「見てほしい」と思えるほど愛着がもてる家を。

安藤:「地域社会とのつながり」というお話がありましたが、特に海外で感じるのは、住宅デザインが地域社会の景観に大きな影響を及ぼしているということです。特にヨーロッパでは名所だけでなく、住宅地であれ思わずカメラを向けたくなる風景に多く出合います。対して、日本では残念ながら……。

白浜:確かにヨーロッパの街並みはフォトジェニックですね。その水準までいくには、街並みを構成する住宅デザインのレベルを上げる必要がある。それこそ、写真に撮りたくなるような住宅デザインですよね。そして、そのためには生活者が暮らしに対する意識や欲求を上げる必要もありますね。

安藤:「写真に撮りたくなる住宅」って、いいですね(笑)。そんな素敵な家が立ち並び街並みを構成すれば、暮らす人の意識も向上し街全体の水準も上がるはず。それはまさしく、デザインがもたらすハッピー感にほかならないし、“生活をデザインする”という御社のテーマにつながりますね。

白浜:生活をデザインするという観点でいえば、デザインする対象は必ずしも住宅だけに限らない。屋外施設はもちろんプロダクトなど、デザインでハッピーにできるものはたくさんあると思いますね。

  • オナーズヒル新百合ヶ丘
  • MISAWA DESIGNERS’ CODE「INTEGRITY」インテリア
  • MISAWA DESIGNERS’ CODE「INTEGRITY」インテリア

安藤:最後に、今後、御社が見据える住まいの方向性をお聞かせください。

白浜:弊社では「環境」「暮らし」「家族」「文化」の四つを開発テーマとして掲げています。まずは住宅を建てて、住んで解体するまでの一生を通して環境にやさしい住まいを創ること。そして機能だけでなく美しさの耐久性にも配慮した末永く暮らせる住まいを追求すること。また、バリアフリーのみならず、さまざまなセンサー技術の活用等により温度、空気や睡眠の質をモニタリングし、家族の健康増進につながる住まいを開発。さらに、オープンスペースの採用など、地域社会との交流を育み文化に根ざした住宅をつくること。これら4つの課題に対応しつつ、デザイン的にも美しい住宅をつくっていきたいと考えております。

安藤:単なる住宅デザインではなく、住む人の生活や人生をもデザインするということですね。また、その外観デザインは、写真に撮りたくなるほどにスタイリッシュであることはもちろんのこと(笑)。

白浜:行き交う人が撮りたいと思うと同時に、暮らす人にも「撮ってほしい」「見てほしい」と思えるようなデザインを手がけていきたい。そういう意識でデザインに取り組みたいですね。

安藤:見てほしいと思えるほど愛着をもてる家って、素晴らしいですね。ぜひ、今後もそうした住宅をつくり続けていただきたいと思います。本日は楽しいお話をありがとうございました。

白浜:こちらこそ、ありがとうございました。