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賃貸住宅経営

2024年4月から開始の「省エネ性能表示制度」で、賃貸住宅経営者が知っておきたいこと

公開日:2024年3月25日

2024年4月から開始の「省エネ性能表示制度」で、賃貸住宅経営者が知っておきたいこと
いよいよ始まる「省エネ性能表示制度」。賃貸経営オーナーが知っておくべきポイントや注意点について、SUUMO編集長 池本洋一さんに伺いました。

株式会社リクルート

SUUMO編集長/SUUMOリサーチセンター センター長
池本 洋一

2024年4月から、いよいよ省エネ性能表示制度が始まります。消費者の省エネ意識が日々高まる中、省エネ性能が低い賃貸住宅は今後選ばれなくなる可能性もあります。所有する賃貸住宅の省エネ性能を確認し、制度のスタートに備えましょう。

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2024年4月から、いよいよ省エネ性能表示制度が始まります。消費者の省エネ意識が日々高まる中、省エネ性能が低い賃貸住宅は今後選ばれなくなる可能性もあります。所有する賃貸住宅の省エネ性能を確認し、制度のスタートに備えましょう。

目次

  • 1.なぜ今、住宅の省エネ性能表示制度が求められるのか?

  • 2.住宅の省エネ性能表示制度は、誰が対象?何をすべき?

  • 3.省エネ性能表示制度に対して消費者の関心は?

  • 4.既存の賃貸住宅はそのままでいい?改修する際の注意点は?

1.なぜ今、住宅の省エネ性能表示制度が求められるのか?

Q:住宅の省エネ性能表示制度について、まずはこの制度が始まるに至った経緯を教えてください。

池本さん:日本では2050年にカーボンニュートラル、2030年度に温室効果ガス46%削減(※2013年度比)する目標があり、それを実現するために住宅分野もやっていく必要があります。国民の皆様に自分の住んでいる家がどれくらいのエネルギーレベルなのかを広く知っていただくためには、先行しているヨーロッパのように不動産広告で示していくことが有効だろう、と。
日本においては、これまで省エネ性能を示す表示義務はなかったので、作る必要があったんですね。こうした背景から、制度が策定されました。
ちなみにヨーロッパでは約7割の方が広告での省エネ表示を認知しているという調査結果があり、フランスでは8割を超える認知率となっています。
住み替え時省エネ表示認知状況(全体/単一回答)

ピンチアウトで拡大できます

Q:2024年4月の運用開始までに、どういった検討や打ち合わせがなされたのでしょうか?

池本さん:我々が、この省エネ性能表示について国土交通省と関わりを持ち始めたのが2019年。当時、2021年か2022年くらいに省エネ性能表示制度をスタートさせようという目標があって、それを先行する形で2019年頃から議論が始まったんです。その流れで、2019年に海外における先行事例の調査を実施しました。

断熱を例に挙げると、当時の日本では今の省エネ基準である「断熱等級4」から一次エネルギー消費量をさらに20%削減した「断熱等級5」を最高等級とする話になっていました。ちなみにドイツでは、日本の「断熱等級7」レベルの断熱性能を基準としています。「断熱等級5」を目指している時点で、ドイツの基準に追い付いていないですよね。また、元々省エネ性能表示は任意で、となっていたんですが、やりたい会社だけがやるのでは性能値を底上げしていくほどの大きなムーブメントにはなりません。そういった点についても何度も議論が重ねられ、最終的には「断熱等級6・7」の上位等級が設けられ、表示制度も「罰則付きの努力義務」に引き上げられています。

2.住宅の省エネ性能表示制度は、誰が対象?何をすべき?

Q:表示が必要な媒体について教えてください。

池本さん:不動産広告のすべてです。バナー広告は不要ですが、ポータルサイトの広告、ホームページなど電子媒体においてはすべてが対象になります。紙媒体の場合は、あまりに小さい紙面には掲載できないため、A4 サイズ以上のチラシ、店頭広告などと決められています。

Q:住宅を供給する側から見ると大変な作業となりますが、問い合わせは来ていますか?

