土地活用のメリットを最大限に活かす

賃貸経営の節税対策 Part1

あたりまえの法律・税金

賃貸経営にはさまざまな節税効果があります。相続税や所得税等を抑えることができますが、そのためには最新の税制をきちんと把握しておくことが大切です。今回はそんな賃貸経営の節税対策を特集します。

原稿監修:税理士公認会計士 鹿谷哲也氏

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2019年3月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

最新の税制動向を知ることが大切

税制は時代に合わせ変化。資産を活かすために最新情報を

不動産等の資産があり、活用する場合には税金についての知識が必要になります。 特に賃貸経営を行なう場合には、税金の仕組みを知り、味方にすることで節税につながることが多くあります。 税制は毎年のように改正され、その最新動向を常に把握しておくことが、資産を守り活かすことにつながります。
例えば相続税に関しては、平成27年に大幅な改正があり、基礎控除の金額が減額されました。 これにより相続税の申告が必要となる人が約2倍となりました。 このような税制の変化に、柔軟に対応しアドバイスをしてくれるプロのパートナーが必要ですが、ご自身でも常に情報収集しておくことが大切です。
資産の規模や、賃貸住宅経営の規模によっても、発生する税金や節税効果が異なってきます。 最新の税制の仕組みをきちんと理解しておくようにしましょう。

2019年税制改正大綱が発表されました

税制の最新動向を知る上で、意識しておきたいのが税制改正大綱。これは翌年度以降に実施する増税や減税、新税の導入といった税制改正の内容をまとめた政府が出す文書です。 翌年度予算案の決定に先立ち、与党の税制調査会が11月ごろから業界団体や各省庁の要望をふまえて協議し、税制改正の大綱をつくり、税制改正法案を翌年の通常国会に提出します。 
平成30年12月14日に、与党より「平成31年度税制改正大綱」が公表されました。資産に関する税制に関しても、さまざまな改正が予定されています。 これらの改正案は、まだ国会で決議されたものではありませんが、これからの税制の方向性を占う意味でも重要なものとなります。 資産活用を考えている方は、ぜひ目を通しておくべきです。

個人の資産に関わる税制改正も予定されています

今回の税制改正大綱で資産活用も最も関わりのあるものが「特定事業用宅地」についてでしょう。特定事業用宅地とは、自営業者などが店舗や工場として使用していた土地や被相続人をオーナーとする同族会社で使用していた土地のことです。
特定事業用宅地がある一定の条件を満たした場合、400㎡までの土地についてその評価額を80%減額してもらうことができます。注意しておきたいのは、この特例が相続発生前3年以内に事業用とした土地の場合は8割評価減の対象外となってしまいます。
また、空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除特例については条件が緩和されました。従来は、老人ホーム等に入居したことにより誰も住む人がいなくなった自宅の土地・建物は特別控除を受けられませんでしたが、一定の要件を満たす限り、相続の開始の直前まで被相続人が居住していたものとみなして本特例の適用が可能となりました。 今後の動向に注視しておきましょう。

贈与のメリットを活かすための税制も把握しておきましょう

贈与に関しても有利な税制が多くあります。原則として1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円までであれば贈与税は非課税ですが、これを超えると課税されます。
ただし、祖父母などから教育目的や結婚・子育て資金として一括贈与を受けた場合、教育目的では1500万円まで、結婚・子育て資金は1000万円(結婚資金は300万円まで)贈与税の非課税制度を活用することができます。
2019年度からは、教育および結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置が、2021年3月31日まで2年延長した上で、受贈者の前年所得制限(合計所得1000万円超は適用不可)・教育資金の範囲(23歳以上への支払い制限および用途の制限)・契約期間途中の贈与者死亡時における残高の相続税・贈与税課税措置の見直しが示されており、改正内容をしっかりと把握しておくことが必要となります。

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