空き家・相続

空き家を放置するとどうなる?6つのリスクと固定資産税6倍のからくり

放置された空き家と、固定資産税・リスクをイメージした図

画像はイメージです

「相続したけれど、誰も住まない実家」「遠方にあって、なかなか手をつけられない家」——使う予定のない空き家を、とりあえずそのままにしている方は少なくありません。しかし、空き家の放置には、思わぬ税負担や事故のリスクがひそんでいます。
近年は法律も強化され、管理されていない空き家は固定資産税の軽減が外れて負担が大きく増えたり、行政から指導・勧告を受けたりする可能性があります。本記事では、空き家を放置する6つのリスク固定資産税が最大6倍になるからくり、そして売却・解体・活用・管理という4つの対処法を、専門家がやさしく整理します。相続した実家の売却の具体的な流れは「相続した実家を売るには?流れ・税金・注意点」もあわせてご覧ください。

この記事の結論(先に要点)

空き家を放置すると、固定資産税の増額・倒壊・行政による対応・過料・近隣トラブル・資産価値の低下といったリスクがあります。とくに、管理されず「特定空き家」などに指定され勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減(住宅用地特例)が外れて負担が大きく増えることも。使う予定がないなら、状態が悪くなる前に売却などの対処を早めに検討するのが安心です。

1. 空き家の「とりあえず放置」が危険な理由

空き家は、住む人がいなくても固定資産税や管理の手間がかかり続けます。そして、人が住まない家は、換気や手入れがされないため、思っている以上に早く傷みます。雨漏り・シロアリ・庭木の繁茂などが進むと、資産価値が下がるだけでなく、近隣への迷惑や事故につながることもあります。

さらに近年は、空き家に関する法律が強化されています。2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」が施行され、2023年12月の改正で対応がさらに強化されました。管理されていない空き家は、税負担が増えたり、行政から指導・勧告を受けたりする対象になり得ます。「とりあえず放置」が、あとで大きな負担になってしまうことがあるのです。

2. 空き家を放置する6つのリスク

空き家を放置すると、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。代表的な6つを見ていきましょう。

リスク内容
① 固定資産税の増額指定・勧告を受けると住宅用地特例が外れ、土地の税が最大6倍になる場合がある
② 建物の老朽化・倒壊手入れされず傷みが進み、屋根や外壁の落下・倒壊のおそれ
③ 行政の指導・命令・強制解体危険な状態が続くと、指導・勧告・命令、最終的に行政代執行(強制的な解体)に至ることも
④ 過料(罰則)命令に従わない場合、50万円以下の過料が科される可能性がある
⑤ 近隣トラブル雑草・害虫・不法投棄・防犯上の不安などで、近隣に迷惑がかかる
⑥ 資産価値の低下傷むほど売りにくく・安くなり、解体費用もかさむ

とくに見落としやすいのが、①の税負担⑥の資産価値の低下です。放置している間も税金はかかり続け、そのうえ建物が傷むほど、いざ売ろうとしたときの価格は下がっていきます。「持っているだけでじわじわ損をする」——これが空き家放置の怖さです。

「行政代執行」になると費用は所有者負担

危険な空き家が放置され、命令にも従わない場合、行政が所有者に代わって解体などを行う「行政代執行」に至ることがあります。このときの解体費用は、所有者に請求されます。自分の意思とは関係なく、多額の費用負担が発生してしまうため、そうなる前の対処が大切です。

3. 固定資産税が最大6倍になる「からくり」

「空き家を放置すると固定資産税が6倍」とよく言われますが、これには理由があります。カギは「住宅用地の特例」というしくみです。

3-1. 住宅が建つ土地は、固定資産税が軽くなっている

じつは、住宅が建っている土地は、固定資産税が大きく軽減されています。これが「住宅用地の特例」です。具体的には、次のように軽減されています。

区分面積固定資産税の軽減
小規模住宅用地200㎡以下の部分評価額の6分の1
一般住宅用地200㎡を超える部分評価額の3分の1

3-2. 特例が外れると、軽減がなくなって税負担が増える

空き家が管理されず「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、行政から勧告を受けると、この住宅用地特例が外れます。軽減がなくなるため、小規模住宅用地だった部分は、税負担が最大で6倍(一般住宅用地の部分は3倍)に近づく、というわけです(実際の増加幅は後述のとおり負担調整措置により小さくなります)。

