テレワークやオンライン会議が普及し、在宅勤務をする方が増えてきました。でも、「自宅に専用の仕事場がなくてやりづらい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。そこで、リフォームで叶える快適なワークスペースづくりの秘訣を、ミサワホーム株式会社 商品開発部 リフォーム設計技術課の井畑祐子さんに伺いました。
ミサワホーム株式会社
商品開発部 リフォーム設計技術課
井畑祐子さん
新築部門で生活提案を盛り込んだ商品開発に携わる。
現在は、「テレワーク」「防災」「家事楽」などの新しいライフスタイルをリフォームで取り入れるためのプラン提案や、心地よく住み続けるための技術開発を行っている。
ご家族のライフスタイルを尊重しながら、快適に在宅ワークができるリフォームを実現するためには、まずは「個室にこもって仕事に集中したいのか」、あるいは「家事や子育てをしながら仕事も行いたいのか」、ご自分の希望や状況に合った仕事のスタイルを決めることが大切です。その上で、在宅ワークの空間をつくります。
方法として、リビング内にデスクコーナーを設けて専用のワークスペースをつくる「リビング活用プラン」、居室の空きスペースなどを活用して半個室タイプの集中できるワークスペースをつくる「空きスペース活用プラン」、普段あまり利用しない和室など、ひとつの部屋をまるごとワークスペースにする「空き室活用プラン」があります。
単に住まいの中に仕事ができる場所を確保するのではなく、ご自分の仕事スタイルや家族構成に合ったオリジナルのワークスペースをつくることが、快適な環境をつくるポイントです。ミサワホームでは3つのワークスタイルに合った在宅リフォームをご提案しています。
家族とのつながりを大切にしたい方におすすめのワークスタイルです。LDK内にデスクコーナーを造り付けるだけで、専用のワークスペースが完成。仕事の合間に効率よく家事をこなしたり、お子さまの様子をそばで見守ったりしながら働くことができます。また、デスクをお子さまの勉強にも使うなど、家族みんなで活用することが可能。ミサワホームのオリジナル部材を使えば、リビングと調和した美しいワークスペースになります。
仕事に集中でき、オンライン会議などにも対応する環境を備えたワークスタイルです。昼間は使わない寝室や使っていない収納など、居室の空きスペースをうまく活用して半個室タイプのワークスペースをつくります。仕切り壁や縦格子を設置すれば空間をある程度区切れるため、集中する環境を整えることが可能なので、長時間パソコン作業を行う方や、仕事に没頭できる“個”のスペースを求める方におすすめです。家族でシェアする集中空間としても使えます。
マルチスペースやふだん使っていない和室などを利用して、専用の仕事部屋をつくるご提案です。間仕切建具などで個室としてしっかり空間を分けるので、周囲の気配に邪魔されることなく集中でき、深く思考する仕事にも取り組みやすくなります。十分な広さが確保できるのでリラックスでき、お気に入りの空間で集中して仕事に取り組むことで仕事の質も上がることでしょう。オンとオフのリセットがしやすく、気分転換を図りやすいのもメリットです。床の仕上げ材や壁材などを変えることでより快適な仕事部屋になります。
ミサワホームのオリジナルアイテムを活用すれば、今のお住まいの構造・間取りを活かしつつ、すっきりと美しい快適ワークスペースをつくり出せます。デスク、棚板、収納など、おすすめのアイテムをご紹介しましょう。
壁固定のすっきりとしたカウンター。間口・奥行ともサイズ調整ができるので、空間に合わせた設置が可能です。
カウンター下に文具や書類が収納できるキャビネット付デスク。引出しやワゴンなど、用途に合わせて組合せが可能です。上部に設置できる吊戸収納もあり、収納力UPに効果的です。
天井高までたっぷりしまえて、書籍の収納に最適で、A4縦サイズにも対応しています。扉タイプが選べるので、「飾る」と「隠す」を両立できます。
ほどよく見え隠れして、空間をゆるやかに間仕切ることができる縦格子。1本ずつ単独での取り付けが可能で、設置幅や間隔、長さなども自由に設計可能。空間のアクセントにもなります。
空間を仕切ることができるアルミフレームの引戸。面材は化粧面材やガラスなど種類が選べ、空間の繋がりかたを調整できます。
キャスター付きのチェアに対応した傷つきにくい床材。キャスターが転がりすぎないため、長時間の作業も快適。オフィスライクな雰囲気も演出できます。
テレワークによる目の疲れ対策や集中力をアップさせるには、照明環境を見直すことも大事なポイントです。在宅により、ふだん使用しない時間帯にも照明を点けることになるため、電気代も気になるところ。照明の工夫もお忘れなく。
LDKを活用してテレワークをする方には、お部屋の照明器具を、明るさも光の色も調整できる調光・調色対応のものへ交換することをおすすめします。仕事の時間は昼白色(白っぽく感じる光)にすると集中力が高まりますし、ご家族団らんの時間は電球色(黄色っぽく感じる光)にして少し明るさを落とすと、くつろぎを感じさせてくれます。
在宅ワーク時はオフィスでの勤務とは異なり、仕事中の電気代を自分で負担しなくてはなりません。特に照明は普段家にいない時間帯にも点灯することになるため、当然電気代も上がります。LEDなら消費電力は蛍光灯よりもかなり小さく、電気代も節約できるので、この機会にワークスペースはもちろん、その他の照明器具もLED用の器具に変更しておくといいでしょう。
長く住んでいるお住まいで、冷暖房が効きにくいというお悩みはありませんか? 特に寒い季節では、暖房効率が気になるはず。
ワークスペースづくりの際に「断熱リフォーム」も組み合わせて、快適な室温環境を実現するのをおすすめします。
断熱性能を高めるには、熱の逃げ場所となる天井・壁・床・窓それぞれについて、しっかり見直すことが大切。室内の暖かさ・涼しさが保てるので、暖房・冷房を必要以上に使う必要がなく、省エネで経済的です。また、ヒートショックなどの健康リスクも低減するので、心身ともに健康でイキイキとした暮らしが実現できます。
ひと口に「断熱」といっても、暑さ寒さの問題はご家庭ごとに違うため、まずは天井・壁・床、窓など熱の逃げ場となる箇所をしっかり見直しましょう。リフォームする場合は、今ある断熱材を活かして、比較的簡単に断熱材を追加することができます。
夏は天井裏に熱気がこもりやすく、暖かい空気は上に流れます。天井の断熱を強化すれば、夏の遮熱対策にも効果を発揮※し、冬は暖かい空気の流出が防止できて、暖房の効きも高まります。※プランにもよります。
冬場の足元からの冷えを防ぐのには床の断熱が効果的。今ある断熱材はそのままに、床下空間に高機能の断熱材を張り付ける方法なら、家具を移動したり、フローリングをはがしたりすることなく工事が可能です。
断熱材で住まいを包めば、暖まった空気が外に逃げにくくなります。今ある壁の内装下地に断熱材を上張りする内張り工法なら、施工は比較的簡単です。
手軽にできる窓の断熱リフォームとして、今ある窓にもう一つ内窓を後付けして二重窓にする方法があります。現在の窓ガラスを高断熱タイプのガラスに取り替える方法も効果的です。
次回はウィズコロナの時代に対応した住まいをリフォームで叶える方法をご紹介します。お楽しみに!
更新は11月下旬予定です。
※掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。
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