空室のリスクから満室のメリットへ。

空室の心配から満室のメリットへ発想の転換を
「賃貸経営にはメリットばかりでなく、デメリットもたくさんあります」と空室対策のプロフェッショナル、株式会社横濱快適住環境研究所の所長、石川龍明氏はおっしゃいます。
「昔から、良いことと悪いことは背中合わせになっているので、賃貸経営がはらむリスクも想定しておく必要があります。しかしリスクは勉強によって回避できる可能性があります。これをリスクヘッジと言います。デメリット=リスクを事前に知っておくことにより、その対応策を考えて、投資判断をして、長期に渡って安定した賃貸経営をしていくことが可能です」。
さまざまなリスクの中でも、オーナーさまが特に不安に思われるのが「空室リスク」ではないでしょうか。
「賃貸住宅という商品ですから、それに借り手がつかないというのは当然大きなリスクです。しかしこれはどんなビジネスでも同じです。売れる商品をつくって、きちんと買い手に情報を届けることができなければ売れ残りが出てきます。売れないことを前提にするビジネスはありませんから、賃貸経営も同じで満室を目指して経営を行なうことが大切です。そのためにはどのような商品をつくるべきか、どんなターゲットを狙うのかをしっかり考える必要があります」。
つまり空室のリスクを考えるのではなく、満室になるためにどのような戦略を立てるべきなのかを考えることが最も大切なことです。
今回の特集では、そんな満室のメリットを追求するためのさまざまな考え方や手法をひも解いていきます。
きちんと管理された物件の入居率は90%以上
さまざまなニュースで賃貸住宅の空室率が話題になっています。ニュースでは全国の空室率が20%近いというものもありますが、多くの空室のデーターは、老朽化して借り手がつかなくなり放置している空室物件も含んだ数字です。
下のグラフは、日本賃貸住宅管理協会に加盟している会員による空室率の調査データです。きちんと委託管理されている物件、サブリースによる一括借上げをしている物件を調べると、全国平均でも9割以上の入居率があることがわかります。
つまりプロがきちんと管理して、入居者を集めるためのさまざまな努力を行なっている物件に限ると空室率はそれほど高くないといえるでしょう。
きちんと経営が行なわれている物件は空室リスクに不安を感じる必要は無く、より収益を上げるために満室を目指す経営ができるということです。

エリア特性を考えて満室を目指すことが大切
賃貸住宅という商品を考える上で、最も大切なことがエリア特性を踏まえるということです。賃貸住宅を経営する立地にどのようなニーズがあるのか、家賃相場はどのくらいなのか、どのような方法で差別化するべきかを考える必要があります。
幹線道路に近く騒音が気になる立地であれば、遮音性に優れた建物を建てる。女性の入居者が多いエリアであれば、女性に好まれるインテリアや防犯性に優れた建物を考えるなど、まずはその立地にあった物件を考えることが必要になります。ワンルームは利回りがよいから、などという理由だけでの計画は危険です。
強気の家賃でも満室経営を目指す
まず市場調査を行い、どのような物件を建てるのかを考えますが、この時に必要なのは周辺の家賃相場の把握です。 下の図のように、周辺の物件を調べ、その平均値をはじき出します。通常、その相場の家賃で経営を行います。しかし差別化を図るためには、さらなる価値を加えて家賃を高くするという判断も必要になります。通常、古い物件は家賃を下げる傾向にありますが、リフォームなどで価値を上げて、相場より高い家賃を狙うということも考えられます。

管理会社との協力が成功のカギを握る
満室経営への道筋は簡単ではありません。きちんとしたプロとの協力が必要になります。
例えば、入居者の満足度を上げるためには、修繕などに対するスピーディーな対応が必要ですし、建物の清掃など日ごろのサービスも大切になります。やはり地元のニーズを良く分かっている管理会社との協力が不可欠だと言えるでしょう。
