不動産売却の必要書類一覧|いつまでに何を、どこで取るかチェックリスト
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家や土地を売ると決めたとき、意外に時間を取られるのが「書類集め」です。権利証はどこにしまったか、測量図はあるのか、建築確認済証は——。必要な書類は段階ごとに違い、取得に日数がかかるものもあるため、売却の直前に慌てて探すと、契約や引き渡しの日程に影響することがあります。
本記事では、不動産売却に必要な書類を「査定前」「媒介契約」「売買契約」「決済・引き渡し」の4つの段階に分けて一覧にし、それぞれの取得先と注意点を解説します。権利証を紛失したときの対処や、購入時の契約書が見つからないときに探す資料も取り上げます。売却の流れ全体は「家を売るには?初めての不動産売却 完全ガイド」をご覧ください。
この記事の結論(先に要点)
- 書類は4つの段階で必要になる。最初に全部そろえる必要はないが、権利証・購入時の契約書・測量図は早めに所在を確認する
- 権利証(登記識別情報)は再発行できないが、紛失しても事前通知や本人確認情報の制度で売却できる
- 印鑑証明書は発行から3か月以内。契約から決済までの日程を見て、期限内に収まるタイミングで取る
- 購入時の売買契約書が無いと、売却後の税金が重くなることがある。取得費を示せる資料を探す
- 相続した家は、売る前に相続登記で名義を変えておく必要がある
この記事でわかること(目次)
1. 全体像:4つの段階で必要になる書類
不動産売却の書類は、売却の進み方に合わせて段階的に必要になります。まずは全体像を押さえましょう。
| 段階 | 主な書類 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 査定前 | 登記事項証明書、固定資産税納税通知書、間取り図・設計図書、測量図、購入時の契約書、ローン残高証明書 | 価格の根拠になる。所在確認だけでも早めに |
| ② 媒介契約 | 本人確認書類、登記事項証明書、印鑑(認印可の場合も) | 不動産会社に売却を依頼する契約 |
| ③ 売買契約 | 実印・印鑑証明書、本人確認書類、収入印紙、物件状況報告書・設備表、建築確認済証・検査済証 | 買主への説明責任にかかわる書類 |
| ④ 決済・引き渡し | 登記識別情報(権利証)、印鑑証明書(3か月以内)、実印、住民票(住所変更時)、固定資産評価証明書、抵当権抹消の書類、鍵・設備の説明書 | 所有権移転登記に使う書類がそろう日 |
取得にかかる日数の目安
登記事項証明書:即日〜数日(法務局・オンライン)/固定資産評価証明書:即日〜数日(郵送なら1週間程度)/印鑑証明書:即日/ローン残高証明書:金融機関により数日〜2週間程度/確定測量:隣地の立会いが必要で数か月/権利証紛失時の本人確認情報:司法書士との日程調整が必要。日数のかかるものから順に手配しましょう。
最初の段階ですべてをそろえる必要はありません。ただし、「権利証」「購入時の売買契約書」「測量図」の3つは、見つからない場合に対処へ時間がかかるため、売却を考え始めた時点で所在を確認しておくことをおすすめします。
2. 段階① 査定を依頼する前に用意したい書類
査定の精度は、不動産会社に渡せる情報の量で変わります。次の書類があると、机上査定でも実態に近い金額が出やすくなります。
| 書類 | 何がわかるか | 取得先・ありか |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 所有者、面積、抵当権の有無 | 法務局の窓口・郵送・オンライン請求 |
| 固定資産税納税通知書(課税明細書) | 評価額、地積・床面積、税額 | 毎年春に自治体から郵送 |
| 間取り図・設計図書・仕様書 | 建物の構造、間取り、設備 | 購入時・建築時の書類一式 |
| 測量図・境界確認書 | 土地の正確な面積、境界の位置 | 購入時の書類、法務局(地積測量図がある場合) |
| リフォーム・修繕の記録 | 建物の維持管理の履歴 | 工事の契約書・領収書、点検報告書 |
| 購入時の売買契約書・重要事項説明書 | 購入価格、物件の条件 | 購入時の書類一式 |
| 住宅ローン残高証明書・返済予定表 | 売却代金で完済できるか | 金融機関(年1回の郵送分、または依頼して発行) |
とくにリフォームや修繕の記録は、築年数のみで判断するのではなく、建物の状態を踏まえた査定を受けるうえで役立ちます。工事の契約書や領収書、定期点検の報告書が残っていれば、まとめておきましょう。固定資産税評価額の見方は「固定資産税評価額の調べ方」で解説しています。
3. 段階② 媒介契約を結ぶときの書類
査定を経て不動産会社に売却を依頼するときは、「媒介契約」を結びます。このとき必要になるのは、主に次の書類です。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 登記事項証明書(所有者が本人であることの確認)
- 印鑑(契約書への押印。会社によって認印でよい場合と実印を求められる場合がある)
共有名義の物件では、共有者全員の同意と本人確認が必要です。配偶者や親族と共有している場合は、早めに意思をそろえておきましょう。
4. 段階③ 売買契約を結ぶときの書類
買主が決まり、売買契約を結ぶ段階では、契約の当事者としての書類と、買主に物件の状態を説明するための書類が必要になります。
| 書類 | 役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 実印・印鑑証明書 | 契約書への押印と本人確認 | 印鑑証明書は市区町村で取得。契約時に求められることがあり、決済日まで3か月以内なら決済にも使える。超えそうなら取り直す |
