定の不動産取引や個別の判断に関する助言ではありません。具体的なご判断は、宅地建物取引士・税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。
※相続登記・遺産分割・税の特例の適用可否は個別の事情により異なります。登記は司法書士、税務は税理士または所轄の税務署にご相談ください。
※譲渡所得税等の税負担は物件・所有期間・特例の適用により異なります。
※記載内容は2026年6月時点の情報に基づいています。法改正・税制改正等により内容が変更される場合があります。最新の情報は国税庁ホームページ等でご確認ください。
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