徹底攻略

ファミリー向け賃貸住宅 Part1

あたりまえのアパート経営

近年、少子化&核家族化が進む時代において、賃貸市場も状況が変化していく中、市場ニーズに合ったファミリー向けの賃貸住宅が不足しているという現状があります。
今回は、そんなファミリー向け賃貸住宅を徹底攻略します。

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2019年7月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

今、なぜファミリー向けの賃貸住宅に注目するのか?

少子化対策として国もさまざまな政策を実施

一昔前は賃貸住宅市場もシングル向けの一戸あたりの面積が小さく部屋数を多くした物件を中心に建てる時代がありました。その影響を受け、市場にはニーズに合ったファミリー向け賃貸住宅が不足しているという現状があります。国も少子化対策に取り組んでおり、ファミリー層の賃貸に関する施策も含まれています。
少子化対策として国が取り組んでいることの一つに、内閣府が提唱している「子育てを支援するゆとりある住宅の確保の支援」があります。この中には子育て世代が安心して暮らせる賃貸住宅を登録制にして紹介する「あんしん賃貸支援事業」など、積極的な施策が行なわれています。
このように国をあげて子育て世代を支援する方向へ進んでいる中、賃貸住宅市場において、いかにファミリーに選ばれる物件をつくるかが、賃貸経営の鍵になると言えるでしょう。

ファミリー世帯の年収は増加傾向にあります

国の子育てファミリーへの支援とは別に、子供のいる世帯の年収が増加傾向にあることも、市場の大きな特徴といえるでしょう。
全世帯の平均年収は約545万円なのに対し、子どものいる世帯は約707万円となっています。全世帯の平均年収が横ばい傾向にあるのに比べて、子育て世帯の年収は増加傾向にあります。これは、共働き夫婦が増加していることが大きな原因の一つです。さらに今後は保育料の無料化が進むことで、共働きがさらに増加し、実質的な世帯年収は増加していくと予想されます。
子育て世代の年収が増加すると、子供の教育や子育て環境への支出が増加することは自然な流れです。その流れに合わせたファミリー住宅の需要は、今後高まっていくと考えられます。

注)
1. 平成6年の数値は、兵庫県を除いたものである。
2. 平成22年の数値は、岩手県、宮城県及び福島県を除いたものである。
3. 平成23年の数値は、福島県を除いたものである。 4. 平成27年の数値は、熊本県を除いたものである。
出典:厚生労働省 資料よ

ファミリー向け賃貸は不足していると考えられる

ファミリー向け賃貸住宅において一般的に2LDK~3LDK以上の間取り、延床面積で50平方メートル以上の物件が不足傾向にあるといわれています。
この現状を是正すために、各自治体ではワンルーム規制などを行い、広い面積の賃貸住宅を普及させようとしていますが、それでもまだまだ足りないのが現状です。
そんな市場の中で、ファミリー層が満足できる物件を供給すれば、他の物件との大きな差別化につながります。市場調査を行った上で、ニーズがあるかどうかをぜひ確認しましょう。

『一生賃貸派』も増加暮らし方の多様化が進んでいる

下のグラフのように、50代以下の世代では賃貸住宅を選ぶ方が増えています。大きな理由の一つは、都市部における住宅価格の高騰です。首都圏や関西圏などで住宅価格が上昇。大都市では年収に対するマンション価格が10倍を超えています。
また、「持ち家志向」そのものも、低下してきています。非正規雇用の方が増え、さらに終身雇用という常識も崩れつつあり、安定した収入に不安を持つ人も増えているようです。
そして時代の変化に伴うライフスタイルの変化。自分の好きなことにお金を使いたい、だから賃貸住宅で十分といった考えです。積極的に賃貸住宅を選び、ライフステージに応じて住宅や立地を自由に変えていきたいという発想です。
このように、ファミリー向け賃貸住宅を巡る市場状況は大きく変化していきます。そしてファミリー向け賃貸住宅の大きなメリットとして、長く住んでいただけるということがあげられます。長期安定経営を期待できることは、経営者にとって大きな魅力でしょう。
次のページからはファミリー向け賃貸の成功のポイントをご紹介します。

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