| 本人確認書類 | 契約当事者の確認 | 媒介契約時と同じもので可 |
| 収入印紙 | 契約書に貼付する印紙税 | 売買金額によって税額が異なる |
| 物件状況報告書(告知書) | 雨漏り・不具合・近隣の状況などを買主に伝える | 把握している不具合は隠さず記載する |
| 設備表 | 引き渡す設備と故障の有無 | 給湯器・エアコンなどの状態を正直に |
| 建築確認済証・検査済証 | 建物が法令に適合して建てられた証明 | 無い場合は自治体で「台帳記載事項証明書」を取れることがある |
物件状況報告書は「正直に書く」ことが自分を守る
引き渡し後に買主が不具合を見つけた場合、売主が責任を問われることがあります(契約不適合責任)。把握している雨漏りや設備の故障、過去の修繕歴は、物件状況報告書に正直に記載しておくことが、あとのトラブルを防ぐいちばんの方法です。
5. 段階④ 決済・引き渡しのときの書類
売買代金を受け取り、所有権を買主に移す「決済・引き渡し」の日には、登記に関わる書類が一度にそろいます。司法書士が立ち会い、書類を確認してその日のうちに登記を申請するのが一般的です。
| 書類 | 役割 | 取得先・注意点 |
|---|---|---|
| 登記識別情報(または登記済証=権利証) | 所有者本人であることの証明 | 購入時に法務局から交付。紛失時は6章参照 |
| 印鑑証明書 | 所有権移転登記の添付書類 | 発行から3か月以内のもの |
| 実印 | 登記申請の委任状などに押印 | 印鑑証明書と同じ印鑑 |
| 住民票・戸籍の附票(住所の移り変わりが記録された書類) | 登記上の住所と現住所が異なるときの証明 | 引越し・結婚で住所や氏名が変わった場合 |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税の計算 | 市区町村(東京23区は都税事務所) |
| 抵当権抹消に関する書類 | 住宅ローンの担保を外す | ローン完済時に金融機関から受け取る。残債がある場合は決済日に合わせて手配 |
| 鍵・設備の取扱説明書・保証書 | 買主へ引き渡す | 合鍵も含めてすべて |
| 振込先口座の情報 | 売買代金の受け取り | 通帳・キャッシュカード |
住宅ローンが残っている場合は、売買代金で残債を完済し、同じ日に抵当権を抹消するのが通常の流れです。金融機関との日程調整が必要になるため、決済日が決まったら早めに連絡しましょう。
6. 権利証(登記識別情報)を紛失したときの対処
「権利証が見つからない」は、売却準備でもっとも多い相談のひとつです。まず、用語を整理します。
- 登記済証:従来の「権利証」。登記所の受付印が押された書面。
- 登記識別情報:現在の制度で登記済証に代わるもの。12桁の英数字の符号で、「登記識別情報通知」という書面に記載されて交付されます。
どちらも再発行はされません。しかし、紛失しても売却できなくなるわけではなく、次のような代わりの手続きがあります。
| 方法 | 内容 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 事前通知 | 登記識別情報を提供できない理由を申し出ると、法務局が登記名義人宛てに通知を送り、一定期間内に本人が申出をすることで本人確認を行う | 通知のやり取りに日数がかかり、決済当日に登記が完了しない点に注意 |
| 資格者代理人による本人確認情報 | 司法書士などの資格者が事前に本人確認を行い、その内容を記載した「本人確認情報」を添えて登記を申請する | 決済当日に登記申請できる。司法書士の報酬が別途かかる |
実務では、決済日に確実に登記を申請できる本人確認情報の方法が使われることが多いようです。いずれにしても、紛失に気づいたら早めに不動産会社や司法書士に伝えることが、日程や費用の面で安心につながります。
7. 購入時の契約書が無いとき:取得費を示す資料を探す
売却の手続きそのものには影響しませんが、売却後の税金に大きく関わるのが、購入時の売買契約書です。
不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると所得税・住民税がかかりますが、その計算では「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」を基本とします。購入時の価格(取得費)がわからないと、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」で計算することになり、実際の購入価格より取得費が小さくなって税負担が重くなる場合があります。
契約書が見つからないときは、購入価格を示せる次のような資料がないか探してみましょう。
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約書、返済予定表、ローン残高証明書
- 購入時の通帳の記録、振込明細
- 不動産会社や売主からの領収書、仲介手数料の領収書
- 建築時の工事請負契約書(注文住宅の場合)
- 購入当時の広告・パンフレット(価格が記載されているもの)
こうした資料で取得費を証明できるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれます。税務署または税理士に相談したうえで進めましょう。売却にかかる税金の全体像は「不動産売却にかかる税金を完全ガイド」で解説しています。
8. マンション・相続・土地で追加になる書類
8-1. マンションの場合
- 管理規約・使用細則:買主への説明に必要
- 長期修繕計画・修繕積立金の状況:管理会社から取り寄せる
- 管理費・修繕積立金の額がわかる書類:月々の負担の説明に
- 重要事項に係る調査報告書:管理会社が発行(有料の場合あり)
8-2. 相続した実家を売るとき、必要書類は何が変わりますか?
