贈与を活かした相続対策
資産を受け渡す際、一般的な相続と並んで活用されるのが「贈与」です。
生前に資産を受け渡すための「贈与」には、さまざまな制度があります。
ぜひ活用して相続対策に活かしましょう。
贈与の特例を利用して資産を生前に移行する
贈与を利用することで生前に喜ばれる
贈与のメリットとしてよく言われるのは、相続資産を減らすことによる相続税対策です。しかし、1番のメリットは贈与する側もされる側も「喜ぶ」ということではないでしょうか。
特に贈与を受けるのが子だった場合、生活費や結婚資金、子育て資金に利用できれば暮らしが豊かになります。国も親の資産を子に活用してもらうための、さまざまな贈与の特例を用意しています(下記表)。
ここではそんな贈与の種類と活用方法についてご紹介します。まずは現在の制度についての正しい情報を知ることが大切です。
配偶者に活用できる贈与の控除
配偶者にメリットのある贈与の制度として、「贈与税の配偶者控除の特例」があります。これは正式には「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」と言い、「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」の贈与が婚姻期間20年を超えてから行われた場合などに、基礎控除110万円の他に最高2000万円まで控除できるという特例です。
例えば、自宅を妻に贈与することにより、相続財産を減らすことも可能になります。ただし「贈与税の配偶者控除の特例」は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
住宅資金・教育資金結婚資金などの非課税制度
住宅取得等資金贈与の非課税の特例は、両親または祖父母からマイホーム購入資金の援助を受けた場合に最大1500万円※まで非課税になります。
教育資金の一括贈与非課税は、30歳未満の子または孫に対して、教育のための資金をまとめて贈与する場合、最大1500万円まで贈与税が非課税となります。
結婚・子育て資金の一括非課税措置は、20歳以上50歳未満の子または孫に対して、結婚・子育てのための資金最大1000万円まで贈与税が非課税となります。
どの制度にも贈与される側の所得制限がありますので注意しましょう。
※ 住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が2020年2年4月1日~2021年3月31日の省エネ等住宅の場合
最も使いやすい「暦年贈与」
暦年贈与は、1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算するもので、基礎控除額110万円の範囲内なら、毎年非課税で贈与することができます。
贈与の額については、下の図のように財産の量や相続人の数によって、どれくらいの金額がメリットがあるかが変わりますので、詳しい専門家に相談しましょう。
暦年課税に代わり選択できる「相続時精算課税制度」も
相続時精算課税制度とは、言わば相続の前払い制度。相続人が生前に贈与を受けた財産について贈与税を仮払いし、相続が発生した時点で、贈与税を相続税と精算する制度です。早い段階で資産を次の世代に移行できるというメリットがあります。
相続時精算課税制度を利用した場合、その後で暦年贈与を利用することができないなどのデメリットがあります。しかし、今後の区画整理や都市開発事業で確実に値上がりの期待ができる土地や、値上がりが見込まれる株式については、この制度を適用した方が有利になるケースもあります。
以上のように、相続税対策のためには資産の活用や贈与を活用することが必要になります。どのような方法を選択することがメリットが大きいのかを判断するためにも、相続全般に詳しい専門家の協力が不可欠となります。税理士、ファイナンシャルプランナー、ハウスメーカーにも詳しい担当がおります。さまざまなプロがいますので、信頼できるパートナーを選びましょう。