計算のイメージ(例)

たとえば土地の固定資産税評価額が500万円の場合。特例が効いていれば「500万円 × 1/6 × 1.4% = 約1.2万円」です。特例が外れると軽減がなくなりますが、実際には負担調整措置により課税のもとになる額が評価額の約7割で抑えられるため、「500万円 × 70% × 1.4% = 約4.9万円」程度が目安です。約1.2万円が約5万円前後へと、大きく増えることになります。
※「6倍」は軽減(1/6)がなくなることに由来する上限の目安で、負担調整措置により実際の増加は6倍より小さく、4倍前後にとどまることが一般的です。税率1.4%は標準税率で、実際の金額は自治体・年度・物件によって異なります。あくまで仕組みを理解するための一例です。

増額されるのは、勧告を受けた翌年度の固定資産税からが目安です。なお、これはあくまで「管理されず勧告を受けた場合」の話で、空き家を持っているだけですぐに増えるわけではありません。適切に管理する、あるいは売却・活用するといった対処をすれば、こうした増税は避けられます。

4. 「特定空き家」「管理不全空き家」に指定される流れ

固定資産税の増額や過料は、いきなり科されるわけではありません。行政は、次のような段階を踏んで対応します。

段階内容
① 助言・指導調査のうえ、改善するよう助言・指導が行われる
② 勧告指導に従わないと、書面で勧告。この時点で住宅用地特例が外れる
③ 命令さらに放置すると、改善の命令が出される
④ 行政代執行命令にも従わない場合、行政が代わりに解体等を行う(費用は所有者負担)

2015年の空家法では「特定空き家」(倒壊のおそれや衛生上の問題など、そのまま放置すると危険な状態の空き家)が対象でした。2023年12月の改正では、放置すると特定空き家になるおそれのある状態を「管理不全空き家」として、より早い段階から指導・勧告できるようになりました。つまり、行政が動き出すハードルが下がったということです。

※「管理不全空き家」は主に助言・指導・勧告の対象で、いずれも勧告を受けると住宅用地特例が外れます。状態がさらに悪化して「特定空き家」に至ると、命令・行政代執行の対象になります。

2023年の改正で「早めに対応される」ように

改正前は、かなり危険な状態(特定空き家)にならないと行政は動きにくい面がありました。改正後は、その手前の「管理不全空き家」の段階で勧告できるようになっています。「まだ大丈夫」と思っていても、以前より早く指定・勧告の対象になり得る点に注意が必要です。

5. 空き家の処分・活用|4つの対処法

使う予定のない空き家をどう処分(手放す・活用する)するか、主な方法は次の4つです。状態が悪くなる前に検討するのが得策です。

5-1. 売却する

もっとも分かりやすいのが売却です。所有権を手放せば、その後の固定資産税や管理の負担から解放されます。建物が古い場合でも、買取なら現況のまま対応できるケースがあります(買取と仲介の違いは「不動産買取が安い理由とは?」で解説しています)。相続した実家であれば、一定の要件を満たすと使える税金の特例(空き家の3,000万円特別控除など)もあります。

5-2. 解体して土地を活用・売却する

建物の傷みが激しい場合は、解体して更地にする選択肢もあります。土地として売却したり、駐車場などに活用したりできます。ただし、解体には費用がかかるうえ、3章で触れた住宅用地特例は、更地にすると同じように外れます。つまり、解体後の土地は、放置して特定空き家になった場合と同様に固定資産税の負担が増えます。そのため解体は「売却の直前に行う」など、タイミングの見極めが大切です(売却時の税金は「不動産売却にかかる税金を完全ガイド」で解説しています)。

