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新しい時代の相続贈与 Part2

あたりまえの法律・税金

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2019年8月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

贈与を利用した相続対策を考える

子供に資産を渡して喜ばれ、さらに相続税対策を行なえる生前贈与を上手に利用することがこれからの相続には不可欠です。

贈与を上手に利用することが相続対策に
まずは暦年贈与について知りましょう

相続における生前対策として、不動産活用等と並んでメリットがあると言えるのが、贈与の活用です。
贈与は生前の相続税対策として有効な手段ですが、相続税を減らすことができたとしても逆に贈与税が多くかかってしまう場合があるので、贈与を行なう際は注意が必要です。
贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の二つがあります。
暦年贈与は、1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算するもので、基礎控除額110万円の範囲内なら、毎年無税で贈与を行うことができます。
親から子へ財産を移すことにより、その後に発生する相続税の負担を軽減することができます。
贈与税の税率は高めに設定されていますので、毎年控除額ギリギリの110万円を贈与したとして、それが最も有効な生前対策であるかというと、そうとも言い切れません。
効率的な生前対策として検討する際、ポイントとなるのが「相続税率と贈与税負担税率の比較」です。
仮に110万円を贈与する場合、基礎控除の範囲内なので手取額は110万円全額ですが、200万円贈与した場合、贈与税は9万円かかります。ということは、贈与税を支払っても贈与を受ける方は実質95%の191万円を、相続前に手にすることができることになります。累進課税である相続税額と比較して、どちらがメリットが大きいかを検討しましょう。

相続時精算課税制度を利用して資産を活用する

相続時精算課税制度は、相続人が被相続人から生前に贈与を受けた財産について贈与税を仮払いし、その被相続人の相続時に贈与税を相続税と精算する制度です。資産を次の世代に早めに移行できるというメリットがあります。
相続時精算課税制度の適用対象者は、次のとおりです。(年齢は贈与の年の1月1日現在)
●財産を贈与した人(贈与者)
→60歳以上の親または祖父母
●財産の贈与を受けた人(受贈者)
→20歳以上の子または孫である推定相続人
相続時精算課税制度は、途中で110万円控除の暦年贈与に戻れないなどのデメリットがあります。しかし、今後の区画整理や都市開発事業で値上がりの期待ができる土地や、値上がりが見込まれる株式については、この制度を適用した方が有利になる場合もあります。
資産を早めに相続できることはメリットですが、この制度自体、相続税を支払う人にはメリットが少ないものですので、適用する場合には税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

財産を贈与する場合は、不動産も検討する価値が

不動産を生前贈与する最大のメリットは、誰が不動産を継承するかを生前に決められることです。
生前贈与では、贈与者の意思が確実に反映されるため、兄弟間の相続争いを避け、思い通りに財産を整理することができます。
また、アパートなどの収益不動産を贈与する場合は、家賃収入等を次の世代に渡すことができ、必然的にこれから発生する相続財産(家賃収入)を増やさずに済むことが可能です。
相続時精算課税制度を利用した生前贈与は、メリットとデメリットの判断が難しく、財産の総額や所有者の年齢などの条件によっては、必ずしも効果を得られないこともあります。生前贈与も贈与税の課税対象となる上に、不動産取得税や登録免許税の負担も生じてくるため、どちらがより負担軽減に繋がるかメリット、デメリットを比較検討する必要があります。
まずは信頼できるプロに相談して、はやめに対策する必要があります。

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