特集

家族で考えたい相続贈与 Part2

あたりまえの法律・税金

相続の民法が改正に。新しい内容を知っておきましょう。

この記事は資産活用情報誌「GOOD OWNER」2020年5月号掲載記事をWeb用に再編集した内容となっています。掲載内容は本誌発刊当時のものとなります。

最新の相続税と対策を知る

この数年で相続税の内容は変わっています。まずは最新の相続税制を知り、相続税発生の可能性があるのか、どれくらいかかるのかを把握した上で生前にしっかりと相続税対策を考えることが大切です。

現在の相続税制をきちんと把握しておきましょう

相続税が発生するかどうかをあらかじめ知っておく

相続税対策の基本は、資産の状況を生前に把握しておくことです。 自宅の土地建物の現在の相続税評価額の把握、貯金はどこに預けているのか、家族が知らない貯金はないか、タンス貯金にあたるものはないのか…などを始め、書画・骨董品や貴金属まで、おおよその金額を出し、次に住宅ローンなどのマイナスの財産を差し引きます。また、相続開始前3年以内に贈与された財産については、相続財産に加算します。この資産を把握したら、基礎控除を差し引き、法定相続分で分けて、相続税総額を出します。
ここまで調べて、もし納税額が多く発生するのなら、何らかの対策が必要になります。 

改正の影響で相続税が発生する件数が増えている

2015年に相続税の控除額が減額され、さらに相続税率も高められたことにより、相続税を納税する方が多くなりました。
改正以前は、相続人のうち4.5%程度の方に相続税が発生していましたが、改正後は、毎年8%以上の方が課税されており、少しずつ増えている傾向にあります。
特に地価が高いエリアでその傾向が強く、例えば全国平均では相続人の12人のうち1人が課税対象となり、東京では8人に1人が課税対象となっている計算になります。
相続税はかからない、と思っていた方でも課税の可能性はあるので、きちんと資産を把握することが大切です。 

相続税対策のポイントは資産の評価額差を利用する

相続税対策の基本は、資産の種類によって違う評価額の差を利用することにあります。
相続において、現金や有価証券などの資産より、不動産の方が相続税評価額を下げやすいというのは、多くの方がご存知のことだと思います。
財産の価額は、相続税独自の評価基準によって評価されます。現金や有価証券のような評価額が額面通りの資産から、土地や家屋などの不動産のように、市場価格より評価額が低い財産へ相続財産を移行させることで、相続財産の評価額を下げることが可能になります。つまり資産の種類によって違う、評価額差を利用するのです。
現在の相続税評価基準で土地を評価すると、通常の売買価額のおよそ80%程度になっているのが実状です。そこで、現金や預貯金などの金融資産を多く持っている人は、土地や家屋といった不動産に資産を転換することもひとつの方法です。例えば、預金の5000万円はそのまま5000万円と評価されますが、5000万円で不動産を買うと評価額が大幅に下がるので、結果相続税が軽減されることになります。

土地活用に大きなメリットが

さらに土地を活用することで、資産の評価をより下げることが可能になります。
例えば、現金のままなら評価額は変わりませんが、その現金で購入した土地に賃貸住宅を建てると、大きく評価額を減らすことができます。
もちろん、入居者がきちんと集まり収益が上がる賃貸住宅であることが前提です。相続税対策、空室対策、経営支援など、トータルで相談できるプロを見つけましょう。

現金と不動産による相続税評価額の比較例
※共に2,000万円設定

生前に家族で相談して相続対策を行うことが大切

相続対策には、大きく分けて「相続分割対策」と「相続税対策」があります。
まず、どのように資産を分けるのかを考えるのが相続分割対策です。現金しか資産がないというご家族はシンプルですが、資産が不動産である場合、これを複数人に分ける行為は、簡単ではありません。
さらに相続税が発生すると分かれば、その納税資金を確保することも必要です。現金が少なく不動産がほとんどのケースでは、不動産の売却も考えなくてはなりません。だからこそ事前に家族で話し合っておくことが大切になり、自宅は誰が引き継いで住み続けるのか、どのように資産を分けるのか等、対策を考える必要があります。さらに生前かつ、元気なうちに話し合う必要もあります。もし認知症を患い、判断能力がなくなってしまった場合、相続対策のための土地活用などを実行することが難しくなってしまいます。
なるべく早めに、相続に詳しい専門家を交えて、今後の対策を家族で相談することが大切なのです。

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