5-3. 賃貸などで活用する

立地や状態によっては、リフォームして賃貸に出すなど、活用して収益を得る方法もあります。人が住む状態にすれば、住宅用地特例も維持されます。ただし、リフォーム費用や、借り手が見つかるかどうかの見極めが必要です。

5-4. 管理を続ける(当面手放さない場合)

「すぐには手放したくない」という場合は、適切に管理を続けることが最低限必要です。定期的な換気・掃除・庭木の手入れなどで、特定空き家などに指定されないようにします。自分で難しい場合は、空き家管理を代行するサービスを利用する方法もあります。

対処法向いているケース主な注意点
売却使う予定がなく、負担をなくしたい古い建物は買取も検討
解体して活用・売却建物の傷みが激しい解体費用・更地の税負担増
賃貸などで活用立地・状態が良く収益を得たいリフォーム費用・空室リスク
管理を続ける当面は手放さない管理の手間・費用が続く
空き家の対処法(売却・解体して活用や売却・賃貸などで活用・管理を続ける)を検討するイメージ
使う予定のない空き家は、状態が悪くなる前に対処法を検討するのがおすすめです

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 空き家を放置すると、固定資産税は本当に6倍になりますか?

すぐに6倍になるわけではありません。住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が軽減されており、200㎡以下の部分は評価額の6分の1になっています。空き家が管理されず「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、行政から勧告を受けると、この特例が外れます。その結果、軽減がなくなり、土地の固定資産税が増えます。「最大6倍」とよく言われますが、これは軽減がなくなることに由来する上限の目安で、実際には負担調整措置により4倍前後にとどまるのが一般的です。増額されるのは、勧告を受けた翌年度からが目安です。

Q2. 「特定空き家」や「管理不全空き家」とは何ですか?

どちらも、適切に管理されていない空き家に対して市区町村が指定するものです。倒壊のおそれや衛生上の問題など、そのまま放置すると危険な状態の空き家が「特定空き家」です。2023年12月の法改正で、放置すると特定空き家になるおそれのある状態を「管理不全空き家」として、より早い段階で指導・勧告できるようになりました。いずれも勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れる対象になります。

Q3. 使う予定のない空き家は、どうするのがよいですか?

誰も住む予定がない空き家は、状態が悪くなる前に「売却」「解体して土地を活用・売却」「賃貸などで活用」「専門会社に管理を任せる」といった対処を早めに検討するのがおすすめです。とくに、そのまま売却すれば固定資産税や管理の負担から解放されます。建物が古い場合でも、買取などで対応できるケースがあります。まずは今の状態でいくらで売れそうか、査定で確認してみましょう。

Q4. 相続した実家が空き家です。何から始めればよいですか?

まずは相続登記(名義変更)が済んでいるかを確認しましょう。相続登記は2024年4月から義務化されています。そのうえで、売却・活用・管理のどの方針にするかを、相続人どうしで話し合うことが第一歩です。相続した実家の売却の流れや税金の特例については、専門の記事で詳しく解説しています。空き家は時間が経つほど傷み、価値も下がりやすいため、早めの検討がおすすめです。

7. 相談先を選ぶときの3つの視点

空き家は、売却・解体・活用・管理と選択肢が多く、状況によって最適な方法が変わります。次の3つの視点で相談先を見比べると、自分に合った方法を選びやすくなります。

  • 視点① 売却・活用の選択肢を幅広く提案してくれるか

    空き家は「売る」だけが答えとは限りません。売却・解体・活用・管理を、物件の状態や希望に応じて中立的に比較し、提案してくれる相談先だと、納得のいく判断がしやすくなります。

    👉 とくに古い建物や遠方の空き家は、「そのまま売れるのか」「解体すべきか」の見極めが重要です。

  • 視点② 建物の価値まで評価できる査定手法を持っているか

    築年数だけで「古いから価値がない」と決めつけず、建物の性能や維持管理の履歴まで見て評価してくれるかどうかで、査定額の納得感は大きく変わります。

    👉 一例として、ミサワホームを含む大手ハウスメーカー10社が設立した「一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会」の評価基準に基づく査定では、築年数に加えて建物の性能や維持管理の履歴なども評価の対象とされています。※この評価基準は、協議会に加盟する大手ハウスメーカー10社が手がけた建物を対象としています。