池本さん:問い合わせは、大きく二派にわかれています。すでにZEH(ゼッチ)化を進めており、省エネ性能の高さを事業戦略としている大手ハウスメーカー・大手マンションデベロッパーは、表示に前向きなモードを示しています。中小の工務店や中小の分譲マンション、分譲戸建て、賃貸の事業者は軒並みどうしようか、という感じですね。

ちなみに、制度に対して認知率が低いのは仲介事業者です。これまで、仲介事業者の方は住宅の省エネ性能をお客様に説明する機会があまりなかったため、お客様にラベルの説明を求められた際にどうしたら良いか、と一定の懸念を示されており、SUUMOから仲介事業者の皆様に資料を用意したり、ご説明などを実施したりしている状況です。省エネ性能表示制度の浸透の肝を握るのは、賃貸物件の客付け業務を行う仲介事業者の皆様です。住み替え検討をされるお客様と直接接点をもつ仲介事業者の皆様が省エネ性能について理解し、接客シーンでもお客様へご説明いただけるかというのが、この制度の浸透で重要なところでもありますね。

Q:広告への表示が努力義務化されていますが、仲介事業者は対象外なのでしょうか?

池本さん:今回、省エネ性能表示ラベルの表示義務を課されているのは、売主・貸主・サブリース事業者で、仲介事業者は対象外になっています。仲介事業者は、ラベルが売主側からきちんと提供されないと表示をすることができません。広告掲載に不備があった場合は広告主責任というのが原則ですし、仲介事業者を対象に含めると、売主からデータを提供されなかったり、売主から提供された情報が間違っていたりしたときにも仲介事業者が罰則を受けてしまう。制度スタート時にどこまで運用がスムーズに回るか見えない中でもあり、今回は売主・貸主・サブリース事業者までが努力義務の法規制を受ける対象となっています。

Q:賃貸経営のオーナー様も対象でしょうか?

池本さん:賃貸経営のオーナー様はいわゆる「貸主」なので、努力義務の対象となります。転勤の間だけ家を貸しているような事業として認められないものは対象外ですが、一定の規模でやっていらっしゃる事業性を持つオーナー様は貸主と認められて、努力義務の対象となります。ですので、大家さんが制度について知っていないと、自分がまさか規制の対象になっているとは……、と勧告を受けてから気づくというのもあり得ます。そうならないよう、建築業者をはじめ、サブリース事業者や管理会社の皆様からきちんと制度についてお伝えしていく必要があるということですね。

Q:努力義務からスタートしますが、いずれは義務化するのでしょうか?

池本さん:現時点で義務化が決まっているわけではなく、断言もできませんが、ただ世界各国の状況を見ると、義務化はどこの国でも実現していることです。いずれ日本もそういった流れになるのでは、と私は考えています。
また、ヨーロッパでは省エネ性能が低い物件を賃貸禁止にする制度もあります。義務化への移行や、省エネ性能の低い物件の賃貸を禁止するというのは、私自身、本気で脱炭素を目指すなら、そうすべきだと考えています。

Q:BELS(ベルス)のような第三者認証と、自己評価の二通りがありますが、第三者認証を使うメリットを教えてください。コストをかけるだけのメリットが、第三者認証にはあるのでしょうか?

池本さん:一つ目は、省エネ性能の中でもかなり高いことを示すZEHマークを使うには、第三者認証を取る必要があるということ。
二つ目は、高性能な賃貸への補助制度の証明書になること。第三者認証を受けた物件でないと補助金はもらえません。
三つ目は社会性、信頼性の向上。消費者側からすれば、やはり第三者機関が客観的に評価して、それに基づいて補助金が出たり、マークの使用が許可されていたりというのは安心感があります。資産としても安心ですよね。

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