ほとんどの大家さんは管理会社を利用している
自主管理しているオーナーさまは、「18.5%」
入居者募集から契約、さらに入居者の要望やクレーム対応、退去時に敷金返還の査定、リフォーム、そして次の募集まで、賃貸管理にはさまざまな業務があります。ほかにも建物の定期清掃、不具合の有無を確認など、建物のメンテナンス管理も重要になります。
これらの賃貸管理には、さまざまな業務をオーナーさま自ら行う「自主管理」と、不動産会社や管理会社に任せる「管理委託」の2つがあります。
「自主管理」のメリットとしては、委託料などの支出がないこと、自ら経営するのでノウハウが身につくこと、物件の劣化などに気付きやすいことなどがあげられます。
「管理委託」のメリットとしては、手間がかからないこと、さまざまな業務を管理業者が常に対応してくれることなどです。
国土交通省の調べでは、業者に任せず自ら全て管理しているオーナーは18.5%。すべてを業者に委託しているオーナーは28.2%。入居者募集から契約までを業者に任せて、それ以外を自分で行うか、一部だけ業者に委託している方が53.3%。何らかの形で管理委託をしているオーナーさまは80%以上となります。
つまり、現在の賃貸住宅経営は、管理会社によってその成功が決まると言えるのです。
しかし、管理会社にすべてを任せている、という表現は少し間違っています。所有する賃貸住宅すべての事柄を決定するのは、あくまでオーナーさまの判断です。そしてオーナーさまが最初に取り組む重要な判断が、より良い管理会社を選ぶこと。
今回はそんな賃貸住宅の管理について解説します。
管理会社に不満を持っているオーナーさまも多い
賃貸住宅情報サイトの大家さんに聞いたアンケートによると、35%の方が現在の管理会社になんらかの不満を持っていると答えたそうです。その内容が下のグラフ。やはり空室時の対応について不満を持っている方が多いようです。
さらに物件の維持管理に関しても不満を持っている方も少なくありません。管理費用に対しての不満もあります。
しかし逆に考えると、65%の方は現在の管理会社に概ね満足しているといえます。
それでは満足できる管理会社を選ぶには、どのようにすればよいのでしょうか?
良い管理会社を選ぶポイントがあります
賃貸住宅の管理委託が進んでいる背景には、自身で管理されている大家さんの高齢化と、相続などで受け継ぎ、他に仕事を持つサラリーマン大家さんが多いためです。しかし管理委託が増えてくると、オーナーと管理会社とのトラブルも増えてきました。
国もこの現状に対応するために、2020年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立。管理会社を登録制にするなど、その業務内容を明確化しています。
このように国も管理会社の質を上げる環境を整えていますが、最終的に選ぶのはオーナーさま自身です。
下の一覧に、管理会社を選ぶ基準をまとめました。まずは、物件の魅力をしっかり把握してアピールできるか。例えば、良い管理会社は物件の魅力を知るために、現在住んでいる入居者に部屋を選んだ理由をアンケート調査し、入居者募集に活かすケースなどもあります。
また入居者からのクレームや要望に答える入居者管理や、日ごろの清掃やメンテナンスを行う建物管理がスムーズに行えるかどうかで、入居者の満足度が変わります。
何より大切なのは、オーナーさまとの信頼関係を築けるコミュニケーション能力です。信頼関係があれば、管理会社とオーナーさまとで密に情報共有でき、さまざまな問題に対して事前に対策を立てることができます。