地震や水害など、自然災害リスクの高い日本では、災害に負けない住まいづくりが求められます。今回は在宅避難を考えるうえでキーワードとなる、「レジリエンスルーム」についてご紹介します。
第1回
地震や水害など、自然災害リスクの高い日本では、災害に負けない住まいづくりが求められます。今回は在宅避難を考えるうえでキーワードとなる、「レジリエンスルーム」についてご紹介します。
大規模災害が発生すると避難所に被災者が殺到し、混乱が生じることもあります。避難所での生活は不便が多く、プライバシーの確保も極めて困難。慣れない環境で体調を崩してしまう方も少なくありません。こうした不安やストレスを考えると、災害時でも可能な限り住み慣れた自宅で生活を続けたいものです。「在宅避難」ならプライバシーを守ることができ、集団生活による感染症などの心配も回避できます。できるだけ自宅にとどまって生活できるよう、日頃から在宅避難に必要な準備をしておきましょう。
災害後も、ライフラインが復旧するまで在宅避難を続けるためには、日頃から食料や飲料水など必要なモノを備えておくことが大切です。
“レジリエンス”とは「復元力・回復力」のこと。近年は特に「困難な状況に適応して生き延びる力」という意味で使われます。レジリエンスルームは、お住まいの地域の災害リスクに応じて、建物の中で最も安全な位置にある一室を災害時の自宅避難所として利用する、ミサワホーム独自の考え方です。その際、テレビやパソコンなどが設置されていると、災害情報を得やすくて安心です。ふだん使っているリビングルームや寝室を、いざというときに家族が集まって過ごせるレジリエンスルームにしてはいかがでしょう。
現在お住まいの居室をレジリエンスルームとして活用できるようにリフォームするのが、レジリエンスルーム・リフォームです。
建物全体ではなく、特定の一室の耐震性や断熱性を向上させ、災害時に自立した避難所として利用できるようにリフォームを行います。部屋の特性に合わせ、どのようなリフォームを行えば、より安全が確保できるか、その一例をご紹介します。
浸水の可能性が低い地域では、出入りがしやすい1階にレジリエンスルームを設置します。家族の生活動線が交差するリビングルームを利用する方法や、リビングルームに隣接した和室、暮らし方の変化で使用頻度が減った部屋などを専用の部屋としてリフォームするのもおすすめです。
緊急時に必要なものがすぐに取り出せる備蓄収納を造作。
取り外して携帯電灯としても使える足元灯を設置。
充電式の照明で、夜間停電時の避難を安全に。
地震時や強風時のガラスの飛散を予防。
停電時の暑さ・寒さによる健康リスクを低減。
身体に触れる機会が多い床の断熱性能をUP。
浸水の可能性の高い地域では、1階の浸水被害を想定し、2階もしくは3階にレジリエンスルームを設置します。2階リビングを利用したり、寝室にいざというときに備えて収納増設などのリフォームをします。
小屋裏空間を有効利用して備蓄スペースに。
取り外して携帯電灯としても使える足元灯を設置。
充電式の照明で、夜間停電時の避難を安全に。
地震時や強風時のガラスの飛散を予防。
定期的なメンテナンスにより雨漏りを防止。
停電時の暑さ・寒さによる健康リスクを低減。
暑さ対策で停電時の熱中症のリスクを低減。
レジリエンスルーム・リフォームなどを行い、可能なかぎり在宅避難できる準備を整えておくことは、いざというときに家族を守ることにつながります。ぜひこの機会に住まいを見直しましょう。
※掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。
9:00〜18:00(土日祝・年末年始を除く)