特集

賃貸経営等の所得分散を考える Part1

あたりまえの法律・税金

増税傾向が続くなか、所得税に関しても増税されています。
賃貸経営等における節税を考えた所得分散について特集します。

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2020年2月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

知っておきたい賃貸経営の所得計算のしくみとポイント

収入が高くなるほど、税額が増加傾向。綿密な対策が必要

最近の税の話題といえば、消費税を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は所得税に関しても2020年からの税制改正で増税になっています。家賃収入を元にした所得から多くの税を収めることになると、当然手取りの収入は少なくなりますから、賃貸経営の収支にも大きな影響が出ることも考えられます。まず所得税の改正について理解しておきましょう。
所得税改正のポイントは以下の5点となります。
● 基礎控除額が10万円引き上げ
● 給与所得控除額が10万円引き下げ
● 公的年金等控除の見直し
● 青色申告特別控除の見直し
● 配偶者控除や扶養控除の適用要件見直し
とりわけ賃貸経営に関する部分として、まずは基礎控除が重要です。従来は一律38万円の控除額だったのに対し、所得が2400万円以下の場合は控除額が引き上げられ、それ以上の場合は引き下げられます。
このように誰もが支払う消費税の増税と合わせて、所得税の増税も、所得が高額になるほど影響がでてくるので、より綿密に対策を行うことが必要になります。

不動産所得は、家賃収入から必要経費を除いたもの

賃貸経営における所得税について、基本的なことをおさらいします。簡単に説明すると、家賃などの収入から必要経費を引いたものが不動産所得の金額となります。不動産経営以外にも所得がある場合は、その所得と合算したものが所得になります。
そしてこの所得に対して、累進課税が適用されるのが所得税となります。

最も大切なのは経費を把握しておくこと

賃貸住宅経営は「事業」です。事業経営には収益を生み出すための必要経費があり、これをきちんと把握し、計上していくことが基本となります。
必要経費として計上できるものを知らずに確定申告してしまうと、節税対策ができていないので税負担は重いままになってしまいます。
この必要経費の判断は、なかなか難しいものがあり、所轄の税務署によっても判断が分かれるケースがあるので、税理士に相談することをお勧めしますが、どのような経費があるのかは、しっかりと把握しておくべきです。
減価償却費や不動産にまつわる税金、修繕費、借入金返済の金利分などは、明確に賃貸経営業務に関わるものなので判断は難しくありません。ただし一つの支出が家事上と業務上の両方に関わりがある費用(家事関連費)となるものがあります。

例えば、接待交際費、地代家賃、水道光熱費、通信費などです。パソコンを購入したとして、それが仕事以外で使うこともあれば、その仕事に使う割合を出して計上する必要があります。
どこまでが経費となるか、ならないかの判断を税理士と相談することになります。

事業的規模の場合は青色申告で税制上の優遇が受けられる

賃貸経営による不動産所得では、事業的規模と認められると、税務上の扱いが異なり、青色申告をすることにより、特典を活用できます。事業的規模には基準が設けられており、アパートやマンションでは10室以上、貸家では5棟以上が目安となります。
青色申告には、さまざまな税制上の優遇措置がありますが、その中でも特筆すべきなのが、青色事業専従者給与です。生計を同一にする配偶者その他の親族へ給与を支払っていれば、所得分散もでき、さらにその給与分を経費として扱えます。
青色申告をするためには、その年の3月15日までに管轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出します。また、青色専従者給与の適用を受けるためにも事前に届け出が必要です。
次ページでは、具体的なメリットについて解説します。 

※平成26年から白色申告者も帳簿付けが義務化されています

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