入居者管理のポイント
入居者の満足度は、日ごろ接することの多い管理会社によって左右されると言えます。緊急時の対応などで、入居者が受ける印象は大きく変わります。
大家さんと同じ気持ちで入居者と接する管理会社を選びましょう
賃貸住宅はサービス業。「入居者はお客さま」という発想を
賃貸住宅は今や「借手市場」だと言われています。数多い部屋の中から選んでもらい、住み続けてもらうためには、「入居者はお客さま」という発想が必要になります。
入居者管理の主な業務は、下表の内容です。日常的に行うことは、賃料管理、苦情や要望への対応、入居者の契約違反対応などがあります。特に重要なことは、トラブル対応です。例えば給湯器が動かなくなったなど、水廻りのトラブルは深夜でも起こりえます。24時間受付対応ができる管理会社と、次の日まで連絡がつかない管理会社では、入居者の満足度に大きな差が出ます。
また、退去時の敷金精算などについても、どのように実施するかを管理会社に確認しましょう。
コロナ禍の影響で管理会社の対応に差が
コロナ禍により、賃貸管理の現場も混乱しました。例えば、内観見学(内見)のお客さまを受付することができない管理会社もありました。
しかしIT化が進んだ管理会社では、内見の申込もホームページから受付し、現地の鍵の番号をメールで伝えてもらい、セルフで見学してもらうシステムを導入し、成果をあげたケースもあるそうです。
実は賃貸管理会社のIT化は、他の業種より遅れていると言われています。お客さまは不動産会社に出向き、紙の申込書に記入し、空室の有無や部屋の情報は業者間で電話やFAXを使い確認、内見は営業マンが動向するなど、昔と変わらない手法で行われています。こうした対応のほとんどが対面式で行われているため、今回のコロナ禍で業務が止まってしまうケースが多くなったそうです。これからの時代に沿った対応力も管理会社を選ぶポイントになります。
空室が続く時、対応を提案してくれること
空室が発生した場合、次の入居者募集への対応力も管理会社を選ぶ基準です。インターネットの部屋探しサイトを効果的に使い、写真や文章で魅力をしっかりと伝え、集客できる管理会社がよいでしょう。一方で問題となるのは、内見に来る方はいるのに入居が決まらないケースです。この場合においては、部屋自体の問題点を確認しましょう。
入居しない要因特定と改善提案ができる管理会社は信頼できます。家賃を下げるという提案だけでなく、古くなった設備を新しくし、魅力を向上させる提案もできます。オーナーさまにメリットがあるなら、支出を含む提案をしてくれる管理会社をおすすめします。
今の入居者にいかに長く住んでいただけるか
空室対策を管理会社が対応を検討するのは当たり前です。大切なのは、満室時に次の対策を考えておくこと。考えるのは基本的にオーナーさまの役割です。
最近の大家さんの中には、更新時に入居者へのプレゼントを進呈したり、ハウスクリーニングのサービスを提供するなど、工夫されている方もいらっしゃいます。
また古くなった設備の更新などをスムーズに行うことも入居者の満足度をあげるポイントとなります。
例えばガスコンロの火が付きにくくなってきた、などの不具合は、設備が古くなっているサインです。耐用年数を超えているのであれば、すぐに交換することで入居者の満足につながります。きめ細かなサービスを提供するためには、管理会社から入居者の声を聞いてオーナーさまへ報告してもらう必要があります。
オーナーさまと管理会社は、ひとつのサービスを行なっている一蓮托生の関係といえるでしょう。オーナーさまの方針として、徹底した入居者サービスを行っていきたいから、些細な苦情でも管理会社から随時報告してほしい、と明確に指示をすることが必要になります。ただし、過剰な入居者・管理会社への介入は空室要因にもなります。
できるだけ空室を出さずに、満室経営を続けていくために、入居者へのサービスを管理会社と一緒に考えていきましょう。
民法の改正についてもきちんと理解しておきましょう
2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が、2020年4月1日から施行されました。
例えば設備修繕の際、入居者に原因がある場合は大家さんの修繕義務ではなくなる、大家さんが早急に対応できない修繕が発生した場合、入居者自身で修繕業者を手配し、大家さんに請求することができる、などが法律化されています。
こういった新しいルールは、敷金の取り扱いなどを含めて数多くあります。特に古くから自主管理を行なっている方は、まずは新しい知識を持っておくことが大切です。
このような情報を正しく提供してくれるかどうかも、管理会社の判断材料となります。