売却の前提として、相続登記で名義を相続人に変えておく必要があります。相続登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍・住民票、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書などが必要です。相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象になることがあります。手続きの詳細は「遺産分割協議と相続登記の進め方」、売る前の準備全体は「相続した実家、売る前にやることチェックリスト」をご覧ください。
8-3. 土地(更地)の場合
- 確定測量図・境界確認書:隣地との境界が確定していることを示す。無い場合は測量に時間と費用がかかる
- 越境に関する覚書:塀や樹木が隣地にまたがっている場合
境界が未確定の土地は、売買契約の前に確定測量が必要になることが多く、数か月かかることもあります。土地や古い戸建を売る場合は、測量図の有無を最初に確認しましょう。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 権利証(登記識別情報)をなくしてしまいました。売却できますか?
売却は可能です。登記識別情報や登記済証は再発行されませんが、代わりの手続きがあります。法務局が登記名義人に通知を送って本人確認を行う「事前通知」の制度や、司法書士などの資格者が本人確認を行い「本人確認情報」を作成して登記を申請する方法です。費用や日程に影響するため、紛失に気づいたら早めに不動産会社や司法書士に相談しましょう。
Q2. 印鑑証明書はいつ取ればよいですか?
所有権移転登記に使う印鑑証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。売買契約から決済・引き渡しまでは通常1〜2か月程度あり、契約時に提出を求められることもあります。決済日まで3か月を超えない見込みなら契約時の1通を決済にも使えますが、超えそうなら決済用に取り直します。早く取りすぎると期限切れになり、取り直しが必要になることがあります。
Q3. 購入したときの売買契約書が見つかりません。何か問題がありますか?
売却の手続き自体は進められますが、売却後の税金の計算に影響する可能性があります。譲渡所得を計算する際、購入時の価格(取得費)がわからないと、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費で計算することになり、税負担が大きくなる場合があります。購入時の契約書のほか、住宅ローンの契約書や通帳の記録、不動産会社の領収書など、購入価格を示せる資料がないか探してみましょう。詳しくは税務署や税理士にご確認ください。
Q4. 相続した実家を売る場合、必要書類は変わりますか?
基本の書類は同じですが、売却の前提として、相続登記によって名義を相続人に変えておく必要があります。相続登記には、被相続人の戸籍(出生から死亡まで)、相続人の戸籍や住民票、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書などが必要です。相続登記は2024年4月から義務化されています。手続きの流れは「遺産分割協議と相続登記の進め方」でくわしく解説しています。
10. 相談先を選ぶときの3つの視点
書類の準備は、不動産会社のサポート次第で負担が大きく変わります。相談先を選ぶときは、次の3つの視点が役立ちます。
-
視点① 最初の相談で「いつまでに何を」を一覧で示してくれるか
段階ごとの必要書類と期限を、最初に整理して渡してくれる会社なら、直前になって慌てることがありません。
👉 査定の時点で「用意しておくとよい書類」を具体的に案内してくれるかを見てみましょう。
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視点② 修繕の記録を建物の評価に活かしてくれるか
せっかく集めたリフォームや点検の記録も、築年数のみで判断する査定では活かされません。建物の性能や維持管理の履歴も踏まえて評価できるかどうかで、査定額の納得感は変わります。
👉 一例として、ミサワホームを含む大手ハウスメーカー10社が設立した「一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会」の評価基準に基づく査定では、築年数に加えて建物の性能や維持管理の履歴なども評価の対象とされています。※この評価基準は、協議会に加盟する大手ハウスメーカー10社が手がけた建物を対象としています。
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視点③ 司法書士・税理士との連携まで含めて段取りしてくれるか
権利証の紛失や取得費の証明、相続登記など、書類の問題は専門家の力が必要になる場面が多いものです。必要に応じて司法書士や税理士へ橋渡しをしてくれる相談先だと安心です。
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11. まとめ:早めに所在を確認し、段階ごとにそろえる
不動産売却の書類は、査定前・媒介契約・売買契約・決済引き渡しの4段階で必要になります。すべてを最初にそろえる必要はありませんが、権利証・購入時の契約書・測量図の3つは、見つからない場合の対処に時間がかかるため、売却を考え始めた時点で所在を確認しておきましょう。印鑑証明書は発行から3か月以内という期限があるので、決済日が決まってから取るのが確実です。
権利証を紛失しても、事前通知や本人確認情報の制度で売却は可能です。購入時の契約書が無い場合は、取得費を示せる資料を探し、税務署や税理士に相談しましょう。相続した家は、売る前に相続登記で名義を整えておく必要があります。
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