犯罪と場所について
2014.2.19
こんにちは
犯罪に対して、安全で安心な住まいの環境を整えるためには、どうすればいいのでしょうか。
まず、どこでどのような犯罪があるのかについて、警察庁が発表している「刑法犯の発生場所別認知件数(平成24年)」から拾ってみます。
発生場所は大きく分けて4つあります。住宅、事業所等、街頭、その他です。
事業所等にはオフィスや店舗、学校などが含まれ、街頭には道路や公園、駐車場、交通機関などが含まれています。
警察に認知された刑法犯の総数はおよそ138万件ありますが、その場所ごとの比率は、住宅(24%)、事業所等(30%)、街頭(40%)、その他(6%)です。
刑法犯の罪種は、大きく分けて6つあります。凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、その他刑法犯です。
これらの罪種は、人を犯行対象にするものと、物や場所(人以外)を犯行対象にするものとがあります。
人を対象にするものとして、強盗などの凶悪犯、傷害などの粗暴犯、知能犯、風俗犯(子どもに対するいたずら、ちかんなど)があります。
また、物や場所を対象にするものとしては、凶悪犯のうち放火、窃盗犯、その他刑法犯のうち住居侵入や器物破損等です。
なお、罪種ごとの認知件数の比率は、凶悪犯(0.5%)、粗暴犯(5%)、窃盗犯(75%)、知能犯(3%)、風俗犯(1%)、その他刑法犯が(16%)です。窃盗犯が多くの割合をしめているのがわかります。
さて、発生場所ごとの罪種の比率は、どの場所でも窃盗犯が72%~80%と多くの割合を占めていますが、発生場所によってその窃盗の犯行内容が以下のように異なっています。
・住 宅 : 侵入窃盗(20%)、乗り物盗(31%)、非侵入窃盗(22%)
・事業所等 : 侵入窃盗(10%)、乗り物盗(7%)、非侵入窃盗(64%)
・街 頭 : 侵入窃盗(0%)、乗り物盗(44%)、非侵入窃盗(29%)
(非侵入盗には、ひったくり、車上狙い、自販機狙い、置引きなどさまざま。)
ご覧のように、住宅では、侵入窃盗の比率が高くなっています。
犯罪に対して、安全で安心な住まいの環境を整える際には、物や場所を犯行対象とする犯罪の対策を行います。
そのなかでも、安全と思っていた室内に入られる侵入盗は、被害者への心理的な影響が大きいといわれていることから、侵入窃盗に重点を置いて考慮するのが第一歩となります。
もちろん、住宅の中でも共同住宅、街頭の中の公園などにおいては、人を犯行対象とする風俗犯(子どもに対するいたずら、ちかん)などで場所に特徴のあるもの、具体的にはエレベータの中や公衆トイレ等については見通しを確保するなどの対策を行います。
はじめまして
2014.2.19
はじめまして
地震や台風などの災害によるものや家庭内での事故など、住まいにはさまざまな危険があります。
安全で安心できる住まいの環境は誰もが望んでいることですが、そのなかの一つに、犯罪からの安全、防犯があります。
一口に防犯といっても、警察の捜査やパトロール、自治体による道路や公園等の整備、住民による防犯パトロール、自宅の扉への補助錠の取付けなど幅広い内容が含まれています。
そのため防犯対策もいろいろですが、自宅の建物と敷地についての具体的な対策については、当ホームページと冊子に載せていますので併せてご覧ください。ご自宅の対応を検討される際にお役に立つことができれば幸いです。
話は変わりますが、法務総合研究所が行った、犯罪の被害に遭った人への調査によると、窃盗の被害についても、およそ5割の人が、「大きな精神的な影響を受けた」と答えています。その具体的な影響は「夜眠れなくなった」「外出できなくなった」などを選んでいます。(注1)
仮に、金品を盗られていなくても、室内に靴跡があり部屋を荒らされた状況を見て、何となく感じる不安が増えていきます。
また20年ほど前になりますが、侵入盗防止研究委員会が行った調査のなかで、被害宅の状況を見た警察官が、その家屋が犯行対象に選ばれた理由として、「被害者宅で物理的な警戒を欠く」に示される窓やドアの対策が不十分である理由のほかに、「隣の建物との位置や境界等が犯行に好都合」「被害者宅の周囲が暗く接近し易かった」など建物周囲の環境についても推定しています。(注2)
安全で安心な住まいの環境を整えるために、犯罪が多い地域かなどの地域性も考慮しながら、自宅が犯行対象に選ばれないようにすることが必要になると考えられます。
当ブログでは、建物環境とそこで起こる侵入窃盗などの防犯対策に関連することを載せる予定です。
どうぞよろしくお願い致します。
(注1)法務省 犯罪白書 平成11年版
(注2)侵入盗防止研究委員会 侵入盗の被害者に関する研究 平成7年3月