1. HOME
  2.  > 資産活用コラム
  3.  > 相続税改正のポイント!小規模宅地等の特例の要件が緩和されました

資産活用事例

資産活用事例

相続税改正のポイント!小規模宅地等の特例の要件が緩和されました

相続税が改正され新たな制度が導入されることで、これらをきちんと把握しておかないと、今後の相続の際に大変なことになる可能性があります。
今回の改正では小規模宅地等の特例の要件緩和もひとつのポイントとなっており、相続の際に適用を受けられると、かなり負担は軽減されることになります。
 小規模宅地等の特例とは、相続、遺贈によって取得した宅地のうち、事業用又は居住用の宅地については、一定の面積まで評価額が減額される特例です。
ここでは小規模宅地等の特例の要件緩和について変更点を確認しましょう。

①居住用宅地の上限面積の拡大及び特定事業用宅地との併用について

今回の改正により居住用の適用対象面積が240㎡から330㎡まで拡充され、特定事業用宅地(適用対象面積400㎡まで)との完全併用が可能となります。その結果、最大730㎡が減額の対象になります。

②二世帯住宅の場合の取扱いについて

たとえば、1階に父母世帯が暮らし、2階に長男世帯が住んでいる二世帯住宅の場合、この小規模宅地を巡っては相続の際にどのような取り扱いがなされるのでしょうか。
以前はこのような二世帯住宅のうちで、内部に階段が無く完全に区分されている住宅については、内部で互いの行き来が出来ないことを理由に同居ではないとみなされていました。
上記のような二世帯住宅で父親が亡くなりその住宅を相続する場合、長男は同居しているものと認められませんでした。そのため、小規模宅地等の特例の要件を満たさず、80%に及ぶ評価減を得ることが出来ませんでした。また母親が相続するという場合でも、特例が認められる範囲は、父母世帯の居住面積の比率に応じた土地に関してのみとされていました。
こうした事情があったので、これまでは同居と認められて特例を得るために、あまり使用しないような内階段をわざわざ設置したという家庭が多数見受けられたのです。
平成26年1月1日以降に適用された「二世帯住宅に関する相続の適用緩和」はこういった事例に対して特例を認めるようになりました。
改正後は内部に階段があるかないかに関わらず、一棟の建物の内部に被相続人の配偶者や親族が住んでいるのであれば問題なく特例が適用できるようになったのです。これにより完全分離型の二世帯住宅、および賃貸併用住宅で各独立部分に親子世帯が別々に住まっているケースに関しても相続の際に特例が適用されるようになったというメリットが広がっています。

しかしながら、区分所有登記されている建物に関しては改正前も改正後も変わらず、同居していないものとされますので特例は認められません。この点に関してはくれぐれも注意が必要です。

③老人ホームへ入所した場合の取扱いについて

そしてもう一点、親が老人ホームへ入居する場合の取扱いに関しても改正が行われました。これまでは親が自宅を空き家状態にして老人ホームに入居した場合、それが被相続人(つまり親)の居住用の自宅であるかどうかは国税庁が定めた4つの条件に当てはまっている必要がありました。
この条件とは①被相続人の心身的な理由によって介護の必要性があり老人ホームへの入居が不可欠であると認められたこと。②被相続人の生活のために継続的にその建物の維持管理が行われていたこと。③被相続人の入所後は他者にその建物を貸与した事実がないこと。 ④そして入居したホームが被相続人や親族によって所有権が獲得されるなど、終身利用権が獲得されたものではないこと。以上の4点を満たさなければ特例が認められなかったのです。
すなわち、被相続人がホームに入居した際は、あくまで病気治療の為に一時的に自宅から離れているのだとみなされました。その為、終身利用権を取得して有料老人ホームに入居したならば、自宅には住んでいないものと処理され、小規模宅地等の特例の適用範囲外となって80%に及ぶ評価減が使用できない場合が多かったのです。
それが平成26年1月1日の改正からは大きく変わりました。被相続人が要介護認定を受け、老人ホームに入所した場合で、その住居家屋が貸し付け等の用途に供されていない場合には、小規模宅地等の特例が適用できるようになったわけです。
これによって超高齢化社会とも呼ばれる日本において、親世代に次々と介護が必要となり老人ホームのお世話になる人が増えている現状に、法制度がようやく追いついたと言えるでしょう。
ただし、前述したように被相続人が老人ホームに入居したことで空き家となってしまった自宅を他人に貸してしまった場合、これは建物を貸付け等の用途に供していることになる為、小規模宅地等の特例を受けることが出来なくなってしまいます。空き家となってしまった自宅をその配偶者や子供世代がどうやって管理・活用していくかを決めるにあたっては、充分な検討が必要であることは言うまでもありません。

資産活用コラム一覧へ

TOPへ戻る