  • 視点③ 相続や遠方の物件にも対応できるか

    空き家は、相続がからんでいたり、遠方にあったりすることが少なくありません。相続の手続きや、離れた場所の物件にも対応できる体制があるかは、大切なチェックポイントです。

    👉 MISAWA RELAY(ミサワリレイ)ミサワホームの不動産仲介・買取再販事業 の「家活(いえかつ)コンシェルジュ」は、空き家の売却・活用のご相談から、必要に応じて司法書士・税理士との連携まで整理してご提案します。古い建物や遠方の空き家は、仲介手数料がかからない買取再販ブランド「Homever(ホームエバー)」で対応できる場合もあります(買取価格は仲介の場合と異なります)。

相続した実家の空き家については、「相続した実家を売るには?流れ・税金・注意点」もあわせてご覧ください。相続登記や税金の特例など、相続特有のポイントを整理しています。

8. まとめ:空き家は「早めの対処」が負担を減らす

空き家の放置には、固定資産税の増額・倒壊・行政による対応・過料・近隣トラブル・資産価値の低下という6つのリスクがあります。とくに、管理されず「特定空き家」などに指定され勧告を受けると、住宅用地特例が外れて土地の固定資産税の負担が大きく増える場合があります。2023年の法改正で、行政が早めに動けるようになった点にも注意が必要です。

使う予定がないなら、状態が悪くなる前に、売却・解体・活用・管理のいずれかを早めに検討することが、結果的に負担を減らします。空き家は時間が経つほど傷み、価値も下がりやすいためです。なお、本記事の税制や制度の内容は一般的な解説であり、具体的な適用や金額は自治体・物件によって異なります。実際のご判断は、お住まいの自治体や税務署にご確認ください。

MISAWA RELAY では、空き家の査定から、売却・活用のご提案、相続の手続きの整理まで、家活コンシェルジュがワンストップでサポートします。「まだどうするか決めていない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

MISAWA RELAY|空き家のご相談を無料で承ります

使う予定のない空き家、そのままにしていませんか?

建物の状態まで踏まえて適正に評価し、家活コンシェルジュが売却・活用のご提案から相続の手続きの整理までサポートします。古い建物や遠方の空き家のご相談も大歓迎です。

お電話でのご相談 0120-521-330(電話・WEBどちらでもご相談いただけます)

※お電話受付時間:9:00〜18:00(年末年始を除く)/ 個人情報は厳重に管理いたします
※土日祝は定休日のため、お問い合わせへの対応にお時間をいただく場合があります

M

監修:MISAWA RELAY 編集部(宅地建物取引士 在籍)

MISAWA RELAY(ミサワリレイ)は、ミサワホーム株式会社の不動産仲介・買取再販事業です。住宅メーカーとして長年にわたり住宅を支えてきた知見を活かし、不動産売却を初めて検討される方にもわかりやすく正確な情報をお届けしています。

免責事項
※本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、特定の不動産取引や個別の判断に関する助言ではありません。具体的なご判断は、宅地建物取引士・税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。
※本記事で紹介する税制・法制度(住宅用地特例・空家法・過料 等)の内容や金額は一般的な目安であり、実際の適用・税額は自治体や物件の状況によって異なります。最新の制度は各自治体・関係省庁でご確認ください。
※固定資産税の計算例は仕組みを理解するための一例であり、実際の税額を示すものではありません。
※空き家の買取・活用の可否は、エリア・建物の状況によって異なります。
※記載内容は2026年7月時点の情報に基づいています。
※「MISAWA RELAY(ミサワリレイ)」はミサワホーム株式会社の不動産仲介・買取再販事業です。
※「Homever(ホームエバー)」はミサワホームグループの買取再販ブランドです。エリア・建物の状況によっては買取できない場合があります。
※「家活コンシェルジュ」は MISAWA RELAY の総合相談を担当するスタッフです。